篠原の戦死と今後の展開

皆様今晩は!
昨日の「ラジオスイート 宇宙戦艦ヤマトⅢ」とDJ林檎のの二次元音楽館「宇宙戦艦ヤマト2205 後章」特集は素晴らしかったですね。
放送中はテンション上がり過ぎて終了後は燃え尽きてしまいましたが・・・(苦笑)

ちなみに私も「ラジオスイート 宇宙戦艦ヤマトⅢ」にはリクエストもしていたのですが、残念ながら不採用。
恐らく来年のGWにも「ラジオスイート 宇宙戦艦ヤマト」が組まれるとは思いますので、次こそは採用を狙いたいですね。

また今回の放送で、次回作「ヤマトよ永遠に REBEL3199」では宮川彬良先生の続投がほぼほぼ間違いないということが判明したのは何よりの朗報です。
まだ完全な確定情報ではないようですが、続投ベースで話が進んでいることは間違いなさそうです。
今年1月に行われた宮川先生のヤマトコンサートで「3199のBGM収録作業は行われていない」という趣旨の発言があった事から、一部で「続投しないんじゃないか?」という不穏な噂が立っていましたが、今回の放送でその不安が払拭されたのは良かったと思います(その後判明した事実と照らし合わせると、製作がまだBGMが必要になるほど進んでいなかっただけのようですね。)
3199のシナリオ自体はもう終盤まで進んでいるという話ですし、長く停滞していた3199ですが、今後は意外に早く状況は進んでいくかもしれませんね。
続報に期待です!

閑話休題

さて今回は「ラジオスイート 宇宙戦艦ヤマトⅢ」の放送を記念して、むらかわ先生のコミカライズ版「宇宙戦艦ヤマト2199」で描かれた篠原君の戦死にちょっと焦点を当ててみたいと思います。
ここかからは第9巻のネタバレになりますので、まだ読まれていない方は自己判断で回避をお願い致します

昨年12月に発売された最新巻である第9巻ではバラン星突破作戦から大マゼラン銀河到達までが描かれましたが、その前哨戦である偵察作戦で、偵察に志願したヤマト航空隊副隊長の篠原君が戦死という驚きの展開が描かれました。
篠原君はアニメ版では生存しているだけに、この変更は雪の正体判明と並んで読者を驚かせる第9巻でのサプライズだったのではないでしょうか?
以前、むらかわ先生はコミカライズ版2199について「(アニメ版と)登る山は同じだし、辿り着く頂上は同じだが、そこに至るルートは異なる」という趣旨の発言をしていましたが、この篠原君の戦死は、この作品が単なるアニメ版のコミカライズではなく、むらかわ版2199という独立した作品であるという強い意気込みを感じますね。
ただ、アニメ版で生存していたキャラクターが戦死したことによって、気になるのはやはりその後のシナリオへの影響。
果たして篠原君の戦死は今後の物語にどれほどの変化をもたらすでしょうか?

結論から言ってしまえば、この篠原君の戦死は、大筋にはほとんど影響しないと思います。
というのも、2199における篠原君の最大の見せ場は今回のバラン星偵察作戦であり、その後はこの作戦で負傷したこともあって七色星団戦は不参加、その後のガミラス本星決戦は一応、パイロットとして参戦はしているものの、見せ場らしい見せ場はないまま終了しています。
強いて言うならば、七色星団戦の最中にヤマト艦内に潜入してきたガミラスのB特殊戦軍所属第442小隊と交戦していますが、この役割は殊更、篠原君である必要はないため、別キャラに差し替えても問題はありません。
これらの事を考えると、偵察戦で篠原君が戦死しても、その後の大きなイベントにはほとんど影響がないということになります。
逆に言えば、だからこそ、むらかわ先生は篠原君を戦死させることが出来たのではないかと思います。

