何故国連宇宙軍は先制攻撃を決断したか。

皆様今晩は!
今回は以前アップした「謎の戦艦の正体判明!」という記事のコメントで非常に面白いご指摘をいただきましたので、その件をについて少し深く考察してみたいと思います。

頂いたコメントは以下のようなものでした。

仮に戦線離脱による結果火星に墜落した艦艇なら、地球側にとって異星人の存在だけでなく太陽系近くで異星間で戦争がされてる状態だということを把握することになります。
となると火星戦争後で台頭してたであろう芹沢などのタカ派からしたら、太陽系に来たガミラスは純粋な侵略者に見えてしまい先制攻撃を仕掛ける事になったのかもしれませんね。

これは非常に鋭いご指摘だと思います。

「ガミラス戦争」の発端となったのは、冥王星宙域で確認されたガミラス艦に対する国連宇宙軍の先制攻撃です。
明確な敵対行為が確認されていないにもかかわらず(通信を無視したまま領域侵犯をしているというのは相当問題ではありますが)、何故国連宇宙軍がこのような過剰な反応に出てしまったのか、その理由はこれまで謎でした。
しかしもし当時の国連宇宙軍上層部が火星での発見から「星間戦争」の存在を確信していたとならば話は変わってきます。
火星で発見された艦(ボラー艦)とは異なる外観から冥王星宙域で確認された未確認艦隊が別勢力のものであることは、初期の段階で認識していたと思われます。
太陽系近辺での異星戦争の痕跡が確認され危機感を抱いている最中に、その当事者と思われる勢力の艦隊が太陽系内に進出してきたとしたら・・・
コメントでも指摘されている通り、太陽系に対する侵略が始まったと思い込んでも無理はないでしょう。
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予期されていた異星勢力との闘い

この視点で改めて2199を見直してみた場合、近い将来、地球が異星勢力との戦争を予期していた節がいくつかあります。
例えば、「内惑星戦争」の終結後も軍縮の気配がなく、逆に新兵器や新型艦の開発といった軍拡路線が行われていた事。
よくよく考えてみればこれは非常におかしいです。
というのも、最大の敵対勢力である火星勢力が消滅した以上、そこまで強大な宇宙軍はもはや必要ありません。
むしろ内惑星戦争で地球本土にも戦火が及んでいる以上、軍縮をして民間休養を図らなければならない時期のはずです(難民と言ってもいい火星の全住民も受け入れているのですからなおさらです)。
それを放置して宇宙軍の再編を優先しているのは、やはり当時の地球が火星とは別の勢力との戦争を予期していたからと考えると非常に納得できます。
また、遊星爆弾の攻撃が始まっても、地球が継戦能力を残せるレベルで速やかに地下都市への移住を進める事ができたのも、異星勢力との戦いの準備として、内惑星戦争後も引き続き地下都市の拡張・整備が行われていたからかもしれませんね。

地球の慢心と敵の過小評価

このように異星勢力との戦いを想定し、準備を進めていた地球ですが、完全に誤算だったのは、冥王星宙域に現れた異星勢力=ガミラスと当時の地球の科学力にあまりにも差があった点でしょう。
冥王星宙域に先行していた巡洋艦「ムラサメ」に先制攻撃を命じた国連宇宙軍上層部(命令を出したのは芹沢ですが、その時のセリフからこの命令が宇宙軍上層部全体の判断であったことが分かる)ですが、彼らとしても別に「ムラサメ」を捨て石にしたわけではなく、十分に戦えると考えていたのではないでしょうか。
その強気の根拠となったのは、異星文明のテクノロジーを取り入れていた火星艦隊との戦いに勝利し、その後、火星軍から接収した技術でさらに強化した地球艦隊に対する自信であったと思われます。
おそらく彼らとしては先遣艦隊と比べて数で勝るガミラス艦隊に先制攻撃を加えることで数の有利を覆そうとした、あるいは挑発し、後方に集結している主力艦隊との決戦場までガミラス艦隊を誘致しようとしたのでしょう。
結果としては完全に藪蛇であり、地球艦隊は主力艦隊もろとも一方的に撃破されることになったものと思われます。
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ちなみに、先制攻撃に激しく反対した沖田ですが、これは内惑星戦争を実際に戦った者として、相手が火星艦隊と比べ物にならない存在であることを敏感に感じ取っていたからではないでしょうか。
この辺りは歴戦の将である沖田と、後方にいてデータでしか内惑星戦争を知らない芹沢たちとで、感覚の違いが出てしまったのかもしれませんね。

コメント

  1. 銀河の風 より:

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    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    久しぶりに投稿いたします。m(__)m
    ブログ主さまも元気でお過ごしでしょうか。

    上手い設定考えたな…と思いましたよ(笑)。
    火星で異星文明の戦艦を入手していた事で、
    人類は外宇宙での星間戦争の実在を知り
    対応せざるを得なくなっていた…。とすれば
    2199で詳しく説明されていない部分について
    辻褄を合わせられると…。
    芹沢の先制攻撃命令の背景でもあったでしょうし、
    イスカンダルからの技術供与以前にワープ機関や
    恒星間航行艦について不完全ながらも知識を得ていた
    からこそ短時日でのヤマト建造が可能になったのだ…
    とか空想妄想いたします。(^_^;)

    設定を補完しながら福井さんたちでヤマトの歴史を
    (賛否両論浴びながら)再構築していくのでしょうね。

  2. 山城2199 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    銀河の風様、お久しぶりです!
    コメントをありがとうございます。

    >ブログ主さまも元気でお過ごしでしょうか。

    最近は暗いニュースばかりで気分が少々滅入っておりますが、幸い身体的には元気です。
    お心遣い、誠にありがとうございます。
    コロナだけではなく健康を崩しやすい季節ですが、銀河の風様もご自愛ください!
    お互い元気に「ヤマトという時代」の公開初日を迎えたいものですね。

    2199で描かれたのは本当にごく一部ですからね。
    今回の作品で22199世界の全貌がある程度は判明すると思いますが、それだけにどのように描かれるのか本当に楽しみです。

    ちなみに「火星で異星文明の戦艦を入手していた事」はやはり良い補完だと私も思います。
    よくよく考えれば、イスカンダルからいきなり高度な技術供与を受けたとしても僅か1年程度で実用化する事は普通はできません。
    それができたという事はやはりそれなりの下地ができていたと考えるのが妥当ですね。

    ある意味全ての始まりの物語というべき「ヤマトという時代」、
    今後はこの作品で描かれた設定に基づいて様々な派生展開が出現する事を期待したいですね。