11番惑星の軍事的価値

皆様こんにちは
いよいよ9月に突入、「2205‐新たなる旅立ち‐」の公開までいよいよあと約1ヶ月。
6月の「ヤマトという時代」公開時には随分先の事だと思っていましたが、いざとなるとあっという間ですね。

さて少し前の記事になりますが、「土方さんの11番惑星赴任は左遷だったのか?」について、11番惑星の軍事的価値について疑問視するご意見をいくつか頂いておりました。
そこで今回は、補足として11番惑星の軍事的価値について検証してみたいと思います。

11番惑星について

そもそも11番惑星とは一体どのような星なのでしょうか?
2202本編において11番惑星に関する情報は非常に少なく、確実に判明していることは次の3点のみです。

①太陽系のもっとも外側にある
②テレザート星へ向かう航路からは外れている
③ガミラス戦争時にガミラスが発見し、基地の建造を進めていた。

テレザートの位置については当ブログも非常にお世話になっている鮫乗り様の「鮫乗りのブログ」でアップされていた「2202第6話『11番惑星は航路のはるか外だ。の謎』」で具体的な検証をされておられていましたが、残念ながら場所までは特定されておりません。
ただし、個人的には11番惑星は旧ヤマトでも描かれたような「天の川銀河中心部」方面に向かう位置にあるのではないかと睨んでいます。
その理由は、ガミラスがわざわざこの惑星に軍事基地を建造していたことです。
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ガミラスによる11番惑星基地建造の理由

そもそもなぜガミラスは何故、11番惑星に基地を建造していたのでしょうか?
2202第6話の会話で11番惑星基地は「ガミラスの兵站基地」といわれていましたが、ガミラスは人工太陽を持ち込むなどかなりの資材とコストをかけて建造を進めており、単純な兵站基地とは思えません。
その一方、太陽系攻略には既に最大の拠点というべき冥王星基地が存在しており、これほどの大規模な基地は既に必要はなく、さらに地球の滅亡があと1年であったにもかかわらず11番惑星基地は未完成であったことを考えると、ガミラスにとって11番惑星基地建造は太陽系攻略を目的としたものではないことは明らかです。
結論から言ってしまえば、この11番惑星基地は「地球攻略後に、銀河系中心部へ進出する為の前線基地」として建造していたのではないでしょうか?

以前アップした「ガルマン星とデスラー総統(2205冒頭ネタバレあり)」という記事の中で、私は以下のような仮説を立てていました。

デスラー総統には地球をガルマン星開放までの一時的な本拠地として利用する目的で侵攻したのではないでしょうか。
そもそも、いくら地球の条件が良いとはいえ、人工的な惑星改造によって、特殊なガミラス人が永続的に居住できる惑星にすることが出来るのか疑問です。
しかし本命であるガルマン星を確保するまでの一時的な仮宿として利用するだけなら、条件を満たすことが出来たのではないでしょうか。
つまり地球は、ガルマン星を確保するまでの一時的なガルマン国民の収容先であり、そしてガルマン星開放のための銀河系内におけるガミラス帝国の拠点予定地として目をつけられたのではないかと思われます。

もしこの仮説が正しいならばデスラー総統としては、ガミラスから移住してきた非戦闘員は後方の地球に住まわせ、自分と軍はこの11番惑星基地を大本営として銀河系中心部への進出とガルマン星の確保を行うつもりだったのではないでしょうか。
これならば、太陽系攻略と同時期に建造が行われていたこと、さらに人工太陽の設置などコスト無視の基地建造が行われていたのにも納得です。
なお、2202でこの11番惑星基地が「兵站基地」として認識されていたのは、デスラー総統が最終目的を隠すために「11番惑星基地は兵站基地」であると情報操作を行っていたからではないでしょうか。
またそれを信じさせるために完成した部分が実際に兵站基地として使われていた可能性が高いです。

地球にとっての軍事的重要性

さて、ここまではガミラスにとっての軍事的重要性となりますが、一方で地球にとっての軍事的重要性はどうなのでしょうか?
地球はデスラー総統と異なり天の川銀河中心部への進出は別に考えていません。
また、対ガトランティス戦での基地としては、主戦場と考えられるマゼラン銀河やアンドロメダ銀河方面と離れているため、一見すると軍事的価値は低いように思えます。

しかしこれはあくまでもガトランティスを敵として想定した場合の話です。
そもそも2202年当時の地球連邦の軍事再建計画はガトランティスを仮想敵としたものではなかった可能性が高いです。
忘れがちになりますが、2199でのガトランティスはガミラスから「凶暴な蛮族」という扱いであり、対等の敵対国家とは見なされてはいませんでした。
恐らく2202当初の地球連邦のガトランティスに対する認識もこのガミラスの認識に準じたものだったでしょう。
その認識が変わったのは、2202本編でヤマトがガトランティスの本隊である白色彗星に接触したことでそのヤバさを知ってからであり、それ以前はガトランティスが地球の存亡を左右するような存在とは思っていなかったと思われます。
では、なぜガトランティスを軽視していた地球連邦がああも急いで強引な軍事再建計画を実行に移したのか。
恐らくそれは同じ天の川銀河に存在するボラー連邦を知ったからであると思われます。

