2205の大不況は本当に時間断層放棄が原因か?

皆様今晩は!
本日、「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち -全記録集- COMPLETE WORKS」が発売されました。
早い方は先週の内にフラゲされたようですが、今日になってから一気に確保情報が増えましたね。
私も密林で注文していたのですが、残念ながら本日時点でまだ未発送。
正直、本屋に並ぶ方が早そうです(汗)
この際、密林分は保存用にして本屋で見つけたら速攻で購入しようかと思っています。

閑話休題

さて今回は、以前から何度か話題にあげているリメイクヤマト世界における経済状況について改めて考察してみたいと思います。

2202の最終話で時間断層を放棄したことにより、大不況が訪れ多くの会社が倒産に追い込まれたことが2205において語られています。
他でもない2205のメインキャラクターの1人である土門君の実家もまたその大不況のさなかに潰れた会社の1つであり、しかも土門君の父親は倒産に伴い恐らくは自殺しています。(事故に見せかけたのは息子に保険金を残すため?)
しかしこれらの大不況は本当に時間断層の放棄が原因だったのでしょうか?
勿論、全く影響が無かったとは言いません。
しかし時間断層の放棄がすべての原因であると考えるのも疑問です。
というのも、時間断層の存在が果たして経済的にプラスになっていたのか疑問だからです。

財政のお荷物だった時間断層

この点については以前「時間断層消滅の政治的理由」という記事の中でも触れましたが、時間断層そのものが2202年当時の地球政府にとって負担になっていた可能性が高いです。
そもそも忘れてはならないのは、時間断層における大工場はあくまで納期を短縮してくれるだけで、資源そのものを生み出してくれる存在ではありません。
むしろ10年分の資源や予算を1年で消費する存在であり、そこで必要とされる資源や予算が有限である以上、長期に渡っての時間断層の仕様は最初から無茶な話です。

さらにガトランティス戦役での国力を超えた波動砲艦の配備及び消耗により、2202最終話時点での地球にはもはや資源や予算は枯渇しかかっており、あれ以上の運用はもはや現実的に不可能だったのではないかと思われます。
事実、2205で地球防衛艦隊が縮小され、多機能複合型標準戦艦構想が主流になったのも、国力的に大艦隊を保有することが難しくなったためと考えると納得できるものがあります。
簡単に言えば、経営が苦しくなった会社が不要な社員をリストラし、残された社員に様々な職務を兼任させるのと似た感覚です。
少数精鋭とは聞こえは良いですが、逆に言えば2205年の地球には多数の予備兵力を保有できるほどの国力は残っていない証拠でもあります。

ちなみに、演説の中で、芹沢さんは時間断層を復興計画の柱みたいに話をしていましたが、あれは時間断層を残すための一種の嘘だったのではないでしょうか。
おそらく芹沢さんも時間断層が当面使えない事は分かっていたと思います。
しかし、時間断層が便利な存在であることは事実である以上、芹沢さんとしては国力が回復した後に活用できるよう残しておきたかったのではないでしょうか。
また可能性は少ないとはいえ、再びガトランティスのような勢力が現れ、短期間で戦力を必要とする日が来るのではないかと考えていた可能性もあります。
常に「最悪の事」を考えている芹沢さんだからこそ、時間断層を消滅させることで選択肢を減らすことを嫌がったのではないかと思われます。

少し話が横にそれてしまいましたが、以上のように時間断層は経済的にはむしろマイナスになっていた可能性があり、その消滅はむしろ地球連邦政府にとっては財政的に歓迎したい状況だったのではないかと思われます。
では2205で言われている大不況は何が原因だったのか。
恐らくこれは複数の要因が重なった結果だと思われます。

大不況の真の理由

まず第1に、ガトランティス戦役の終結です。
戦争の終結後、軍事物資の過剰生産を原因とした戦後恐慌が起きることは現実の歴史でも確認されていますが、これと似たことがガトランティス戦役後にも発生したと思われます。
むしろリメイクヤマト世界では、時間断層の存在により通常の工場で生産する以上の過剰生産が行われていたことは間違いないでしょうから、ガトランティス戦役終結後の反動もまた通常の戦後恐慌よりも大きかったのではないかと思われます。

