むらかわ版2199(55話)で判明した謎の工作員の正体は?

皆様こんばんは!!

今回は6月23日に公開されたむらかわ版「宇宙戦艦ヤマト2199」第55話でクローズアップされた謎の工作員の正体を考察してみたいと思います。
もう大半の方が読まれていると思いますので、遠慮なくネタバレ満載でいかせていただきます。
まだ読まれていない方、あるいはネタバレが嫌な方はここで戻るか、あるいは下のリンクでまずは読まれるかで対応をお願いいたします。

宇宙戦艦ヤマト2199 第55話
むらかわみちお
原作:西﨑義展
キャラクターデザイン:結城信輝
協力:宇宙戦艦ヤマト2199製作委員会

本来ならばもっと早くアップしたかったのですが、ちょうど同時期にリリースされた「未来への航路」のプレイに集中していたことと、いろいろな要因でモチベーションが低下してしまいこの時期になってしまいました・・・汗
少々時機を逸した内容になってしまいまして申し訳ございません。

星名と正体と謎の工作員

さて今回、前回から行われていた星名君への尋問により、オムシスの破壊工作が拘束された星名一派の仕業ではないとと、まだ拘束されていない別の工作員が存在しているなど様々な事実が判明しました。

ちなみに個人的に驚いたのは、星名君がクローン体であったという事。
アニメ版では地球製のクローン人間の存在はぼかされていますが(2202の描写から考えると完全なクローン技術は確立していないかも?)、むらかわ版ではクローン人間の存在はそこまで珍しくない設定のようです。
これはあくまで予想ですが、むらかわ版の地球は内惑星戦争とガミラス戦争で多くの人的資源を失ったことから、短期間で成人になるクローン人間でその穴埋めをしているといるのではないかと思われます。
もしかしたらガミラス戦争終盤になると、どの艦にも同じ顔をしたクルーが乗り込んでいるという現象も起きているかもしれませんね(苦笑)
ちなみにこの設定は、雪がユリーシャのクローン体であることと、1年程度で成人になっていることは、むらかわ版の世界では地球のクローン技術として普通に確立しており、そこまでおかしな設定ではないという補足にもなっていると思われます。

それはともかく、イズモ計画派の暗躍は全て解決したかと思いきや一転して一気に不穏になりましたね。
星名一派の工作員は、伊東さんの炙り出しにより一網打尽にされたことはほぼ間違いないので、今回明らかになった謎の工作員は星名君も知らない別ルートで派遣された工作員か、あるいは、ヤマト乗船後に獲得した協力者のどちらかであることは間違いありません。
以前のエピソードで各工作員は独自に協力者を獲得しているという話が伊東さんと新見さんの間で交わされていたことを考えると、恐らく謎の工作員の正体は後者の「協力者」である可能性が高いと思われます。
ではその協力者とはいったい誰なのか?

協力者の正体とオムシス工作の犯人

結論から言えば、その協力者の正体はズバリ、岬百合亜です。

そもそも、むらかわ版において百合亜は主犯である星名君と完全に恋人関係になっており、それだけ深い関係にある人物が協力者になっていないと考える方がむしろ無理です
勿論、星名君の百合亜への想いは本物でしょうし、最初から利用するつもりで近づいたわけでもないとは思います。
ただ幸か不幸か、百合亜自身は艦橋要員としてそれなりに強い権限を持っている人物であり、彼女を協力者に引き込むことはイズモ計画派にとっても大きなプラスになると考えてもおかしくはありません。
しかも星名君も含めて、イズモ計画派はある意味で「イズモ計画こそが地球人が生き延びる唯一の方法」と純粋な善意で動いているわけですから、恋人を計画に引き込むことにそこまで強い忌避感が出るとは思いません。
いつの時点で星名君が百合亜に真実を打ち上げたかは分かりませんが、百合亜も恋人である星名への想いから協力者になったと思われます。

ただ、そうであるならば星名君と関係が深い百合亜を伊東さんがマークしていないというのはおかしいと思うかもしれません。
ここでポイントとなるのは、イズモ計画派の活動が本格化して時点で、百合亜がユリ―シャに体を乗っ取られつつあったということです。
恐らく伊東さんも、星名がイズモ計画派のメンバーであると知った時点で百合亜の事も協力者としてマークしていたと思われます。
しかし、肝心の百合亜はユリ―シャに憑依されたことによって奇行や意味不明の言動を繰りかすようになっており(事情を知らないクルー達からは、少し前に発生したミレーネルによる精神汚染の後遺症が残っていると思われているレベル)、恐らくこの時点で仮に彼女が協力者であったとしても、工作員としての活動はもはや出来ないと判断し、マークを外したと思われます。
それゆえ、イズモ計画派が一掃された後でも百合亜はオムシスへの破壊活動の犯人候補から外されていたのではないでしょうか。