ガミラス戦争後の地球がどこまでボラー連邦の情報を掴んでいるかは分かりませんが、少なくとも同盟国となったガミラスから、天の川銀河中心部にガミラスに匹敵する強大な星間国家がある事は伝えられても不思議はありません。
これまでは全く接触はなかったとはいえ、同じ銀河にガミラスにボラーの存在を知らされた地球としては、宇宙海賊程度の脅威しかないガトランティスよりも、強大な星間国家ボラーを仮想敵と認定するはずであり、地球連邦の軍事再建計画は全て対ボラーを想定したものにされていたはずです。、
そしてこの再建計画に従うならば、銀河系中心部の入り口であり、対ボラーの最前線基地に想定された11番惑星は地球にとっても最重要拠点として認定されていてもおかしくはありません。
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想定されたボラー戦

これはあくまで予想ですが、地球連邦は近い将来、ボラー連邦との開戦がある事を予期していたのではないでしょうか。
というのも、デスラー総統が残した資料からガミラス本星の寿命が近い事を知ったガミラス民主派政権は、デスラー総統と同様、銀河系中心部に第二の母星となるべ星を求めて進出する事を決断したとしてもそこまでおかしくはありません(ガルマン星の存在を知っていたかは微妙ですが)。
ガミラス民主派政権からその進出計画を聞かされていた地球連邦は、同盟国としてガミラスをバックアップする事を決断し、ガミラスが銀河系中心部に進出する事で避けられないであろうボラー連邦との開戦を見越して秘かに準備を進めていたと思われます。
その結果が、波動砲艦隊の迅速な戦力化であり、11番惑星基地の強化だったのではないでしょうか
とくに後者に関しては、ガミラス遠征艦隊の後方支援とそれに協力する地球外洋艦隊の指揮・運用を行わなければならない事から、地球にとっての切り札ともいえる名提督である土方宙将を配置し、対ボラー戦への全権を任せる予定だったと思われます。

つまり、2202当時の土方宙将に課されていた任務は

①11番惑星におけるにガミラス人と地球人の協力体制の確立
②近い将来、開戦が確定している対ボラー戦の最前線基地となる11番惑星基地の完成
③銀河系中心部における情報収集

という、軍人・政治家両方の資質が求められる非常に困難なものだったのでしょう。
対ガトランティス戦の第1線任務から外されたことから左遷されたという印象が強いですが(実際、波動砲を巡る問題に関連して中央から遠ざけたという側面はあるでしょうが)、2202序盤の地球にとって対ガトランティス戦は、宇宙海賊退治や対ボラー戦を想定した予行練習的な意味合いが強く、そんなものに関わらしておくよりも、本命である対ボラー戦争の準備を進めさせておく方が有意義とされたのが、土方宙将の11番惑星派遣の真意だったのではないでしょうか。

以上の理由より、11番惑星は地球にとっても軍事的に重要拠点であり、土方宙将の11番惑星赴任は必ずしも左遷ではなかったと断言できます。
地球にとっても土方さんにとっても不運だったのは、ガトランティス本隊が予想以上にヤバイ存在であったこと、そして11番惑星基地の防衛体制が完成するよりも前にガトランティスが太陽系に進出してきたことだと思われます。
もし、ガトランティスがテレザート星を発見できず、本隊の行動が停止していたとしたら、土方宙将は11番惑星の概要方面艦隊総司令部で対ボラー戦の総指揮を執るというIFがありえたのかもしれませんね。

なお余談ながら11番惑星に駐留する艦隊がいなかったのは、銀河系中心部の偵察任務で出払っていたからかもしれませんね。
逆に言えば、透子の情報でそのことを知っていたからガトランティスの先遣艦隊が11番惑星に仕かけたのかもしれません。

コメント

  1. maru-chan より:

    SECRET: 1
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    11番惑星と言う名前を文字通りとれば、太陽の周りを公転しているので、地球より銀河中心方向に留まることはないのでは?
    非常に公転周期が長く、数十年に渡り、概ねその方向に位置する、と言うのはあるかもしれませんが

  2. 山城2199 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    maru-chan様、コメントをありがとうございます。
    これは小説版での補足なのですが、11番惑星は本来太陽系の外にあった星であり、それをガミラス戦争後に自国の領土として組み込んだ地球が太陽系の範囲を11番惑星の位置まで広げたとされています。
    それを考えると、11番惑星は太陽を中心とした公転運動をしていない可能性があります。
    仮に公転運動をしているとしてもそれは銀河系中心部とリンクした動きであり、相対的に銀河中心方向に留まることになるため、対ボラーの前線基地として問題は生じないのではないかと考えております。

