皆様今晩は。
今回は検証シリーズ「イスカンダルとガミラス」の第3回目としてガミラス帝星の誕生に繋がった「ガミラス統一戦争」についてちょっと検証してみたいと思います。
このガミラス統一戦争については第5章60秒PVで公開時に予想をした際に一度検証していたのですが、その後、本編やヤマトマガジンでガミラスについてかなりの情報が補強されたので、それを踏まえた上で再検証してみました。
第一次と第二次の意味の違い
ガミラス統一戦争はアベルトの伯父であるエーリック大公が主導した第一次統一戦争と、アベルトが主導した第二次統一戦争があることは2202の設定で明らかにされました。
この二つの戦争は分裂していたガミラスを統一したという結果は同じですが、それらの戦争の意味は全く異なるものであったと思われます。
つまり、第一次統一戦争は「貴族による集団統治体制はそのままに、誰が盟主になるか」という権力争いの大きなものであったのに対し、第二次統一戦争は「ガミラスを貴族主導の集団統治から総統主導の独裁へと変更する」という政治闘争の意味合いが強かったと思われます。
権力争いだった第一次ガミラス統一戦争
まず「第一次統一戦争」ですが、アベルトが総統制を敷くまでガミラスは貴族主導の政治であったことは何度か本編の設定で出てきます。
この貴族主導の政治体制が具体的にどのようなものであったかは不明ですが、恐らくは「君臨すれども統治せず」を実践するイスカンダル王家を名目上の君主としつつ、複数の有力貴族たちが合議制で政治を行う集団統治だったのではないでしょうか(エーリック大公がしていた血の盟約もその延長線上のもの)。
またこれらの大貴族たちはそれぞれが固有の私有領と軍隊を持っており、昔の幕藩体制における藩のようにそれぞれの私有領はかなり独立性が強かったのではいかと思われます。
このような体制はカリスマ的な盟主がいる場合を除き、誰が主導権を握るかで争うのが常であり、恐らくエーリックの時代においては多くの有力な貴族が「自分こそガミラスの盟主」を自称する群雄割拠状態だったのではないでしょうか。
エーリックもまたそうした群雄の一人であり、彼自身はそれほど野心家ではないものの、ガミラスの分裂という事態は良しとせず「ガミラス再統一」を目指しこの覇権争いに参加していたのだと思われます。
結果から言えば、「大公」という地位を有していた事から分かるとおり貴族たちの勢力の中でもこのデスラー家は非常に大きな勢力であり、また、イスカンダルの隣にあるガミラス本星を押さえていたという好条件から次々とライバルを打ち倒し、その領土を併呑、統一に成功したのでしょう
ただし彼が目指していたのは「ガミラスの群雄割拠状態を終わらせる」ことであり、有力貴族たちによる集団統治体制そのものは否定していなかったのではないでしょうか。
事実、彼を中心とした「血の盟約」も統一後のガミラスの中枢を担う予定の貴族たちで構成されていたと思われます。
なお、この観点で言えばアベルトの兄であるマティウスが後継者として高く評価されていた理由も分かります。
このような集団統治体制を続けるにあたって必要なのは気位の高い貴族たちをひきつけるカリスマと貴族間の利害関係を調整する能力です。
「統一戦争の英雄」と称えられる名声を持つ一方で穏健な気質だったマティウスは「貴族たちの盟主」としては申し分なったのでしょう。
政治闘争だった第二次ガミラス統一戦争
しかし不幸にも後継者であるマティウスは統一戦争終結直前に戦死し、その後、エーリックも病死した事で統一されたガミラスは再び分裂の危機を迎える事になりました。
当然ですね。
ガミラスの集団統治体制は個人のカリスマによって一つにまとめているわけですから、その核が失われたときには分裂してしまうのは当然の結末です。
なおヤマトマガジンに掲載されていた資料によればエーリック大公の死後、彼の実子がその跡を継いだらしいのですが実子であったにもかかわらず「血の盟約」にも参加していなかったことから見てかなり凡庸な人物だった模様です(エーリック自身ですら実子ではなく甥のマティウスを後継者にしようとしていたほどですからよほど駄目だったのでしょう)
