イスカンダル救援は間違いだったのか?

皆様今晩は!
今回は2205前章の最大の問題となっている「イスカンダル救援」の是非について検証してみたいと思います。
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2205前章において「謎の勢力によるガミラスへの攻撃及び消滅」と「イスカンダルの暴走」という緊急事態に直面した地球政府は、戦渦が再び地球に及ぶことを危惧してイスカンダルに向かっていたヤマト艦隊に帰還を命じます。
「ガトランティス戦役」の深刻なダメージから回復していない地球にとって、新たな戦争に巻き込まれる可能性がある「イスカカンダルの救援」に難を示したのもわからないわけではありません。
しかし個人的にはこの地球政府の判断は長期的に考えるならばかなりの悪手なのではないかと考えています。
というのも、この支援拒否によって地球は確かに当面の戦果は回避できるかもしれませんが、同時に失うものが多いからです。

支援拒否のデメリット

この支援拒否によって失うもっとも最たるものは地球という星間国家に対する「信用」です。
何故、地球は「信用」を失うのか。
それは旧作とは異なり2205世界の地球政府はガミラスと正式な同盟関係にあるからです。

「2202」時点において地球はガミラスと「地球・ガミラス安全保障条約」を締結しています。
これがどのような内容であるかは詳細は分かっていませんが、「2202」において芹沢さんが「地球とガミラスは対等」であることを強調していたことを考えると、これは相互協力関係にある軍事同盟であると考えられます。
軍事同盟には同盟国が二ヶ国以上の国と戦争状態になった場合に参戦する義務が生じる防守同盟や同盟国が1国以上の国と戦争状態になった場合に参戦する義務が生じる攻守同盟などがありますが、「地球・ガミラス安全保障条約」締結時点での仮想敵が「ガトランティス」1国であったことを考えると、攻守同盟に近い内容だったのではないかと思われます。
つまり、「地球・ガミラス安全保障条約」を締結している以上、ガミラスがデザリアムの攻撃を受けた時点で、地球政府はその攻撃を「地球に対する攻撃」とみなしてデザリアム戦わなければならない義務が発生します。(ちなみにこの理論で言えばボラーに対しても地球は宣戦布告しなければなりませんが、対ボラー戦に対しては軍需物資の提供などの後方支援にとどめることでガミラス上層部との話がついているのではないかと思われます)
だからこそ「2205」でも地球政府はこの同盟関係を慌てて破棄し、「デザリアム」との戦争を回避しようとしたのだと思われます。

しかし、このような地球の行動は正直あまり褒められたものではありません。
「2202」においてガミラスはガトランティスの侵攻を受けている地球の苦境に対して大規模な支援艦隊を派遣し、共に戦う事でしっかり同盟の義務を果たしています。
それが対デザリアム戦において、ガミラス自体には特に過失はないのに、「利用価値が無くなった」という理由で一方的に破棄して見捨てるのは酷い背信行為と見られても仕方がありません。
それが「政治」や「外交」だと言われればその通りなのですが、はたしてこのようにいざという時には自国の保身のみに走る地球を今後誰が信用するでしょうか?
今後、ボラーなどの星間国家が地球を調べた時に、この時の背信行為を知り、「地球は信用できない星」と判断されてそのように対応される可能性は非常に高いです。
地球が「孤立主義」を貫く覚悟があるなら別ですが、他の星間国家勢力との協調路線を考えているならば「ガミラスを見捨てる」という選択肢はとんでもない悪手です。

また、ヤマト艦隊の帰還命令は重要な情報収集の機会を自ら捨てている行為でもあります。
前章時点において地球はガミラスが敵の攻撃で消滅したことは把握していますが、その敵の正体については一切つかめていません。しかもここで忘れてはならないのは、その謎の勢力はイスカンダルを天の川銀河方面に移送しているという点です。
20211206_img002.jpgつまり謎の勢力の本拠地は地球と同じ「天の川銀河」にあるということであり、地球にとっても決して他人ごとではありません。
本来、地球があの時点で最もしなければならないことはイスカンダルを移送している敵についての情報を少しでも集めることであり、その為にもヤマト艦隊をイスカンダルに向かわせることは絶対に必要であったと思われます。
ヤマト艦隊への帰還命令は、その情報収集の絶好の機会を失わせ、将来の選択肢を狭めてしまう行為であり、地球から見ても完全な判断ミスであったと断言できます。

誤断の原因は地球の反戦感情?

