ラムダから見えるアナザーヤマトの難しさ

皆様今晩は!
今回は今月無事完結を迎えた「StarBlazers Λ」を通してアナザーヤマトの今後を考えてみたいと思います。

その前に、まずは吾嬬竜孝先生、「StarBlazers Λ」の完結おめでとうございます!
そして約2年に及ぶ連載、お疲れ様でした!
この2年間、このような素晴らしい作品を読ませて下さったことに対し、この場を借りて心より厚くお礼申し上げます。

さて前述したとおり今月無事完結を迎えた「StarBlazers Λ」ですが、個人的な感想を言わせて頂くならば非常に素晴らしい作品だったと思います。
どちらかというと私は途中からユウ達の戦いよりも、アレクセイやアビーさんがメインとなる大人パートの方が気に入っておりましたが、間違いなくSF漫画として傑作であると私は断言します。
ただ、その上であえて言わせてもらいますが、最後までこの「StarBlazers Λ」を最後まで読んで私が思ったことは「これヤマトじゃなくても良いよね」というものでした。

アナザーヤマトとして登場した「StarBlazers Λ」の全否定してしまうようで申し訳ないのですが、間違いなくこれが私の正直な感想です。
少なくとも私は途中からこの作品を「StarBlazers Λ」というタイトルのオリジナル作品として楽しんでおり、ヤマト作品を読んでいる感覚はほとんどありませんでした。
では何故私はこの作品を「ヤマト作品」と思えなかったのか
おそらくそれは「宇宙戦艦ヤマト」という艦が登場する事が「ヤマト作品」の条件ではなかったからだと思います。

「ヤマト作品」の条件とは?

ヤマトと並ぶSFアニメの金字塔である「機動戦士ガンダム」は本筋である「宇宙世紀シリーズ」以外に設定も登場キャラクターも異なる「アナザーガンダム」と呼ばれるシリーズを展開しています。
設定もキャラクターも違う作品がガンダムシリーズとして認識されるのは、作中内に「ガンダム」というMSが登場しているからに他なりません。
ならば、「アナザーガンダム」と同様に作中に「ヤマト」という宇宙戦艦が登場すればその作品は「アナザーヤマト」になる。
恐らく「StarBlazers Λ」を企画したヤマト製作委員会はそのように考えただろうし、最初、私もそうであると信じていました。
しかし、結論から言えばこれは誤りでした
実際にアナザーヤマトとして登場した「StarBlazers Λ」を読んで感じたのは、作中に「ヤマト」という名の宇宙戦艦が登場したところで、それは「ヤマト」が登場するだけであって、決して「ヤマト作品」と呼ばれるものにはならないということです。

これはあくまで私の個人的な考えですが、「ヤマト」を「ヤマト」たらしめているのは、実は「ヤマト」という艦ではなく沖田艦長や古代進、森雪、デスラー総統といったキャラクターなのではないでしょうか。
それをはっきり示したのが昨年に単行本化した「宇宙戦艦ヤマト 黎明篇 アクエリアス・アルゴリズム」です。
完結編と復活篇を結ぶ物語であったこの作品ではヤマトの出番はほとんどありませんでした。
それにも関わらずこの物語がヤマト作品として違和感が無かったのは、古代や雪をはじめとするヤマトに登場したキャラクター達の物語としてしっかり成り立っていたからに他なりません。
はっきり言えば、「宇宙戦艦ヤマト」はヤマトの物語ではなく、古代をはじめとするヤマトクルー達の物語なのだと思います。
それゆえ、古代たちヤマトクルーが搭乗しない「StarBlazers Λ」は、ヤマトが登場しても「ヤマト作品」には成り得なかったのではないでしょうか。

アナザーヤマトの今後

繰り返しますが、「StarBlazers Λ」は間違いなく名作です。
しかし同時に「ガンダム」とは異なり、キャラクターや世界観を変えた「アナザーヤマト」を展開をすることは非常に難しいことも証明したと思います。
もし今後、ヤマト作品を展開していくとしたらそれは、「StarBlazers Λ」のような全く異なるストーリーを作り出すのではなく、従来のヤマト作品を広げていく方向になるのではないでしょうか。
特に「アクエリアス・アルゴリズム」」のヒットで、ヤマトが登場しなくてもヤマト作品は作りえるということが証明された以上、今後はこのような外伝物が注目されることになると思います。