個人的にはこのエーリック大公の実子が大公の死やマティウスの戦死に一枚かんでいるのではないかと睨んでいますが、それは別の機会に詳しく述べたいと思います。
そのため、この人物は早々に排除され、エーリック大公の地盤は唯一残った甥であるアベルトが継ぎ、デスラー家のお家騒動の中で分裂してしまったガミラスの再統一を託される事になりました。
・・・と、ここまではこの第二次統一戦争も第一次統一戦争と同じ権力闘争でした。
しかしアベルトとしては現在「ガミラスの再統一」という目標で協力しているエーリック閥の貴族たちが自身の事を「兄マティウスに遥かに劣った愚弟」と内心で軽んじている事は知っていますので、「あと100年」という時間制限がある中で、これまでと同じ「貴族による集団統治体制」ではガミラスを救う事はできないと見切りをつけたのでしょう。
彼はこの統一戦争を利用してガミラスの政治体制を集団統治である貴族制から強力な独裁である総統制へと移行する事を計画したのだと思われます。
そのためにエーリック大公の死後、反逆の意思をみせた貴族たちを滅ぼす一方で、私設軍隊である「親衛隊」の創設やゼーリックやディッツなど「血の盟約」に加盟していない貴族を優遇するなど、エーリック閥の大貴族の勢力をそぎ彼個人に権力を集中する事にも力を入れたのでしょう。
恐らくこの過程でエーリック大公閥の大貴族たち、とくに「血の盟約」に参加していた者たちは軒並み粛清され、その事が後のマティウスの妻による総統暗殺未遂に繋がることになったのだと思われます。
とはいえ、強力な独裁である総統制へと移行した事により、第二次統一戦争は第一次よりもはるかに短期間で終結し、アベルト・デスラーは英雄として「ガミラス帝星」の建国と「大イスカンダル主義」の推進を宣言できたのだと思われます。
もしマティウスが生存していた場合、ガミラスは引き続き「貴族たちによる集団統治」という政治体制は変わる事は無かったでしょう。アベルトは「もし兄が生きていたらガミラスを救うために他の道が選べたかもしれない」という趣旨の発言をしていましたが、恐らくエーリック大公が「ガミラスの滅亡」という危機に対してなんら具体的な方針を立てられなかったのと同様、何も出来ないまま無駄に時を費やしてしまうと思います。
皮肉ながらマティウスが死亡し、第二次統一戦争が勃発した事で、アベルトがガミラスを総統制へと移行し、強引な方法ではありますがガミラスが生き残る方法を模索できるようになりました。
テレサに言わせれば、これこそガミラスが生き残るために「はじめから決まっていた事」だったのかもしれません。
そりゃね、このことに気がついてしまえばデスラー総統がテレサに対してよい感情を抱いていないのも理解できますね(苦笑)
コメント
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山城2199さん、こんばんは
2199のガミラスとデスラーについては
http://movieandtv.blog85.fc2.com/blog-entry-468.html
に投稿された、T.Nさんの分析が、個人的に、かなりしっくりと来ていました。
ところが、2202で追加された、ガミラス星の寿命や、ガミラス星以外で生粋のガミラス人が長く生きられない、バレラスタワー…等の設定との整合性が悪いんですよね。
アレクサンドロスとの共通点を示して、2199のデスラーを理解させるより、2202の設定の方が、予備知識なしでも『そうだったのか!』と納得させやすい半面、冷静に考えると解釈に苦しむ部分が多くて、かなりモヤモヤしてます。
例えば、T.Nさんの解釈であれば、ヤマトがこなくても、633工区をバレラスに落とす理由があるわけですが、2202の設定だと、デスラー砲でエピドラが崩壊した時、わざとヤマトから外さないと、裏切者を一掃するために、633工区を落とす所までたどり着けません。
まぁ、矛盾には目をつぶり、勢いで楽しむ元来の『ヤマト』も好きなんですけどね。
なんだかコメントが統一戦争からそれちゃったかな(^_^;)
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鮫乗り様、今晩は。
