皆様今晩は。
前回の記事で「小説版第5巻ではガミラス戦役以前の地球が描かれる」ということを書きましたが、そのあとで、何かのインタビュー記事であったか、ヤマトークでのコメントであったかは忘れましたが、2199公開当時、出渕総監督が地球と火星の戦い、いわゆる内惑星戦争について少しだけ解説していたことを思い出しました。
半ば記憶頼りですが、必死で思い出した内容では、確か内惑星戦争については以下のような説明がなされていたと思います。
①火星が地球からの独立を求めて始まった戦争
②地球による地下都市は火星サイドのマスドライバー攻撃の対応策として建造された
③最終的には物量で勝る地球軍が勝利、火星の全住民は(監視目的で)地球に強制移住させられた。
出渕総監督はスタッフとしてガンダムシリーズの制作に携わっていたこともあってか、こうしてみてみるとこの内惑星戦争は、ガンダム(正確にはその世界観をゲームにした「ギレンの野望」)のオマージュという感じですね。
ちなみに、火星サイドが行ったとするマスドライバー攻撃は以下のムービーのような感じだったのではないかと思われます。
【参考資料】
PS2「機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオン独立戦争記」Vol.4 『ジャブロー制圧』(*1分30秒より)
内惑星戦争における火星軍の基本戦略
ここで気になるのは、火星軍は何故このようなマスドライバー攻撃を行ったのでしょうか?
あくまで想像ですが、恐らく地球艦隊と比べて艦隊戦力で劣る火星軍は、火星宙域の防御を徹底的に固め地球艦隊の侵攻を防ぐと同時に、地球への攻撃はマスドライバーによる主要都市への超遠距離砲撃に頼っていたのではないかと思われます。
勿論、着弾観測など出来ないこのような攻撃では精密射撃など望めるはずも無く、大体の見当をつけてのあてずっぽな砲撃となってしまうので、無駄弾も多く、攻撃の割には地球サイドに致命的なダメージを与えることが出来なかったと思われます。
しかし火星サイドとしては、攻撃の正確性は二の次であり、マスドライバーによる一方的な攻撃を加え続けることによって、地球サイドの戦意を下げ、地球サイドから講和を望んでくるようにするための心理的効果を狙っていたのではないでしょうか。
内惑星戦争における火星軍の敗因
しかしこの内惑星戦争は結局、火星の敗北に終わりました。
もし火星軍の戦略が上記のようなものであるならば、その敗因はやはり、マスドライバーの遠距離攻撃だけでは決定的なダメージを与えられなかったことと、守備に徹していたため、制宙権を確保できず、火星外から必要な物資を補給することが出来なくなってしまったことではないかと思われます。
地球に独立戦争を仕掛けるくらいですから、当時の火星はそれなりの資源や国力は有しており、ある程度の期間は自給自足できたと思われます。しかしやはり一定の物資は火星外から輸入する必要があり、防御を固める火星に対して、戦力と物資に勝る地球軍は包囲して外部からの補給を一切絶つ持久戦に持ち込んだのではないでしょうか。
また火星サイドの最大の誤算は、切り札であるマスドライバーによる砲撃が、地球の戦意を下げるのではなく、敵愾心をあおるだけの効果しかもたらさなかったと思われます。
たとえるならば、このマスドライバーによる砲撃は、第二次世界大戦におけるドイツ空軍によるイギリス本土空襲、いわゆるバトル・オブ・ブリテンに近いものであったと思われます。
このとき、攻撃側のドイツ空軍は空襲によってロンドンなどの都市にそれなりの損害を与えてはいますが、継戦能力を失うほどの致命的なダメージをイギリスに与えることが出来ず、結局失敗に終わりました。
火星軍の攻撃も地球に対して、当初はそれなりの被害は与えたものの、その被害は我慢できないレベルではなく、そしてマスドライバー攻撃を防ぐための地下都市の建造が進んだことで、攻撃手段としてはほぼ無力化されてしまったものと思われます。
この内惑星戦争は互いの主戦力が戦って勝敗を決めるというよりも、地球と火星がどちらが先に根をあげるかの我慢比べとなり、結局先に根を上げたのが国力の劣る火星だったのではないでしょうか。
内惑星戦争のその後の影響
内惑星終戦後、火星は当時持っていたであろう自治権を失い、さらに全住民が地球に強制移住させられました。
これは二度とこのような戦争が起こらぬよう、火星を植民地として利用するのは止めたためであると思われます。
また、内惑星戦争における火星側の攻撃によって地球の人口が減ったため、それを補う意味もあったのかもしれません。
なお、火星出身者は地球において酷い差別を受けていたそうですが、それは山本の言うような外見による差別というよりも、地球に対するマスドライバー攻撃に対する恨みによるものが強かったものと思われます。