確かに「宇宙戦艦ヤマト」という世界に縛られることは1つの呪いなのかもしれません。
しかし同時にその世界にはまだまだ未知の物語を秘めた無限のフロンティアが広がっていると思います。
無理してアナザーヤマトを作り出すよりも、そのフロンティアを開拓していく方が今後のヤマトにとっては大きなプラスになるのではないでしょうか。

コメント

  1. 香取 より:

    初めてコメントを投稿させていただきます、香取です。時間が空いた時に山城さんのサイトを見ています。
     今後のヤマトシリーズの主に外伝についてですが,キャラクターにフォーカスを当てるよりも舞台そのものにフォーカスを当てるのがいいかなぁと個人的に思います。
    具体例を挙げると良くNHKさんがやっている世界ふれあい街歩きをヤマトの舞台(特にガミラス)でやるのがいいかなと思っています。
    ガミラスに関して限定的ではありますがメリットもちゃんとあります、外伝の投入時期にもよりますが(2199~2202の5章までなら)ガミラスの惑星の寿命の伏線にも使えますし(具体例として地形がらみのネタを物語内で言及する),ガミラスの登場キャラ(特にデスラーやドメル将軍の)有名キャラクター趣味等に言及とかあとあまり頭を使わないで済むですね。
     デメリットとしてはインフラやガミラスの気象や文化の発展過程や建築物の構造とかですかね中途半端にやってしまうと見る側から突っ込まれてしまうことですね。

    • yamasiro2202 より:

      香取様、コメントをありがとうございます!
      また度々当ブログを訪問していただいているとのこと。
      心よりお礼申し上げます
      好き勝手にやっている「ヤマトの日々」ですが、今後ともよろしくお願い致します。

      >舞台そのものにフォーカスを当てるのがいいかなぁと個人的に思います。
      >具体例を挙げると良くNHKさんがやっている世界ふれあい街歩きをヤマトの舞台(特にガミラス)でやるのがいいかなと思っています。

      おお、なかなか面白そうなネタですね。
      好き嫌いが分かれそうな内容なので正規の作品として形にするのは難しそうですが、特典映像の短編アニメとして収録すればかなり人気が出そうな気がします。
      是非作っていただきたいですね!

  2. ABARTH より:

    Λがヤマトたらないのは2520を観ればわかると思いますよ。ガンダムだって、主役メカがガンダムで他のメカよりも圧倒的に強いといったメカの設定と演出に支えられてます。ヤマトは確かにキャラが際立ってますから松本氏の新ヤマトに古代たちの子孫が代を重ねて同名で登場したのか、その理由を証明してますね。外伝なら2199や2202ののイスカンダルやテレザートでの航路でのエピソードか、西﨑御大の残した16代までのヤマトを埋めていく話でしょうか。そこにヤマトを継ぐキャラを出していくのがヤマトたるものになるかもしれません。デスラーズワーやイスカンダルのガミラスを植民地にする話なども地球の話から離れますがヤマトテイストを醸し出せるキャラが多数いるので短編なら成立するとは思います。とはいえ、必殺仕事人のように中村主水の出ない話、秀や勇次を主役にしたシリーズは今一盛り上りませんでした。今続いているシリーズも主水は死んでないことになってます。ヤマトがヤマトのコンテンツとして、ガンダム化を目指すのなら、メカがメカだけにむずかしいでしょうが、スタートレックのエンタープライズを参考にするのもありかもしれませんね。当然ですが、二代目ヤマトはラボラトリーアクエリアスではありません。あれはアンドロメダのバリエーションですからね。

    • yamasiro2202 より:

      ABARTH様、コメントをありがとうございます。
      また返信が遅くなって申し訳ございません。
      2520は途中で終わってしまったので何とも評価がしづらいですが、改めて見直すとヤマトの息吹はいくつか感じられるのですよね。
      全話完結すればまた違った評価になったのではないかと思います。
      ただあの作品はアナザーヤマトというよりも正統派続編として製作された作品なので、ラムダとはまた異なる作品だと思っております。
      新宇宙戦艦ヤマトは、最初は「ねえよ」と思っておりましたが、その後に松本ワールドで構築された設定を考えていくと、むしろ「ありかな」と現在は思っています。
      途中で終わってしまった作品ですが、またリスタートという形で作り直してくれないものか。
      流石に松本先生ご自身で作品を完結させるのは難しいでしょうから、絵師は他の方になりそうですが(苦笑)