以上の理由から私は、地球政府の「イスカンダル救援要請拒絶」は短期的には戦争は忌避できるものの、長期的には多くの問題を引き起こすデメリットの多い判断であったと考えます。
ちなみにその事は芹沢さんや藤堂長官、そして山南さんも十分に理解していており、だからこそヤマト艦隊の反乱を半ば黙認し、イスカンダルに向かう事を止めなかなったのだと思われます。
逆に言えば、そのようなデメリットがあるとわかっていながらも、それでも「目の前の戦争の回避」を優先しなければならないほど、2205時点の地球の反戦感情は大きいのかもしれません。
もし「新たなる旅立ち」の続編として「永遠に」のリメイクが作られた場合、地球はデザリアムにより制圧されてしまう展開が予想されますが、地球が短期間で占領されてしまう背景には「戦争を回避できれば良い」とする地球の反戦感情が後押しする事になるのかもしれませんね。
事実、「2205」の脚本を担当している福井氏は「亡国のイージス」といった過去の著作で、日本人の安全保障に関する認識の甘さを度々糾弾していますので、わりとありそうな展開です(苦笑)

コメント

  1. kazu より:

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    仰るとおりだと思います。2202で(結果的に古代と雪は救わねばならないわけですが)時間断層を捨てる選択をした地球民。社会経済の発展と軍拡の道を選ばなかったわけです。また、ガトラン相手に同盟国家を体現するガミラスとの共同戦線、最終的には次元潜航艇のお陰で最終的にゴレムに到達できたわけで、一連の恩義は地球人も感じているはず。
    イスカンダルへの使節団代表の芹沢、山南、バレル三人衆も、全て見通した上で、後はどうにでもなると同盟国とイスカンダルの危機に赴くヤマトを目を瞑って見逃したのだろうと。これはそうなんですが、二度の太陽系外勢力との戦争で疲弊しきった地球が新たな戦争に自ら突入するかもしれない一大事においては、少なくとも何か政府中枢に了解を取り付けて欲しかったと思い以前コメしましたのです。
    惑星そのものを簡単に破壊し、牽引してしまうほどの力を持った勢力であることが分かった段階で、より省人化した艦で戦わねばならないわけですから、少なくても太陽系の守りにおいては、アンドロメダ級には大活躍してもらわなければなりませんし、あそこまで進化させたAIを活かさないではないですしね。地球の守備はアンドロメダに任せたと。

  2. 山城2199 より:

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    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    kazu様、コメントをありがとうございます。
    >二度の太陽系外勢力との戦争で疲弊しきった地球が新たな戦争に自ら突入するかもしれない一大事においては、少なくとも何か政府中枢に了解を取り付けて欲しかったと思い以前コメしましたのです。
    恐らく政府としては「とにかく面倒事はごめんだ」という姿勢であり、説得するにしてもそれなりの必要だという事なのではないかと思います。
    そして政府の許可をまっていれば救援の時機を逸してしまうため、ヤマト艦隊の行動を黙認という形で許容する事になったのではいかと考えています。
    ちなみにこれは政府が先の見えないアホという事ではなく、国民の間で厭戦感情があまりにも強いため決断できなかったのではないかと思っています。
    ちなみに現在の地球の守りがどの程度なのかは前章時点ではいまいち分からなかったので、後章でイスカンダル接近という事態に臨戦態勢に入る地球の様子が描かれたりすると良いですね。

  3. L·岡本 より:

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    PASS: 4b9f812df794aa1770d47bd3cf40ac89
    極めて私的な話となり恐縮なのですが・・・・・
    普段、何気なく見ているテレビ番組に突如として宇宙戦艦ヤマトのネタが入ってくると妙にうれしい気分になる事が時々あります。
    BSTBS深夜枠の人気番組「町中華で飲ろうぜ」の前半30分にてタレントの玉袋筋太郎さんがコロナ禍の影響で売り上げ不振に苦しむ中華料理店主の要請に応じて「助けを求められたら駆けつけます、宇宙戦艦ヤマトの如く!」という心強くも胸熱くなるコメントをされていました。
    玉袋筋太郎さんは54歳、宇宙戦艦ヤマト世代の玉ちゃんにとってヤマトクルーは苦境に立たされた者達のために危険を省みず馳せ参じる正義の味方なのでしょう。
    大恩あるイスカンダル星の危機に駆けつけないヤマトはヤマトじゃありませんよね。
    なお余談ですが町中華で飲ろうぜの後半30分女性タレントの受け持ちパートのナレーションは山路和弘さん(ヤマト2202のゴーランド提督の声優)です。

  4. 山城2199 より:

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    L·岡本様、コメントをありがとうございます。
    >普段、何気なく見ているテレビ番組に突如として宇宙戦艦ヤマトのネタが入ってくると妙にうれしい気分になる事が時々あります。
    この気持ちよく分かります!
    これ以外にも関係のない番組でヤマトのBGMが使われたりするとテンションが上がりますね(笑)