実際、古代のような内惑星戦争をあまり知らない若い世代はそれほど火星出身者に対してそれほ差別意識を持ってはいませんでした。 無論、このときはすでにガミラスという新しい敵と戦っていましたので、過去の怨恨を引きずっている場合ではないという事情もあったと思われますが、全体としてはそれほど根強い差別意識ではなかったということをうかがわせます。
また植民地としては放棄した火星は、その後、地球艦隊の基地として利用されることになったと思われますが、内惑星戦争時に火星軍が構築した強固な防衛網は、その後のガミラスとの戦争において、地球艦隊の防衛網として役に立ち、第二次火星沖会戦においてガミラス艦隊を(一応)撃破することに繋がったのではないかと思われます。
第二次火星沖会戦後に始まった遊星爆弾攻撃も内惑星戦争の遺産である地下都市が役に立ったことを考えると、地球は内惑星戦争があったからこそ生き延びることができたというのは全く以って皮肉な話ですね。
コメント
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山城2199様こんばんは。
内惑星戦争の設定に関する情報は知りませんでしたので、興味深く読ませていただきました。
マスドライバー攻撃と地下都市に関して感じた内容を勝手にコラボ記事にさせていただきましたm(_"_)m
→http://blog.livedoor.jp/monocarver/archives/52233818.html
お暇なときに読んでやって下さい。
これからもよろしくお願いいたします。
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鮫乗り様、今晩は!
鋭いご指摘とコメントをありがとうございます!
早速読ませていただきましたが、なるほどです。
この記事に触発されて、もう少し資料を調査して、再考察させていただきました!
よろしくお願いいたします!
いや~やはり考察はこのように意見を交わす方がおられると全然違いますね!
こちららこそこれからもよろしくお願いします!!
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漫画版では地球に移民させられた火星生まれは暴動を何度も起こしたとか、それもあって迫害が加速したらしいですが・・・
1年戦争のギレン・ザビに等しい行為をしたことを考慮したら、ティターンズのような組織が出来なかっただけ地球の対応はまともだと思います。
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ヴェネター級ヒューベリオン様、コメントをありがとうございます。
火星の独立運動に対してはいろいろなぞが多いです。
もしかしたら目障りな火星を叩きのめすために、地球の方が戦争を起こすように内部工作をしていた可能性も・・・
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芹沢達がガミラスに対して先制攻撃を命じたのは内惑星戦争の時の苦い記憶を覚えていたからではないかと思ってしまいます。
火星軍のマスドライバーによる先制攻撃は地球にある無数の施設が破壊され、火星軍への対応どころか下手すれば各国間での通信すら難しくなり、簡易地下都市もマスドライバーの雨の中で掘り進めるしかなかったとすれば地球はかなりの苦難を経験したと予想されます。
青年将校時代の芹沢や藤堂は、目の前でマスドライバー攻撃によりあっさりと破壊されていく町々や死んでいく人々の姿を目の前で見続けていた可能性があります、そして何もできない己の無力さを涙を流しながら呪った・・・
内惑星戦争が1年戦争のオマージュであることを考えると最低でも人口の半分が死滅してることになります、それで何も思わない人はいません。
この時の教訓と絶望から先制攻撃が重要であると理解してしまっていた、そう考えると辻褄が合うような気がします。
その絶望がイズモ計画を発案し波動砲艦隊構想を作る原動力になったと言われても自分は驚きません。
ならば沖田艦長や島大吾艦長はどうなるのかと言うと、二人とも理想主義なのは理由の一つでしょうが、火星軍の先制攻撃の最中二人とも宇宙にいた可能性があります。
まだムラサメやキリシマが就役する前ですから、観測基地としての人工衛星ぐらいには勤務していたと思います。
故に宇宙からマスドライバーが地球に落下していくのは目撃したでしょうが、実際に地上から見る悲劇までは見れなかった、ネット配信とかも火星軍の攻撃によりリアルタイムで見る機会を失ってた・・・
それが沖田達と芹沢達の認識の違いに繋がったのかもしれません。