皆さま、今晩は!
今回は第4章のメインヒロインであり、章タイトルにもなっているサーシャの急成長の秘密に焦点を当てて第4章の感想と考察を述べてゆきたいと思います
第4章のネタバレ満載ですので、ネタバレが嫌な方は回避をお願いいたします
サーシャ急成長の謎が判明
第2章でアルフォンに攫われた2歳のサーシャが、第3章のラストで17歳の姿で再登場したことについて、その理由が今章で判明。
結論から言ってしまえば、この17歳サーシャは第2章で攫われたサーシャ本人でした。
何故、急成長したかについては、
①第2章で攫ったサーシャを自分たちの時代である3199年に向けて時空結節点で送り出す。
②事故により15年前の3184年に到着、結果として千年後の地球で15年過ごすことになる。
③3199年、2207年の世界に向かうデザリアム艦に密航し、2207年戻ってくる。
というもので、オリジナル版の「イスカンダル人は1年で17歳になる人種」というトンデモ設定よりは、一応筋が通っている説明になっていますね。
以前私は、17歳のサーシャは「デザリアム世界のサーシャではないか?」という考察をしましたが、
①デザリアム世界から来ている
②デザリアム世界から脱走という形この2207年世界に来ており、バーガーたちに回収された
という2点は一応当たっていましたね。
もっとも、攫われたサーシャ本人が3199年の15年前に漂流した結果、17歳になったという点までは予想できませんでしたが・・・(苦笑)
ちなみに一緒に攫われた新見さんもしっかり15年分歳を取った挙句、サーシャの話によれば、どうやらサーシャがデザリアム世界から脱出した際に死亡している模様。
おいたわしや・・・・( ;∀;)
もし本当にこのまま退場であるならば、リメイクシリーズのネームドキャラの中でも屈指の悲惨な人生を送ったキャラになりそうですね。
難破船の正体が発覚
なお、第7話冒頭部でランベルが言っていた「例の難破船」は、7話のラストに登場したエンジン部に不調をきたしていたプレアデス級戦艦であることも判明。
デザリアムの説明によれば、15年前の3184年に到着したプレアデス級を回収し、艦内で発見されたサーシャと新見さんを調査した結果、時空結節点の存在に気が付き、今回の「過去にさかのぼってのやり直し計画」が立案されたとのこと。
そのためにも、新見さんとサーシャを乗せたプレアデスは難破してもらわなければならず、そのために、6話でのサーシャ拉致作戦が行われ、あえてエンジン部が不調なプレアデス級戦艦で送り出したらしいです。
なるほどこの説明をうのみにすれば、確かにサーシャの存在は「時の輪の結び目」であり、ランベルとアルフォンが言う「すべてはすでに起こった事」「そして、これから起こること」ですね。
ただこの説明、よくよく考えると矛盾があります。
まず一つ目はこの時空結節点の発見には、サーシャ(と新見さん)は特に重要ではないということです。
実際、時空結節点の発見で重要なのは、「15年前の3184年にこの時代にはまだ存在しないプレアデス級戦艦が到着した」という事実のみであり、積み荷がなんであるかは特に関係なかったはずです。
というのも、このプレアデス級戦艦には運用クルーがおり、しかも様々なデータがコンピューターに記録されいるはずであり、当然ながらそれらも回収されたはずです。
この時点で、3184年のデザリアムは時空結節点の存在に気づくことが出来るはずです。
作中で「繰り返す必要があったのです」とガザン司令は言っていますが、「繰り返す必要があった」のは「発見されたプレアデスを2207年の何月何日に3199年に向けて送り出す」こと(その日付に送り出されたプレアデスが15年前の3184年に漂流することは確定しているので)だけであり、むしろ15年前の自分たちに時空結節点の存在を知ってもらうことを目的とするならば、漂流予定のプレアデスにサーシャや新見さんを乗せておくよりも、関連資料を乗せておいた方が親切です。
そもそも彼らは歴史を修正しに来ているはずであり、「プレアデスから発見されるものが変わる」程度の修正もできないようであるならば、歴史をやり直すことなど不可能という事になります。
二つ目は、3199年のデザリアムが得ている情報に対する矛盾です。
彼らの言っていることを信じるならば、少なくとも「3199第2章」時点の情報までは送り手のデザリアムは正確に把握しているはずであり、それを3184年の自分たちに送ることが出来るはずです。
これが何を意味するかというと、
・2205年に行うイスカンダル移送計画が「地球」(ヤマト艦隊)の介入で失敗する
・オペレーションDADの詳細
・2207年、ヤマトがイカルス天文台にあること
・2207年、「イスカダルの欠片」がイカルス天文台にいる
といった事実を、「イスカンダル移送作戦」を発動させる前の自分たちに伝えることが出来るという事です。
もしこれらの情報を過去の自分たちに伝えていれば、より万全を期した行動で「イスカンダル移送作戦」成功させることが出来たはずです。
彼らの言葉を信じるなら、2205年の「イスカンダル移送作戦」が成功していれば万事問題なかったはずであり、それならばまず真っ先にこの作戦が成功するよう歴史修正を図るはずです。
しかし実際は、2205年の「イスカンダル移送作戦」では、メルダ―ズは介入してきたヤマト艦隊の存在を知らず、アルフォン達も「イスカンダル移送作戦が失敗した」という事を前提に動いいます。
これはあまりにおかしいです。
また仮に「イスカンダル移送作戦」に失敗したとしても、これらの情報が伝わっていれば、2207年地球占領と同時に「ヤマト(純正波動コア)」と「イスカンダルの欠片」両方を押さえる事ができたはずですが、実際、「ヤマト」と「イスカンダルの欠片」の隠し場所を全然把握しておらず、右往左往することになりました。
これを見ると、とても「3199第2章」時点の情報を掴んでいるとは思えず、この時点で得られている情報に矛盾があると言えます。
サーシャの話は嘘?
