沖田に与えられた権限とは?

皆様今晩は。
以前ブログでも取り上げた1/1000最終決戦仕様ヤマトと1/72ブラックバードがAmazonの売れ筋ランキングベスト10に入っている模様です(2018年12月4日現在、ヤマトは第7位、ブラックバードが第10位です)。
この二つについてはファンの間で賛否が分かれておりましたが、商品化に当たってそれなりの需要があった事は非常に大きいと思います。
バンダイには引き続きヤマトのプラモデル展開を頑張って欲しいですね。

さてここからが今日の本題です。
昨日から2202を1話ずつ見直しているのですが、そこでふと疑問に思ったこと。
第2話において「波動砲禁止条約」について芹沢が「あれは1艦の艦長が独断でした事、正式な条約ではないし地球の意志ではない」という趣旨の発言をしていますが、実際のところイスカンダル航海において沖田艦長は地球政府(当時は国連)からどの程度の権限を付与されていたのでしょうか?

まず結論から言ってしまえば、沖田艦長にはイスカンダル航海に関するあらゆる権限(地球代表としてイスカンダルとの交渉権も含む)が与えられていたと思います。
なお、本来ならば地球の全権大使として政治家や高級官僚といった相応の文官を同行させるべきだったとは思いますが、恐らく当時の極東支部には沖田に代わって全権大使としてヤマトに同行させられるような人材がもはやおらず(なにしろ沖田の上にいる文官は藤堂くらいですので)、沖田には全権大使としてイスカンダルとの交渉権も与えざるを得なかったのだと思われます。
ただしこれらの権限については「どこまでしてもよい」という明確な基準が決まってはおらず、解釈によってはいくらでも変わるものだったのでしょう。
そして、そのことがのちに芹沢をして「一艦長が独断でした事で、地球政府の意向ではない」という強弁を生む根拠になったのだと思われます。

しかしこれはある意味やむをえないことではあります。
2199年当時、世界中の政府機能は崩壊寸前であり、法的根拠というものはほとんど意味を成さなくなっていたことは明らかです。
またイスカンダル航海に関しても前代未聞であるため、指揮官である沖田にどの程度の権限を与えればいいのかも分からず、とりあえず「コスモリバースシステム入手に必要と判断すればOK」というかなり大雑把な権限を与えざるを得なかったのでしょう。

とはいえ、2199における沖田艦長の言動を見る限り完全に裁量権の無い判断をしたり、地球政府の意向を無視して勝手に条約を結ぶような事はしないと思われます。
恐らく沖田艦長からすれば「波動砲禁止条約」は「波動砲の製造及び使用を禁止する代わりにコスモリバースシステムを譲渡してもらう」という認識であったため、自身の裁量の範囲内であると判断し、条約の締結をしたものと思われます。
もし沖田艦長が生きて地球に戻った場合は、自分に与えられた権限内で結んだ条約であると明言したであろうし、その後、地球政府が波動砲艦隊の路線に踏み切る場合は、まずはイスカンダルに対して理解を求める事を政府に求めたのではないではないでしょうか。

しかし不幸にも沖田艦長は地球帰還を目前にして病死してしまったことで、波動砲艦隊構想反対派の中で沖田艦長が持っていた権限について正確に把握している者がいなくなってしまったのではいでしょうか。
そのため、推進派がいう「波動砲禁止条約は沖田艦長に与えた権限の範囲外だから無効」という主張に反論する事ができず、地球のイスカンダルに対する背信行為も黙認せざるを得ない状況になってしまったのでしょう。
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実は地球がこのような路線をとることになったことについて一番悪いのは推進派の芹沢よりも、藤堂長官のほうではないかと思われます。
彼の立場からすれば波動砲禁止条締結が彼に与えられた権限の範囲内で締結された正規の条約であろう事は理解していたであろうし、ヤマト計画の総責任者であった彼にしてみれば、沖田の意志を継いでこの条約の正当化を図る(あるいはイスカンダルに対してきちんと条約が守れない状況であるとの説明をする)のが筋であったと思われます。
しかし、恐らく芹沢に「波動砲なしに地球は守れない」と説得された事と、イスカンダルに対して説明するだけの覚悟をもてなかった事から沈黙する事を選んでしまったのではないでしょうか?

