【コラボ企画】宇宙戦艦ヤマト2205-想像篇-②

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皆様こんばんは!
引き続き、レインマン様の「2205‐新たなる旅立ち‐」予想の全文第2章をお送りします。
まだ第1章を読まれていない方は、そちらのほうを先に読まれてからお読みください!
【コラボ企画】宇宙戦艦ヤマト2205-想像篇-①

ディンギル

アンドロメダ銀河の暗黒星団にあるアンファ恒星系第二惑星ディンギルは、滅亡の危機に瀕していた。突如接近して来た回遊水惑星アクエリアスにより、惑星全土が水没したためであった。ディンギル星は、高度に発達した科学文明を持っているが、その科学技術を以ってしてもアクエリアスの接近とそこから発せられる大量の水柱による惑星規模の洪水を防ぎ得なかった。
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ディンギル王家に伝わる秘伝書によると、水惑星アクエリアスは、古代アケーリアス文明の遺跡の一つ「恵みの箱舟」であり、「滅びの箱舟」白色彗星ガトランティスの消滅を引き金に、回遊を始めるという。その役割は、破壊の後の再建の礎となる水をもたらすことであった。ガトランティスが破壊し尽くした文明の焦土となった惑星の地表を、アクエリアスのもたらす大量の水で満たし浄化する。然るのちに「播種の箱舟」シャンブロウが新たな生命を発芽させる。このプロセスこそが、古代アケーリアス文明が全宇宙に広がっていったスクラップ&ビルドのプロセスであった。そしてその古代アケーリアス文明の直系がディンギル星の民であったが、ガトランティスの離反により、そのプロセスのコントロールは失われてしまっていた。ウルクの中枢である神殿デザリアムにコントロールシステムが残っているが、それを稼動させるためのコアが失われているのだ。そのコアこそ、イスカンダルのエネルギー中枢を司る波動ジェネレーターのキーデバイスであるオリジナル波動コアであった。

ディンギルの支配者であるグレートエンペラー・スカルダートは、それでもアクエリアスをコントロールするべく、神殿デザリアムを司る大神官ルガールに命じて、コアなしに波動ジェネレーターを作動させるが、制御出来ないエネルギービームが暴走し、ディンギル本星の地殻を破壊してしまう。それによりディンギル本星はアクエリアスによる洪水が引いても人の住めない星となってしまった。スカルダートは己れの引き起こした惨事を隠蔽するために、ルガールを殺害した上、惨事の責任を全てなすりつけた。こうしてスカルダートは、ルガールと逃げ遅れた民の半数を犠牲にし、残る半数と共に箱舟ウルクで脱出した。
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オリジナル波動コアは、ヤマトの波動エンジンに使われている波動コアの原型であるが、そのまま複製は出来ない。ヤマトで使われている波動コアは謂わば簡易版であって、オリジナルに比べると制御出来るジェネレーターの規模が限られるし、セキュリティにもやや脆弱性がある(ヤマトの波動エンジンが反波動光子による干渉を受けたのもそのためだ)。デザリアムの動力システムに使われていたオリジナル波動コアは、ガトランティスに奪われ、そのガトランティスが滅びの方舟である白色彗星と共に失われた今となっては、イスカンダルのものが唯一であった。オリジナル波動コアをデザリアムの動力システムに接続すれば、水惑星アクエリアスを自在にコントロールすることが出来るようになり、今度はそのアクエリアスを用いて他の星を征服することも可能になる。そうして、ディンギルの民が移住するための新天地を得るのだ。

スカルダートは、オリジナル波動コアを求めてメルダーズ将軍のゴルバを大マゼラン銀河のサレザー太陽系に向かわせたのであった。
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メルダーズ配下の要塞ゴルバ駐留艦隊司令ザール提督は、大神官ルガールの子であったが、彼は父がスカルダートによって汚名を着せられ謀殺されたことはむろん知らされていなかった。むしろディンギル星を死の星にした罪人の子として、今回の任務を成功させ、多少なりとも汚名返上を図りたいと思っていた。

自律型浮遊要塞ゴルバSIDE

ゴルバは、メルダーズ将軍率いるディンギル星軍の尖兵を務める自律型浮遊要塞である。その名の通り要塞として、内部に戦艦、駆逐艦、巡洋艦から成る艦隊を納めているほか、自律型として、戦場を自由に移動でき、機動性の高い艦隊運用が可能である。また要塞としての防御力に優れ、ガミラスや地球艦隊の主砲は、エネルギー弾も実体弾も通用しない。要塞自体の火力としては、大口径の主砲を持ち、その威力は一個艦隊を瞬時に殲滅することが出来る。ただし火線の自由度は低く、要塞自体の向きに限定されるので、攻撃用としての使い勝手は良くない。あくまでも防御用である。
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メルダーズ将軍は、ゴルバからデーダー大佐率いる海兵隊をイスカンダルのダイヤモンド大陸に上陸させ、女王スターシャの居城であるクリスタルパレスを攻略した。パレスの防衛に当たるヒューマノイド兵を蹴散らし、スターシャに対してオリジナル波動コアを渡すよう通告したところに、バーガー司令麾下のザルツ人部隊が駆けつけ、3年前からイスカンダルでスターシャの護衛に就いていたメルダ・ディッツと共にデーダーらのディンギル海兵隊を退ける。怒ったメルダーズは、ゴルバの副砲を地上目掛けて直接掃射し、ザルツ人部隊を虐殺していった。メルダも銃撃を受けて重傷を負う。

