影の薄い男

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皆様、今晩は。
「回生篇」本公開まであと4日の月曜日です。
今回はちょっと箸休めとして、ある男について語りたいと思います。

2202にはオリジナルシリーズのリメイクキャラだけではなく、2202より登場するオリジナルキャラクターも多く登場しております。そのため、主要キャラクターの中にはほとんど出番が無く、空気と化してしまっている者もおります。
今回取り上げる「ラーゼラー」もまたそのような非常に気の毒なキャラクターの一人です。

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言うまでもありませんが、ラーゼラーはオリジナルシリーズにも登場したガトランティス最高幹部の一人であり、オリジナルシリーズでは傲慢で無能なキャラクターであったサーベラーやゲーニッツとは異なり、慎重な意見を述べるキャラクターとして印象を残しました。
もっともそういった慎重な性格が災いしてか、あくの強いキャラクターが多いガトランティスにおいてはいささか影が薄く、PSにおいて「さらば宇宙戦艦ヤマト」がゲーム化されたときは
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と、製作サイドからもネタにされてしまう気の毒なお方でした(結果論から言えば、一番正論を言っているキャラクターなのに。笑)
なお、このゲームでも何気に扱いがひどく、某ルートでは崩壊する彗星都市から一人だけ脱出に失敗して瓦礫に押し潰されるという最期を遂げています(苦笑)
とはいえ、オリジナルシリーズでは出番が少なく、一部ネタキャラ的な要素はあったものもきちんとキャラ立ちはしていた事は間違いありませんでした。

ところがリメイク版では

「支配庁軍務総議長。帝国が制圧した星系の占領支配を担当する。最高位幕僚の中にあって、もっとも官僚的な発言が目立つ狡猾な人物。」

という設定は一応あるものの、劇中の彼はまさしく「空気」の一言です。
まともな発言といえば第7話冒頭でヤマトの波動砲を見たときに「第8艦隊に知らせたほうがよいのでは」と意見を述べたときと、デスラー復権の際にゲーニッツと少し話をしているだけ。あとは幹部たちが集まっている時にモブのように立っている彼の姿が確認できるだけです。
設定にある「最高位幕僚の中にあって、もっとも官僚的な発言が目立つ狡猾な人物」が生かされている描写はひとつもありません(苦笑)

しかしよくよく考えてみれば、それは無理からぬ事かもしれません。
なぜなら、彼のキャラクター設定自体がこのラーゼラーが2202のストーリーにおいては重要人物ではないことを示しています。
そもそも2202のガトランティスは「支配」ではなく「殲滅」を目的とした存在です。
そんな彼らに征服した各惑星の占領・支配を目的とする「支配庁」が存在する事はありえません。
はっきり言えば、ラーゼラーの設定はオリジナルシリーズの設定を踏襲しただけのものであり、逆にってしまえば、2202におけるラーゼラーはそのようないい加減な設定でも問題が無い程度のキャラクターという事です。
恐らく彼が登場した最大の理由は、「オリジナルシリーズにいたから」というだけであり、2202の物語の中で何らかの役割を求められてはいないのでしょう。

次々と新キャラが登場する2202ですが、このような空気キャラが出るくらいならば新キャラを減らして既存キャラで話をまわして欲しかったというのが正直な感想です。
あるいは既存キャラはすでにキャラクターがある程度出来上がっているため使い勝手が悪いので、なるべく既存キャラクターは空気にして、オリジナルの新キャラクターで話を作ろうとしたのかもしれませんが(どうもこちらのほうが正解かもしれません)。

なにはともあれ第6章でも出番はなさそうなラーゼラーですが、せめて最終章の第7章には最低限の出番はつくってあげて欲しいところですね。