  3. TORA より:

    SECRET: 0
    PASS: b5b3517228c0045c39f3fe606d20e5bd
    こんにちは。
    11番惑星の考察、ありがとうございました。
    不明点の多い11番惑星ですが、2202を見直していて気が付いたことで劇中から判明した数少ない情報ですが以下がありました。
    ・黄道面から外れた楕円軌道で公転していることをコズモダートが発言しています。
    ・11番惑星救出検討の際、テレザート(白色彗星)へ向かうヤマト航路から少々反時計回り方向に存在していることがパネル表示で判ります(この図でも公転していることが判ります)。
    ・レギオネルカノーネの解析をしたアナライザーによって半径2万キロの消滅範囲に11番惑星はすっぽり入ることが判ります(だいたい地球と同じくらいの大きさに見えます)。
    他に気が付いたらまたお知らせします。

    追伸
    以前に指摘させていただきました「11番惑星が襲撃された際に敵の接近を察知できていない、襲撃を防衛軍本部にアラームできていない」ことに関して2202を見直していたところ、透子への尋問で襲撃の直前から大規模なレーダー障害が発生していたということが述べられていました。自己解決できましたことをお知らせしておきます。

  4. maru-chan より:

    SECRET: 0
    PASS: 69add35aa3d4d6b71e834644b600a66e
    早々にコメ返しいただき、ありがとうございます。
    先のコメントは管理人限りで送ってしまったのですが、趣旨は「惑星なので、太陽系の銀河中心方向に留まらないのでは」と言う疑問でした。
    が、その後のご指摘も踏まえると、冥王星ですら公転周期274年。11番惑星は更に公転周期が長く、少なくともここ数十年は太陽系の銀河中心方向に位置する。
    と言う解釈がスッキリするように思います。
    こういう枠外での議論を楽しむお題を提供していただいて、ありがとうございます。

  5. 鮫乗り より:

    SECRET: 0
    PASS: 83230c0d949bf67937d783bd323b72f5
    山城2199様、ご無沙汰しております。

    私が気になるのは、やはり第十一番惑星までの距離です。

    小説版の設定を引用すると、3万年周期の長楕円軌道とのこと。
    冥王星の公転周期が248年ですから、ざっくりと100倍以上です。
    冥王星と地球の距離が、これまたざっくりと30AUなので、100倍して3000AU。「2202http://blog.livedoor.jp/monocarver/archives/52234858.html
    で考察した距離とほぼ合致します。

    すると、その距離は0.5光年にも満たないわけです。
    銀河系の直径10万光年に対して、この距離は無いに等しい距離なわけで、地球と第十一番惑星を、対ボラーの基地として別個に扱うほどの意味は、距離の点からみて無いような気がします。

    ということから、私はこのように妄想しました
    http://blog.livedoor.jp/monocarver/archives/52287468.html

  6. 山城2199 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    TORA様、コメント&情報提供をありがとうございます!
    11番惑星については判明していない事も多いので、今後の作品でまた新しい設定が出てくる可能性もありますね。
    ただ個人的には戦略的にまったく無意味な場所に軍事基地などを設けるとは思えませんので、地球も11番惑星に何らかの価値を見出していたことは間違いないと思っております。

  7. 山城2199 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    maru-chan様、コメントをありがとうございます!
    こちらこそ、説明の補足、誠にありがとうございます
    ヤマトについて無責任な考察を好き勝手にやっている「ヤマトな日々」ですが少しでも参考になって頂けたのならば幸いです。
    今後ともよろしくお願い致します!

  8. 山城2199 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    鮫乗り様、ご無沙汰いたしております。
    コメントを誠にありがとうございます!

    >銀河系の直径10万光年に対して、この距離は無いに等しい距離なわけで、地球と第十一番惑星を、対ボラーの基地として別個に扱うほどの意味は、距離の点からみて無いような気がします。

    この点については、地球を手に入れた後を見据えての11番惑星基地建設だったのではないでしょうか?
    無事当初の目的通り地球を手に入れたとしても、その段階では地球は遊星爆弾の攻撃で更地であり、基地や軍艦の整備ドックは1から作らなければなりません。
    いくら大ガミラスとはいえ、短期間で大規模な軍事基地を完成させることは不可能であり、しかももしその時にボラーからの攻撃を受けてしまったらひとたまりもありません。(ガミラスが太陽系に大移動した場合、その動きは絶対にボラーにバレますので)
    そのため、地球を入手するよりも前にボラーへの備えとして大規模な軍事基地を完成させておく必要があったのではないでしょうか?
    そのために選ばれたのは11番惑星であり、地球占領よりも前から基地の建造計画が勧められていたのではいかと思います。
    ちなみに冥王星基地を使えばよいのではいかという意見もあるかもしれませんが、恐らくあの規模の基地ではガミラス全軍を収容する事は不可能であり、また冥王星が小さな準惑星であることから更なる拡張は見込めないなど様々な要因も重なり、11番惑星基地の建造が決まったのではないかと思っています。

    あくまで勝手な想像に過ぎませんが如何でしょうか?
    最近忙しくて更新頻度が激減しておりますが、今後ともよろしくお願い致します。