デスラーは、地球からの救援としてヤマトがイスカンダルに向かったことを知らされ、ヤマトが到着するまでの時間を稼ぐべく、バーガー司令に命じて残存艦艇を集結させ、ゴルバに総攻撃をかける。だが、ゴルバの防御は厚く、一隻また一隻と艦艇が打ち減らされていく。バーガーの指揮するデスラーの乗艦が最後の一隻になり、あわや撃沈寸前となったとき、ヤマトがワープアウトする。
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イスカンダル

スターシャ・イスカンダルは、悲嘆に暮れていた。かつての過ちから武力を捨て争いから離れて、自らの星の文明が衰退し民が滅ぶ運命すら受け入れたはずなのに、今自分が直面している事態は、一体如何なる地獄なのか。イスカンダルはとうに星としての寿命が尽き、イスカンダルの民もスターシャとユリーシャの王家最後の姉妹が残されているだけだった….もう1人を除いて。
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イスカンダルは墓標の星なのだ。惑星表面の豊かな自然は、実は1千年前にガトランティスが離反した際その攻撃によってイスカンダル全土が焦土と化し、かろうじて生き延びた王家の一族がコスモリバースによって回復させたものである。残された王家の人間は墓守としてのみ存続しているのだ。イスカンダルの民が滅びの運命を受け入れたのは、波動エネルギーを武力に用いて宇宙全体に覇権を唱えたことへのしっぺ返しのようにガトランティスの攻撃による惑星全土の焦土化という現実に直面し、武力放棄による不戦の決意と平和を希求するための援助活動に徹し、結果としてイスカンダル星としての文明が衰退し、民が滅亡に向かっても止む無しとしたことであった。それが覇権国家として多くの星々を隷属させていたことへの贖罪でもあると。

(その私たちが、今また戦乱の源になろうとしている…)

思えば8年前に、ガミラスの攻撃によって滅亡に瀕した地球人に救済の手を差し伸べ、波動エンジンの設計図とキーデバイスの波動コアを与えると、地球人はそのテクノロジーを用いて波動砲と呼ばれる波動エネルギーを兵器に転用したものを作り出してしまった。それを知ったときスターシャは、王家の末裔として自分は恐ろしい過ちを犯してしまったのではないかという疑念に捕らわれたものだった。その後、ユリーシャからの報告と、ガミラスのヒス副総統(当時)の証言、そして何よりヤマト艦長・沖田なる人物による不犯の誓約とによって、地球人類への救済を改めて決意し、コスモリバース装置を供出したのであったが、その後地球人は、沖田による誓約を破り、コスモリバースの負の遺産である時間断層を悪用して波動砲艦隊なぞという更なる罪悪を産み出し、ガトランティスとの殲滅戦に突入してしまった。スターシャは、今度こそ地球人を信用に値しない種族と判断せざるを得なかった。

(しかし、古代守が…)
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スターシャが、ガミラスの捕虜となりその輸送船の難破によって負傷した地球人の青年を助けたのは全くの偶然であった。その青年、古代守の故郷地球に対する深い思いと、その救済を願って自らの身を顧みることなく僚友を助けるために自己犠牲をも厭わなかった気高い精神は、スターシャの心を激しく揺さぶった。古代守の一途な思いに触れるたびに、スターシャは逃れようもなくその青年に惹かれていく自分に気づいた。王家の末裔として自らを律し、誰にも心の奥底をさらけ出したことのなかったスターシャは、初めて自分が抱いた感情に激しく戸惑った。それはあるいは所謂ナイチンゲール症候群から発した恋心だったのかもしれない。しかしこの墓標の星に独りぼっち(妹たちはいたが、女王としての重い責務を背負っているのは彼女だけであった)の、その孤独な精神に入り込んでくる古代守の姿にスターシャは抗い切れなかった。遠く離れた地球と残してきた恋人の薫を想い、ひとり涙を堪える守に、スターシャは自分の気持ちを伝えずにはいられなかった。そんなスターシャを守は受け入れ、二人は結ばれた。しかし遭難時に負った深い怪我は守の身体を蝕み、ついには命が尽きてしまう。そして…

スターシャは決意した。ディンギル人がオリジナル波動コアを欲するならば渡そうと。ただし、そのための条件を付ける。

オリジナル波動コアを接続してアクエリアスをコントロールし水没させる先は、天の川銀河オリオン腕太陽系第三惑星地球に限定すること。それがイスカンダルの信頼を裏切った地球人に対する罰だ。

しかし、地球人にも最後のチャンスを与えよう。そう、最後の希望を「彼女たち」に託して…。
【第2章完】