航空戦艦信濃の考察②

皆様今晩は!
今回は少し間が開いてしまいましたが小林副監督がかつてデザインされた「航空戦艦信濃」に対する私なりの考察(というより感想?)です。
なお前もって申し上げますが、副監督に対する否定的な意見が多数含まれる内容になりますので、そのような内容が嫌いな方は回避をお願いいたします。

航空戦艦信濃についての感想

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まず最初に前言を撤回するようですが、この航空戦艦信濃は基本的には悪くないと思います。
史実の信濃は完全な空母に改装されたのに対し、この信濃は地球軍の主力空母を連想させる航空戦艦タイプですが、作中でヤマト型戦艦が空母に改装されるとしたら、このようなデザインになると私も思います。
かくいう私もすっと昔、メカコレのオリジナル艦として制作した航空戦艦タイプのヤマトは似たようなデザインにしております。
小林副監督の作品と比べると非常に稚拙なものですが、まあ基本的に考えることは皆一緒という事ですね(苦笑)

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では、小林副監督の信濃のデザインは何処が問題なのか。
結論から言ってしまえば、「航空戦艦である意味がない」という点です。

航空戦艦信濃の致命的問題点

航空戦艦のコンセプトは「空母の航空戦力と戦艦の攻撃力」の両立です。
そもそも、ヤマトの世界での空母が航空戦艦タイプが多いことについて、小林副監督自身が何らかの解説で「ワープがあるヤマト世界では空母が敵艦と接触する可能性が高いから」と語っておりました。
この解説は非常に納得できるものです。
しかしこれを前提にしてこの航空戦艦信濃を見た場合、あまりにも武装が貧弱と判断せざるを得ません。
この信濃の最大の武器は艦橋前に残された副砲であり、ヤマト型の最大の通常兵器である主砲は撤去され、対空兵装であるパルスレーザー砲群に変更されています。
この兵装を見る限り、この信濃は対空戦闘に特化されており対艦戦闘はほぼ考慮されていません。
これでは空母機能を削ってまで前半分を戦艦にした意味は全くありません。
この意味で航空戦艦という意味ではこの信濃は明らかに失敗艦です!
これならばむしろ徹底的に対空兵装を充実させた正規空母として改造した方が戦略・戦術両方の点で役に立つのではないでしょうか?

以前私は空母型アンドロメダについて、実際の運用で問題がありすぎる失敗艦と断じたこともありますが、何故小林副監督のデザインする艦はこうも運用面で問題のあるデザインが多いのか。

小林デザインの限界とは

これはあくまで私の勝手な想像にすぎませんが、この原因は小林副監督は「設定よりもデザインを優先させる」癖にあるのではないかと思います。
小林副監督の言動を見る限り、戦艦などをデザインすることは好きであることは間違いありませんが、それは本当にデザインのみ話であり、そのデザインに実用性があるかなどといったミリタリー的考察に関してはほとんど興味が無いのでしょう。
小林副監督にとっては自分の好みが最優先であり、そのため、純軍事的には不合理とも思えるデザインが平然となされているのではないでしょうか。
以前私は2202に登場した空母型アンドロメダについて「バランス性を欠いた失敗艦」であると断言したことがありますが、これも小林副監督が好みを優先させた結果ではないかと思います。
私自身は小林副監督のデザインそのものは決して嫌いではないのですが、同時に「自身の好みを最優先させてしまう」ことが小林デザインの限界であることは間違いないと思っています。

コメント

  1. yoshirinn より:

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    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    主砲(副砲?)の前に対空砲の配備なんて、ちょっと変ですよね。飛行甲板の配置から,後方へ発進するスタイルのようだし、着艦に失敗したらどうするのかとかいろいろ突っ込みどころがあります。この辺りは技術の進歩で何とかなるでしょうけど。
    私自身、最も成功した航空戦艦はヤマトだと思っていますが、それだと面白くないのでせめてデザインがかっこいいものを望みます。だからデスラー戦闘空母やPS版のまつしまは今見てもかっこいいと思いますね。

  2. 与太郎 より:

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    そもそも洋上艦的な空母デザインが必要かなと?
    必要とするならガミラスの戦闘空母辺りなら納得です。何故、全通甲板に拘るのか不思議です。ヤマトでさえ36機プラスαで搭載出来るのにと思うと完全的な空母って必要ないしょ。記憶が曖昧ですが、「2」の宇宙空母タイプと「「プレステ版」にしか地球側の全通甲板空母って出て来てないですよね?