コメントをありがとうございます。
> 2199のガミラスとデスラーについては
> http://movieandtv.blog85.fc2.com/blog-entry-468.html
> に投稿された、T.Nさんの分析が、個人的に、かなりしっくりと来ていました。
わたしもこの論文は読みました。
力作ですよね。
正直、2202のガミラス設定はこの論文を下地にして欲しかったと思います。
多少愚痴になりますが、2202は意図的かどうか分かりませんが2199の時点で描かれていた設定と矛盾する部分が多いのですよね。
2202の製作陣はきちんと前作を見てから製作をしているのか疑問に思っています。
ですが、嘆いてばかりいても生産性が無いので、何とかつじつまを合わせる事ができないかとあれこれ考えているとのが当ブログです(苦笑)
はっきり言ってその試みが成功しているかは疑わしいですが(苦笑)
> なんだかコメントが統一戦争からそれちゃったかな(^_^;)
いえいえ、書いているうちに趣旨がどんどんずれていく事は良くある事です。
コメントをしていただけるだけでも大変ありがたいので、細かい事はお気になさらずに!
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イスカンダルが攻め入った銀河は何処なのか?
ゼムリア人がガトランティスを作り出した
のは何と戦うためなのか?
無限に広がる大宇宙もワープや
次元跳躍ができると意外と近い?(ーー;)
もし…ガミラスが
イスカンダル人によって作られた戦闘種族
だったなら…
ゼムリア人はガトランティスにゴレムを
用意して闘うための家畜としていた…
ガミラス人は他の星では長く生きられない…
ゼムリアはガトランティスの反逆により
破滅したが
イスカンダル人は闘いをすて
その贖罪として宇宙に平和を広げようとした…
その一方でガミラスの侵攻は止めていない
ガミラスには生殖能力があり国家もあるが
イスカンダルを信仰している…(ーー;)
今更ながら…気になる合わせ鏡か?
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> イスカンダルが攻め入った銀河は何処なのか?
確か2199でイスカンダルが暴れまわったのは大マゼランといっていたような。
個人的にはイスカンダルのライバルはジレル人ではないか思っています。
根拠としては第一にジレル人は異様にイスカンダル人を嫌っていましたし(ミネーレルですら「お前」とはき捨てるほど)、「方舟」に登場したレーレライはスターシャと似た感じのドレスを着ています。
思うにかつてはイスカンダルとライバル関係にあった名残なのではないかと・・・
> ゼムリア人がガトランティスを作り出した
> のは何と戦うためなのか?
> 無限に広がる大宇宙もワープや
> 次元跳躍ができると意外と近い?(ーー;)
> もし…ガミラスが
> イスカンダル人によって作られた戦闘種族
> だったなら…
> ゼムリア人はガトランティスにゴレムを
> 用意して闘うための家畜としていた…
> ガミラス人は他の星では長く生きられない…
> ゼムリアはガトランティスの反逆により
> 破滅したが
> イスカンダル人は闘いをすて
> その贖罪として宇宙に平和を広げようとした…
> その一方でガミラスの侵攻は止めていない
> ガミラスには生殖能力があり国家もあるが
> イスカンダルを信仰している…(ーー;)
>
面白いご指摘ですね
これまで「ゼムリア人がガトランティスを作り出したのは何と戦うためなのか?」という視点では考えた事がありませんでした。
この見解がただいいのならば「ガミラス人」と「ガトランティス人」はライバル関係にあったということですね。
そりゃあ徹底的に仲が悪いわけです(笑)
ただ同じ目的で作ったとしても、「ゼムリア人」よりも「イスカンダル人」のほうがまだ良心はありますね。
少なくとも子孫を残す事や心を持つ事は否定していなかったわけですから。
だからこそ「イスカンダル人」は「ゼムリア人」とは違い尊敬の対象になりえたのかもしれませんね。