ヤマトが総旗艦になれない理由

皆様こんばんは!!
今回はイスカンダル航海から帰還後のヤマトの地球防衛軍における立ち位置について検証してみたいと思います。

イスカンダルの航海を成功させ、ガミラスとの和平をも成功させたヤマトは地球にとって英雄的な戦艦です。
しかしイスカンダルから帰還したヤマトは、再編された地球防衛艦隊で総旗艦に就任するような華々しいスポットを浴びることはありませんでした。
普通に考えるならば2202年にアンドロメダ級やドレットノート級が就役するまでヤマトは地球軍において最大最強の戦力であり、当時、ガトランテイスという新勢力の存在が確認されている以上、ヤマトを総旗艦とした地球艦隊の再編が行われていても不思議はありません。
しかし帰還後のヤマトは予備役艦となり日陰者扱いされていました。

ようやく現役復帰が決定したのはアンドロメダ級をはじめとする波動砲艦隊計画が本格化してからであり、しかも時間断層で早期に改装を終えての現役復帰ではなく、通常の海底ドックで改装工事が行われていたという点を見ても、ヤマトに対する当時の地球軍首脳への期待の薄さが表れています。
なぜ帰還後のヤマトはここまで冷遇されることになったのでしょうか?

私個人はこの理由は恐らく1つではなく、様々な理由が複合的に存在していたよ考えています。

理由①:人材の分散配置による運用の困難

まず第1の理由はイスカンダル航海時にヤマトを運用していたクルーが、帰還後に分散配置されたことによりヤマトを運用することが困難になったことが大きいと思われます。
実際、イスカンダル航海時にヤマトに乗りこんでいたのは当時の地球軍において選り抜きの精鋭であり、なんとしても成功させなければならなかったイスカンダル航海はともかく、再編の時期に優秀なクルーを1つの艦に集中させるのは非効率であると判断されても不思議ではありません。
加えて、ガミラス戦争後はどこも酷い人材不足であり、降ろしたクルーの穴埋めを用意するのも難しかったのではないかと思われます。
結果として、ヤマトを運用するための十分な数のクルーを確保することができず、予備役艦扱いにせざるを得なかったのではないでしょうか。

理由②:喪失を恐れたため

また、ヤマトが何らかの理由で喪失することを政府ならびに軍上層部は恐れたのではないかと思われます。
というのも、ガミラス戦争直後のヤマトは地球にとって計り知れない価値を有しています。
まず1つは、イスカンダル航海を成功させ地球を救ったヤマトは純粋に地球市民の心の支えになっていたということです。
実際、2202でもガトランテイスが地球に迫った際、地球市民の最後の心のよりどころとしてヤマトの名前が出てくるほど、ヤマトの存在は地球市民にとっては文字通り「最後の希望」というべき艦だったのだと思われます、
そのような艦がもし万が一に喪失するような事態になったら、人心に与える影響が大きすぎます。
そのため政府や軍上層部はよほどのことがない限りそもそもヤマトを前線復帰させる気はなかったのではないかと思われます。

もう1つは、ガミラスに対する影響力です。
国力がはるかに劣る地球がガミラスと対等な同盟関係を構築できたのはヤマトの存在がやはり大きいと思われます。
いわば、ヤマトは存在しているだけで地球の安全保障を左右している存在であり、その意味でもヤマトの喪失は決して許せることでは無かったのでしょう。

ちなみに2202では、波動砲艦隊計画の一環でヤマトを改装したうえで現役復帰させましたが、その目的はガミラスへのアピールであり、加えて現役復帰後は波動砲艦隊用のクルーを育成するための教育艦的な運用を考えていたのではないでしょうか。
そのため、改装工事においてあえて自動化の促進はそこまで取り入れず、その運用に多くのクルーを必要とする仕様としていたのではないかと思われます。

理由③:地球連邦政府内の政治的バランス

さらに、「ヤマト」という名前も、地球防衛艦隊総旗艦に選ばれにくい理由であった可能性もあります。
ガミラス戦争後の地球は国連組織が分解され、新たに統一政府「地球連邦」として再編されましたが、その実質は「アメリカ合衆国」のようなある程度の自治権を有した「州政府」の上に軍事と外交を司る「地球連邦政府」が配置されるという完全な統一政府とはいいがたい状況であり、旧菅区の派閥は依然として残り続けていたと思われます。
そんな中、旧「極東管区」派閥はイスカンダル航海成功の功績によって「地球連邦政府」内で大きな発言力を有し、地球防衛艦隊の再編も旧「極東管区」派閥主導で行われることになったと思われます。
しかし同時に、そのような旧「極東管区」派閥の一人勝ち状態に対して多派閥の反発は大きく、旧「極東管区」派閥はこれ以上反発を買わないために、あまり自分達のカラーを出さないという慎重な政治的配慮を行わざるをえなかったのでしょう。
戦後に建造された「地球防衛艦隊」の艦名が「アンドロメダ」や「アルデバラン」など銀河や星の名前から付けられたのも、そういった政治的配慮の側面が強く、その意味で、一発で「極東管区」の艦と分かる「ヤマト」は、いくら(ガミラス戦争直後では)地球の最大戦力といっても「地球防衛艦隊」の旗艦としては不適格だったのではないかと思われます。