藤堂長官は善良な人物である事は間違いありません。
しかし妻の死後、心を閉ざした娘と向かい合う事から長い間逃げていた事からでもわかるように、ある意味で彼もまた弱い人間であったようです。
藤堂長官がヤマトに対して特別な思いを抱いているのは、沖田に対する感謝の念があるのと同時に、自分にはできなかった、沖田艦長の遺志を継ぎ、筋を通そうとする古代達の生き方に対してどこかで憧れているからではないかと思われます。

・・・なんか最後のほうは沖田艦長の権限の話よりも藤堂長官の内面の検証になってしまった気もしますが、まあいいか(苦笑)

コメント

  1. 第六十六機動艦隊 より:

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    沖田艦長に全権を与えられたところは同感なのですが、条約は一般的に締結だけでは成立しません。本国政府(議会)が承認し、批准書に署名、批准してようやく条約としての効力は成立します。つまり、地球連邦政府及び議会が条約を承認・批准しないかぎり、地球側は波動砲禁止の義務はなく、芹沢曰わくの口約束扱いになります。最も沖田艦長存命ならば、沖田さんは批准にむけ行動しますでしょうね…まぁ、最も文明の違うイスカンダルでは条約の手続きは異なるかもしれませんが…

  2.   より:

    SECRET: 0
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    結果から見れば、波動砲艦隊があったからこそ、ガトランティスになんとか対抗できている・・・いや作ったからこそ、地球がテレサの対ガトランティスの駒として選ばれたんだろうな
    でも、作ろうが作るまいが、ガミラスからは技術提供を求められただろうし、地球防衛の切り札としてはどうしても必要だし・・・
    スターシャ陛下への御礼及び謝罪行脚は地球政府としてはいつかせねばならないでしょう。

  3. 山城2199 より:

    SECRET: 0
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    第六十六機動艦隊様、コメント及び鋭い突っ込みありがとうございます!

    > 沖田艦長に全権を与えられたところは同感なのですが、条約は一般的に締結だけでは成立しません。本国政府(議会)が承認し、批准書に署名、批准してようやく条約としての効力は成立します。つまり、地球連邦政府及び議会が条約を承認・批准しないかぎり、地球側は波動砲禁止の義務はなく、芹沢曰わくの口約束扱いになります。最も沖田艦長存命ならば、沖田さんは批准にむけ行動しますでしょうね…まぁ、最も文明の違うイスカンダルでは条約の手続きは異なるかもしれませんが…

    現実世界の条約批准ならばその通りなのですが、2199世界ではどうなんでしょうか?
    まず政府機能はほとんど機能を停止していましたし、主体が国連から地球連邦政府に変わった時点でどのようなシステムになったのかも分からないんですよね・・・
    また地球ではそういう仕組みだという論法がイスカンダルに通じるかも確かに疑問です(苦笑)
    どちらにせよ、ガミラス大使から皮肉を言われる程度には地球の態度は誠意を欠いていた事は確かでしょうね。

  4. 山城2199 より:

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    コメントをありがとうございます。

    > 結果から見れば、波動砲艦隊があったからこそ、ガトランティスになんとか対抗できている・・・いや作ったからこそ、地球がテレサの対ガトランティスの駒として選ばれたんだろうな
    > でも、作ろうが作るまいが、ガミラスからは技術提供を求められただろうし、地球防衛の切り札としてはどうしても必要だし・・・
    > スターシャ陛下への御礼及び謝罪行脚は地球政府としてはいつかせねばならないでしょう。

    結果論から言えば確かに波動砲艦隊構想は正しかったといえますが、ガトランティスがあれほどの規模の軍事力を持っているとは分からない2202序盤において「あれほどの艦隊を整備する必要はない」という反対派の主張も一定の正統性があるんですよね。
    現に2199の時点では波動砲が無くともガトランティス艦隊とは十分戦える事が立証されているわけですし。
    あと恐らくですがイスカンダルに対しては遠い事をいいことにだんまりを決め込み続けるのではないかと思っています。