第2に、地球の国力の限界です。
2202において地球は国力がほとんど回復していないにもかからず、復興用の資源を軍事につぎこんでしまったため、国力の回復が後回しになってしまいました。
ガトランティスという敵が存在していた以上、これはやむを得ない状況だったとはいえ経済的には致命的なミスでした。
恐らくガトランティス戦役でのダメージも加わった事で、戦役後の地球は資源も予算も枯渇し、国力的にはほぼ死に体だったと思われます。
それ故、戦後恐慌で倒産する会社が相次いでも政府としては政府機能を維持する事で精一杯であり、有効な対策をとることができずより状況は悪化してしまったのではないでしょうか。

そして第3に意図的に軍需産業潰しを行った可能性です。
2202において軍需産業は軍部や政府の方針に口を挟めるほど肥大化していました。
軍の再建が急務であったあの時点ではある程度は許容していたのかもしれませんが、はっきり言ってしまえばこの状況は健全とは言えません。
そこで不況を利用して意図的に軍需産業の力を削ぎ、経済と政治の健全化を図ったのではないでしょうか。
結果的に軍需産業に関係する小・中規模の会社は軒並み倒産し、大量の失業者を招くことになりましたが、それはやむを得ない犠牲として判断されたのでしょう。

以上のように考えると、2205で言われていた大不況は、「時間断層」の消滅ではなく、それ以外の要因が大きかったと思われます。
むしろ、逆に「時間断層が存在した」ことによって発生してしまった不況と言えるかもしれません。

スケープゴートにされた古代進

では何故、2205では「時間断層の消滅が不況を起こした」みたいに言われているのか。
この理由としては、政府と軍部がそのように宣伝しているからだと思います。

上記に書いた不況の原因が明らかになると、間違いなく政府や軍部は国民からの非難にさらされます。
しかしもしこの不況が「時間断層の消滅」によってもたらされたと結論づけられた場合はどうか。
「時間断層の放棄」は国民投票の結果によってもたらされたものである以上、その責任は国民自身に帰されることになり、政府や軍部は批判から免れます。
それゆえ、あえて不況は「時間断層の消滅」によってもたらされたと発表されているのではないでしょうか。

この意味では古代君は、政府と軍部によってスケープゴートにされたと言えるかもしれませんが、彼らからしてみれば「貴重な時間断層を代償にして助けてやったのだからそれくらい許容しろ」という感覚なのかもしれませんね。
とはいえ、多少は後ろめたい所もあるので、古代と雪を艦長職に据えた「ヤマト艦隊」を編成し、2人ともあまり地球にいなくて済むようしたのかもしれません。

コメント

  1. ABARTH より:

    全記録集は初日にゲットしたのですが、まだよく目を通してなくて、知りたい3199情報だけ探してました(笑)
    さて、今回の件ですが、大方当たっていると思います。旧作での無人艦隊も人的戦力の枯渇が理由でしたから。2202でその設定を先取りして無人艦隊出してしまったので、2205ではガトランティス戦後の後始末に負われて新戦力を整えている余裕はないはずなんです。なのに時間断層は無人艦を作り続け、吐き出す。関わっている人々も疑問に思っていたはずです。ガミラスは星の寿命を知り、移民のための準備に着手し、ガトランティス戦で大破した艦艇は放棄して移民船建造に回しているはずですから、地球に提供する資源がこれに回されていると考えられます。地球側もドレッドノート級を移民船に改装して提供を決定し、建造途中のものがそれに当てられたとすると、明らかに製造ラインが変わる訳ですから、企業によっては部品の受注が来なくなりますよね。そこへ来て時間断層がなくなったわけです。仕事そのものがなくなれば企業は倒産します。とはいえ、それだけで土門の父親は事故を装った自殺をするでしょうか?おそらく土門の父親は時間断層内の生産ラインではなく、工場運営に直接関わっていたために秘密を知りすぎていた。公になると息子竜介をも裏切っていた?みたいな機密事項だったために、責任を取ったのではと思うのですが。

    • yamasiro2202 より:

      ABARTH様、コメントをありがとうございます。
      私も金曜日に全記録集を手に入れたのですが、情報が多くてまだ全部精査しきれていません、
      ただ断片的に明かされた情報からでもこれまでの検証を一度リセットしなければならないことも多く、改めて1から仮説を構築中です(苦笑)
      正直、この数日は考えがうまくまとまらずまったく執筆できませんでした(苦笑)
      ちなみに私も土門父の死は単純な自殺ではないと思っています。
      個人的には3199でキーを握る存在になるであろう揚羽財閥(仮)が関わってくるのではないかと睨んでいます。
      もしこの仮説が正しいならば土門君と揚羽君の関係はヤマトⅢと比べてかなり複雑な関係になりそうですね(苦笑)