理由④:沖田艦長の約束の余波

そして最大の理由は沖田艦長がイスカンダルでスターシャとした約束だと思われます。
芹沢さんは「一艦の艦長が独断でした口約束」として「波動砲艦隊」の整備を推し進めましたが、現実として、その約束の証というべきヤマトを地球防衛艦隊総旗艦にすれば、沖田艦長の約束が「地球の意思」としてみなされてしまう可能性があり、地球の背信行為が浮き彫りになってしまいます。
正直、イスカンダルだけであるならば、相手からどう思われようとも問題は無いのですが、イスカンダルを通じてガミラスとの関係が悪化する可能性がある以上、非難される要素を減らしたかったのではないかと思われます。

理由⑤:後ろめたさからの逃避

ここまでは政治的・軍事的観点から見た理由ですが、2202においてヤマトが冷遇されたのは、じつはもっと感情的なものが原因かもしれません。
つまり、藤堂長官や芹沢さんといった上層部のメンバーは波動砲艦隊の必要性を認識している一方で、命をかけて地球を救った沖田艦長の意思を踏みにじっていることは内心で自覚しており、ヤマトを見るたびに後ろめたさを感じしまっていたのではないでしょうか。
そのため、波動砲艦隊の整備が進むにつれ、沖田艦長の命日の式典を取りやめたり、沖田艦長の指揮したキリシマをスクラップ置き場に置くなど、沖田艦長の影をなくそうと躍起になっていたと考えると一連の行動が納得できます。
ヤマトを改定ドッグで整備させたのもその一環であり、時間断層工場ではなく海底ドッグで普通に改修工事させれば、それだけ長い時間、ヤマトを見ることがなくなり、沖田艦長の影におびえなくて済むと考えたからではないか。
第2話で古代君がした「沖田艦長に胸を張って言えますか?」という発言に、藤堂長官が言葉を詰まらせていましたが、あれはまさに一番聞きたくない言葉だったのかもしれませんね。

以上が私が考える2202でヤマトが冷遇されていた理由です。
2205では訓練艦隊旗艦としてある意味国防の第一線か外される形で運用されていましたが、はたして3199ではどのようなポジションで登場するのか気になるところです。
原作通りなら、惑星イカルスで改装工事を受けているという設定ですが、果たしてこれは何を想定しての改装工事となるのか・・・
流石に「地球防衛艦隊」総旗艦になることはないと思われますが、もしかしたら3199でのヤマトのポジションが序盤のストーリーに大きく関わってくるかもしれませんね。

コメント

  1. ABARTH より:

    更に深掘りするとヤマトの技術はアンドロメダよりも10年遅れているとみなされ、改装しなくては戦力的に劣ると見なされていたとも取れます。波動砲が収束型のみというのも理由になるのではないでしょうか?また、銀河やムサシの存在が実はヤマトの今後を暗示しており、実はG計画には銀河だけでなく、ヤマトも組み込まれていたのではないでしょうか?指揮AIを組み込む計画が立てられ、時間断層に運び込まれたら不味いと思った真田がそれを阻止すべく、海底ドックでの改装を願い出てあの形になったのかもしれません。

    • yamasiro2202 より:

      ABARTH様、コメントをありがとうございます。
      考えてみれば、時間断層で生産された艦も最初の方とガトランティス戦役最中で量産された艦には数十年単位の時間差があるはずなのですが、そこまで性能に違いがありません。
      どうやら時間断層を用いてもそこまで技術の発展はなかったようですね(AIには技術の新開発は難しかったのかもしれませんが・・・)
      この辺りの設定がもしかしたら次回作3199に絡んでくるかもしれませんね。

      >指揮AIを組み込む計画が立てられ、時間断層に運び込まれたら不味いと思った真田がそれを阻止すべく、海底ドックでの改装を願い出てあの形になったのかもしれません。

      確かにこれはありそうですね。
      特に銀河の開発にも真田さんは関わっていましたから、平和な目的で開発されていた銀河の改装案を聞いて危機感を覚えたのかもしれませんね。