では、篠原君の戦死はストーリーに全く影響を与えないのか?
私はこれに関しても否定的です。
確かに彼の死は、今後発生する七色星団戦やガミラス本土決戦の結果を左右するものではないことは確かですが、その一方で、人間関係、特に山本玲の精神状況に大きな影響を与えると思います。

現時点では大きな影響が出ていないため、見落としがちですが、アニメ版とむらかわ版での大きな変更の1つに、山本玲の精神状況があります。
アニメ版では、当初、死亡した兄と重ねていた古代君のみにしか心を開かなかった玲ですが、メルダとの交流をへて吹っ切れたこともあって、これ以降は人間関係が広がり、精神も安定したものになっています。
篠原君とも恋人関係にこそなりませんでしたが、この偵察戦での交流をへて仲の良い戦友レベルの付き合いができるようになって、アニメ終盤には古代君に対しての執着は全くと言っていいほど消えてしまいました(だからこそ、恋の駆け引きに玲は雪に敗れたと言えますが)
つまり、アニメ版での玲関係のイベントは、彼女にとってすべてプラスに働いており、キャラとしての成長を促していました。
ところが、むらかわ版ではこれらのイベントは逆に、玲の精神を追いつめるものとして描かれています。

事実、メルダとの交流は、アニメとは異なりガミラス人を憎しみを捨てるものではなく、古代君に対する想いを強くする結果だけをもたらし、アニメ版ではあった精神的成長ができたとは言い難いです。
それを象徴するように、アニメ版では物語が進むにつれ古代君以外のキャラとの絡みが増えているのに対し、むらかわ版では古代君(あと、強いて言えば雪)以外のキャラと自身から積極的に絡もうとはしません。
よく言えば孤高を貫いているといえますが、この場合は単に彼女が自分の世界に閉じこもっているという表現が妥当です。
そんな中で発生した今回の篠原君の戦死は玲にっては間違いなく非常に大きな打撃でした。
実は篠原君はむらかわ版で古代君以外で初めて玲から声をかけたキャラであり(メルダの時も実はメルダの方から玲に話しかけている)、もし彼が生存していたら、彼との交流によって閉じこもっていた自分の世界から抜け出すことが出来たかもしれません。
ところが、彼は戦死してしまいその機会は失われていまい、むらかわ版の玲に残されているのは相変わらず古代君に対する強い想いのみです。
そしてそれこそが、むらかわ版2199の今後のシナリオに大きく影響していくのではないでしょうか?

これはあくまで予想ですが、むらかわ版2199は今後、古代君・雪・玲の3者によるそれぞれの「愛」が大きくクローズアップされていくのではないかと思います。
特に

・自身がイスカンダル人のクローンであることを知ったがゆえに、それを受け入れてくれた古代君に対する想いを自覚してしまった雪
・古代君に兄の面影を負い続けている玲

と、古代君を巡る2人の女性の強い想いのぶつかり合いがわりと真剣に描かれるのではないでしょうか?
だからこそ、アニメ本編で玲の古代への想いをなくすきっかけになった篠原君は、むらかわ版で退場する事になったのではないかと思います。

ヤマトが一貫して描き続けてきたテーマの1つは「愛」ですが、その「愛」が美しいものばかりではない事は同時に作中で描かれています。
アニメ本編ではうやむやにされてしまった、古代君をめぐる雪と玲の衝突ですが、もし、むらかわ先生がこの衝突を重要なテーマとして描くのならば、それはそれで非常にヤマトらしいと言えるかもしれませんね。

昨日の「ラジオスイート 宇宙戦艦ヤマトⅢ」でのむらかわ先生の発言によれば、既に最終回までの構成は完成し、3199の作業が一息ついた段階で連載を再開するとのことです。
色々とアニメ版と違いが増えてきたコミカライズ版が果たしてどのような結末を迎えるのか、本当に楽しみです。
欲を言えば方舟篇も書いていただきたいところですが、当面は地球帰還までしっかり完走して欲しいですね。