  3. 山城2199 より:

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    yoshirinn様、コメントをありがとうございます!
    >後方へ発進するスタイルのようだし、着艦に失敗したらどうするのかとかいろいろ突っ込みどころがあります。
    まあ、ここは主力空母に共通するツッコミどころですね
    だからこそPS版では全甲板になるなど変更が加えられたのではないかと思っております。

    >最も成功した航空戦艦はヤマトだと思っていますが、それだと面白くないのでせめてデザインがかっこいいものを望みます。だからデスラー戦闘空母やPS版のまつしまは今見てもかっこいいと思いますね。
    PS版のデザインはいま見ても本当に素晴らしいの一言!
    2205では是非このデザインを参考にして欲しいですね。

  4. 山城2199 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    与太郎様、コメントをありがとうございます
    >そもそも洋上艦的な空母デザインが必要かなと?
    これは言ってはいけない禁句だと思います(笑)
    そもそもそれを言ってしまったら水上艦のデザインを宇宙戦艦として使うということがおかしくなってしまいます。
    ちなみに2199において出渕総監督は宇宙を海に置き換えて演出を行っていましたが、この辺は上手い嘘だと思います。

  5. ABARTH より:

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    山城さんこんばんは❗
    皆さんの辛口な意見素晴らしいです。
    と、同時に山本さんの意見に同感です。
    元副監督のデザインは全て嫌いではありません。しかしヤマト以外の作品でも?がいくつ重なるのかなと思うもの多いです。ガンダムΖΖなどが典型的です。頭に波動砲付けて重力アンカーあるのかよ!メインカメラだって発射後の放熱大丈夫かよ!Ζの名を冠してるのに何故ノンオプションで大気圏突入が出来ないんだ!とまあアラ探せばイクラでも出てきます‼️
    そしてこの信濃はその最たるものかなと!
    旧帝国海軍の改装を見てみると航空戦艦の伊勢や日向、航空巡洋艦最上が何故後部甲板のみの改装になったのか?理由は改装費用の問題だけではありません。当時の航空機の性能を考えてみれば明らかです。
    搭載可能な数は模型に付属しているものより少なく、甲板に係留することで数を増やす前提であるとしか思えません。ましてや
    護衛する艦艇が数を減らしてる中、単独である程度防衛でき、短期の工期で運用可能というのが最大の利点でしょう。しかし、信濃の改装は事情が変わっていました。浸水はしていても武装は全くしてません。起動部隊の空母を失って早急に補充しなくてはならない。一から全て建造するより、改装の方が低予算で工期も早い❗しかも日本最大の船体を活かす全通式ができるとくれば、この形になるのは必然でした。
    さて、宇宙空母としての信濃ですが、信濃単艦での運用を考えたとき武装はどうでしょうか?遠距離からの攻撃はできません。艦載機による運用を前提としているので単艦では正直無理です。ドレッドノート以下数隻は護衛艦が必要です。どうしても単艦での運用を前提とするなら、ドレッドノート型のように後部を延長して搭載数を確保し、主砲はオミットせず、航空戦艦とすべきです。さらには、アングルドデッキを付ける必要もあるでしょう。また、全通甲板式なら松本御大のグレートヤマトのように主砲武装を全て下部に据えるという運用も宇宙なら可能なはずです。
    このように運用方法に難があり、明らかに見え見えな欠陥をそのままにしているにもかかわらず、これで良しとしているデザインは彼の限界を感じざるを得ませんね。

  6. 山城2199 より:

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    ABARTH様、今晩は!
    熱いコメントをありがとうございます!

    これは以前にも言ったことがありますが、小林副監督は誰かの下で依頼された仕事をする上では良い仕事をするのですが、フリーハンドで好き勝手やらせてしまうと、一転して駄目になってしまうタイプの方だと思っています。
    実際、出渕総監督の下で依頼されたデザインを行っていた時は非常に良い仕事をなさっていたと思います。
    小林副監督の問題はそれについて自覚がなく、また我が強すぎるので他者との共闘が難しいという事かもしれませんね。