森雪と桂木透子

皆様今晩は。
今回の記事は2202について以前から思っていたことをまとめてみたいと思います。
実は昨日、久しぶりに第6章・第7章を見返したので、その影響でたんに書きたくなっただけなんですけどね(笑)

あくまで個人的な感想ですが、2202において森雪と桂木透子は本編内でもう少し絡ませた方が良かったのではないかと思っています。
実はこの二人、共に2202での重要キャラでありながら、本編内でまともに絡んだのはたった1度、第6章でヤマトからの退艦を雪が透子に促しているシーンだけです。
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第4章・第5章においては、透子関連のイベントはむしろキーマンや玲が積極的に関わっていただけに、第6章を初めてみた時、ほぼ接点がなかった雪が真っ先に透子の所にきていることについて強い違和感がありました。
正直、ここで雪が透子を助けようとする流れを描くならば、これ以前の透子関連イベントにおいても雪が積極的に絡み、両者の間にちゃんとした人間関係が構築されていた方が自然だったのではないかと思います。
この救助イベントは、雪が透子を助けようとした結果、雪は記憶を失い、透子には内心の変化をもたらしたという2202後半のストーリーの軸となるターニングポイントであったのに対し、5章までのキーマンや玲との絡みは、その後のストーリーにほとんど影響を与えていないことを見ると、この二人よりも雪を透子に絡ませた方が良かったのではないかとなおさら思います。

透子がキーマン&玲と絡んだ理由

ストーリー的には透子とキーマン&玲を絡ませる意味はほとんどありません。
それでは何故、雪ではなくキーマンや玲を絡ませたのでしょうか。
これについては、正直なところ、ストーリー的な理由ではなく脚本を担当した福井氏の趣味と外部的な要因が強いような気がします。

まず主人公サイドの男性スパイを誘惑する敵サイドの女スパイという構図は、福井氏の代表作の一つである「亡国のイージス」でも描かれた展開であり、恐らくは福井氏が好きなシュチエ―ションの1つなのでしょう。
そのため、単に「そのシュチエ―ションをヤマトでやってみたかった」という程度の理由でキーマンと透子を絡ませたのではないかと思われます。

一方、玲についてはスポンサーの意向により玲の活躍する展開を増やさなければならなかったという要素が多いように思われます。
2202での大手スポンサーであった「アンダーアーマー」は山本玲を自社の宣伝キャラとして採用しましたが、その関係上、どうしても本編での山本玲の登場シーンを増やす必要があったのではないかと思われます。
しかし、特に4章においてはストーリー上ほぼ航空隊の活躍は期待できなかったため、このままでは玲の出番がほとんどないとして、苦肉の策として取り入れたのが、透子関連のイベントに玲を絡ませるという事だったのかもしれません。

ちなみにその後に描かれた、機動甲冑に玲が乗り込むという展開も同様の理由だったのかもしれません(こちらの方は小林副監督の意向も含まれていそうですが)。
普通に考えて、航空隊の主戦力である玲は、普通に航空機のパイロットとして作戦に参加させた方が良く、空間騎兵の機動甲冑に乗せるというという展開はありえません。
自慢のメカである機動甲冑を活躍させたい副監督と山本玲の出番を増やさければならないという都合で、ストーリーの整合性を無視しぶっ込まれた可能性が非常に高いです。

2202では、全体のストーリーから見てあまり意味があるとは思えないシーンや展開が多いのですが、これらは軒並み制作サイドの趣味やスポンサーの意向が働いた結果である気がします。
2202が酷評される理由の1つはこのようなところにあるかもしれませんね。

雪と透子が絡んで欲しかった理由

個人的には雪と透子はもっと積極的に絡ませた方が2202のテーマ的に良かった気がします。
というのも、2202では古代君と大帝が合わせ鏡のように描かれていますが、この関係上、両者の傍らにいる女性である雪と透子もまた対となる存在です。
実際、劇中での雪と透子の描かれ方は、
記憶を失ってもなお、古代を守ろうとする雪
記憶を消されても、記憶がよみがえりズォーダーに逆らい続ける透子(サーベラー)

と真逆です。
二次創作的な思考で考えれば、このような両者の描写は非常に美味しいです。
古代君とズォーダーを積極的に絡ませたように、雪と透子は積極的に絡ませた方がストーリーや雪と透子の心理描写に深みが出て非常に面白くなったのではないかと思います。
その意味で本編で両者がほとんど絡まなかったことは残念の一言です。

ちなみに私ならば、透子とキーマンはほぼ絡めず、スパイ発覚時のキーマンの役割は雪に担当させます。
(※透子が記録を偽装しながらヤマト艦内の機材を使っていたことをから、船務長である雪がその偽装工作に気がつき、透子の正体にたどり着くという展開でよかったと思います)
そして、その関係で拘留された透子と言葉を交わす機会を持つようになり、第6章の冒頭の救出イベントに繋がるという流れにしたほうがごく自然だったのではないでしょうか?
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総じて2202はキャラの人間関係を描くのが非常に下手です。
例えば美影ちゃんと斎藤一を絡ませればそれだけでひとつの物語が出来るのに、本編中で両者が出会う事は結局ありませんでした。
次回作2205では懐かしいキャラが総出演のようなので、2205での失敗をくる返さないように期待したいところです。

コメント

  1. ABARTH より:

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    2202については今更感はありますが、キャラの設定だけしといて、扱いやキャラの絡みに関しては?の部分が多すぎです。透子と雪の絡みは確かに山城さんのご指摘通りですね。教授は必要だったのか?透子が教授という設定でいいんじゃないのか?キーマンと山本はスポンサーや福井さんの意向でしょうが、共に愛機が撃墜で、後味悪い演出。美影と斉藤との絡み観たかったのに全くなしだし、メカの演出も?な場面多過ぎて元副監督の無茶振りと暴走に腹立たしく思ってます。テレザート攻防戦では山本は古代たちの護衛でしょ。起動甲冑ばかりでコスモタイガーの出番は鶴見の戦死ばかりだし、メダルーザ級を反射衛星砲使いたいばかりに戦車にしちゃうし、上げれば切りがないですね。とにかくストーリー先行でキャラの絡みが?な演出ばかりで2202のリメイクを庵野さんにお願いしたいくらいです。さらばのリメイクならやらないでしょうがね。

  2. 山城2199 より:

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    ABARTH様、コメントをありがとうございます!
    2202は本当にキャラの使い方や描写をしっかり描いていればもっと素晴らしい作品になったと思います。
    2202は2202で楽しんではいますが、本当にそれだけが残念です。