以上のことを考えると、「事故により15年前の3184年に到着、結果として千年後の地球で15年過ごすことになる」というサーシャの話そのものが嘘であり、サーシャと新見さんはデザリアムが送ろうとしてた3199年世界(仮)にちゃんと到着したのではないかと思います。
これはあくまで私の勝手な予想になりますが、恐らくこの時、サーシャの精神は17歳の義体に移し替えられるとともに、様々な知識と嘘の記憶を植え付けられたうえで、あえてガミラスに拾われるように解放されたのではないでしょうか。
つまり、彼女自身は嘘を言っているつもりはないが、偽りの記憶によって嘘をつかされているのではないかと思います。
実際、デザリアムが任意的に成長した姿にすること、さらにそれはデザリアム人以外にでも可能な事は、第4章内で、フルールが義体を入れて身長が伸びていること、藤堂信乃さんが北野艦長にデザリアムの技術を使えば健全な生身の肉体に戻れることを話をしていることで示されています。
サーシャが年齢のわりに精神が幼すぎる事を西条さんや真田さんが疑問に感じている様子が本編内で描かれおり、一応、育った環境のせいではないかという回答はなされていましたが(真田さんはなお納得していないようですが)、もし2歳児の精神を無理やり17歳の姿に詰め込んだ姿であるとしたら、第4章でのサーシャの幼さも納得できます。
では何故、デザリアムはあえてサーシャをこのような姿にした上で解放したのか?
その目的は2つあると思います。
1つは成長したサーシャという証拠を見せる事で、「千年後の地球から来た」というデザリアムの主張をヤマトクルーに信じ込ませることです。
実際、成長したサーシャの姿を見て、彼女の話を聞いたヤマトでは「デザリアムの言っていることは本当だったのではないか?」という空気が流れる事になりました。
デザリアムとしてはこれでクルー達の心が折れて、投降してくれれば御の字というところだったのではないでしょうか。
もう1つは、恐らくこれが本命ですが、「純正波動コア」を搭載したヤマトがデザリアム本国に来るよう誘導させることではないかと思います。
実際、ヤマトと再会してからの彼女は、周囲の慎重論を否定し、一貫してデザリアム本国に向かう事を強硬に主張していました。
むろん、サーシャにもデザリアム本国に向かうべきちゃんとした理由がありましたが、ヤマトがデザリアム本国に向かうことは、ヤマトがデザリアムに捕縛される危険性が増すという古代の指摘はその通りであり、向かうにしてもそれなりに慎重に行動するという方針は決して間違っていません。
にもかかわらず、サーシャの主張は、ただひたすら真っすぐにヤマトを本国に向かわせおうというものに終始しており、そこに何らかの意図を感じられずにはいられません。
これはあくまでも私の推測になりますが、恐らくサーシャが新見さんに持たされたと言っているマザーデザリアムの修正プログラムは、デザリアムが用意したダミーであり、新見さんを見捨てたという記憶も偽りなのではないでしょうか。
そして、この偽りの使命と記憶による強迫観念で、ヤマトをデザリアム本国に向かわせ、逃げ場のない自分たちのホームグラウンドでサーシャ自身とヤマトを一挙に確保しようというのがデザリアムの計画だったのではないかと思われます。
ただ、ここで誤算だったのは、サーシャ自身がヤマトクルーやラム、そして藪の家族との交流を経て、短期間で人間的に成長し始めてしまったこと(恐らく個人というものが乏しいデザリアムでは他者と交流する事で成長するという事実が軽視されている)、そして、ラムによって「ウラリアの魔女」の情報がヤマトに伝わり、デザリアム本国ではなく、暗黒ガス星雲の不可侵宙域への調査航海が優先されたことだったと思われます。
これは完全にマザー・デザリアムの計画にはない事態であり、ランベルにヤマトの調査航海を阻止するように伝えたマザーに余裕が無かったのも(それ故、必要もない失言で、ランベルの反感を抱かせる結果にもなった)、それが原因だったのではないでしょうか。
今章で物語に本格的に関わってきたサーシャですが、恐らく今後、彼女の「人間」としての成長が、デザリアムの計画通りに進んでいる現状を挽回するきっかけになるのかもしれませんね。