この伊東さんの判断はある意味で正しく、ユリ―シャに憑依されていた百合亜がオムシスへの破壊活動を行うことは不可能だったと思われます、
しかし、まさにここが盲点であり、オムシスを破壊した犯人の正体は、百合亜に憑依していたユリ―シャであると私は睨んでいます。

実はイズモ計画派の思惑とは別に、ユリ―シャにとっても良くるかの理由からヤマトをビーメラ4に導く必要がありました。
その理由は、
1つは亜空間航路とゲートの情報をヤマトに与える為。
もう1つははあえてイズモ計画派にビーメラ4で行動を起こさせることで地球人の決断を見る為。

です。

恐らくですがユリ―シャは憑依した百合亜の記憶から、イズモ計画派の目的や計画を知っており、それが自分の目的と利害が一致していたことから、ヤマトがビーメラ4に向かうよう自主的にオムシスへの妨害を仕掛けたのではないでしょうか。
実際、第一艦橋に出入りできる百合亜の権限を使えばオムシスへの妨害はたやすかったでしょうし、また多少のおかしな行動もいつもの精神錯乱による奇行の1つとしてスルーされたのでしょう。
しかもこのユリ―シャの行動は、別に星名君をはじめとするイズモ計画派の指示によるものではなかったため、当のイズモ計画派も誰がオムシスへの妨害を仕掛けたのか把握していなかったと思われます。

彼からしてみれば、元々、ヤマトをビーメラ4に向かわせるためオムシスへの妨害は予定されていたため、「自分以外の誰かがやった」と考えており(指揮官である星名君も、自分は指示していないけど誰かが気を利かせて仕掛けたと考えていたのではないか)、いざ、蓋を開けてみれば誰もオムシスへの妨害を仕掛けた者がおらず、おそらく本人達も困惑する事になったのではないか。
その結果、オムシスに工作を仕掛けた謎の工作員の存在が誕生してしまったのだと思われます。

伊東さんは雪を疑っている?

ちなみにですが、伊東さんはオムシスへの工作の犯人として雪を疑っているのではないかと思われます。
その根拠となるのは、星名達以外に工作員がいるという事実を真っ先に伊東さんが古代に漏らしたのかという点です。
勿論、のちに正式な報告書にして沖田艦長に報告するという話でしたので、ここで黙っていてもいずれは古代もその事実を知ることになるとは思いますが、わざわざ真っ先に古代に伝えたのには何らかの意図があるように思えます。
まず好意的に考えるなら、古代を信用しての純粋な情報共有。
少なくとも古代は工作員ではないと判断し、今後の破壊工作を警戒するうえで情報共有をしておきたかっただけと考えられます。
ただ、これまでの伊東さんの言動から判断すると、彼は他者を信頼はしても信用はしないタイプのように思えます。
古代のことをそれなりに信頼していることは間違いないですが、だからと言って機密情報を真っ先に伝えるほど全面的に信用しているとは思えません。
では何故、伊東さんはあえて古代に機密情報を伝えたのか。

恐らくですが、彼は星名君同様クローン体である雪をオムシス破壊工作の犯人として疑っており、彼女と親しい古代君にあえて機密情報を伝えることで、何か思い当たる様子は無かったのか反応を見ようとしたのではないでしょうか。
勿論、雪がユリ―シャのクローン体であるという情報がヤマトクルー全員に共有されたという描写はありませんが、藤堂長官直属の情報局の人間であることから元々彼女がユリ―シャのクローン体であることは知っていてもおかしくはありません。
伊東さんがクローン体を信用していないことはその後の言動を見ても明らかであり(ちなみにこれらの発言は、わざと古代君の感情を揺さぶる事で情報を引き出そうとする意図もあったと思われます)、星名君たちイズモ計画派にオムシスへの破壊工作の犯人はおらず、協力者の可能性が高い百合亜も状況的に犯人ではないと判断したことから、クローンである雪に疑いを向けていてもおかしくはありません。

アニメ版では異星人への不信が強調された伊東さんですが、むらかわ版ではクローン体への不信が強調され、ここから以前から断片的に描かれている雪の心の闇がクローズアップされることになるのかもしれませんね。

短い内容ながらも今後に向けての様々な伏線がまかれた第55話。
アニメ版とは異なる独自路線が強まってきたむらかわ版の航海が今後どのような展開を迎えることになるのか、本当に予想できません。
次回は8月更新とのことですが、非常に待ちどおしいですね。