皆様今晩は！
今回は正月休み中にふと考えた雪のアスカ艦長就任の動機についてまとめてみたいと思います。
2205公式ページおいて、雪のキャラクター紹介は以下のように書かれています。
推挙した藤堂自身が「三段跳び」と語るほど常識外れの人事だったが、雪は要請を受諾。
今の古代を支えるには、距離を置き対等な立場に立つ必要がある……雪はそう考えた。
ここで気になるのは「今の古代を支えるには、距離を置き対等な立場に立つ必要がある……雪はそう考えた。」という点です。
なぜ雪は古代を傍らで支えるのではなく、「距離を置き対等な立場に立つ必要がある」と考えたのか。
その理由は、恐らく2202での彼女の経験、特に古代と再会を果たした惑星シュトラバーゼでの経験が大きかったのではないかと思われます。
存在意義を失っていた雪
実を言うと、（一時的に離脱はしたものの）船務長として重要な役割を果たしていた2199年のイスカンダル航海と異なり、2202の航海では雪はあらゆる意味でその存在意義を失っていました。
まず、最初にあげられるのが軍人としての存在意義の喪失です
元々、2202の雪は密航という手段で乗り込んでいたため、古代と惑星シュトラバーゼで再会するまでクルーとして艦の運航に関わる事は出来ませんでした。
その間、以前の航海では交代要員に過ぎなかった西条未来が船務長代理として完全に雪の代役を果たしていたのですが、その間、何ら不都合は発生しておらず、雪がいなくても艦の運航に問題が無いという事が立証されてしまったわけです。
もちろんこれは軍組織としては健全であり、むしろ雪は部下の育成がしっかりと出来ていた証拠でもあります。
しかし同時に、「船務長」という役割で雪が古代を支える必要はないということを雪自身は理解してしまったのだと思います。
次に否定されたのが、恋人としての存在意義です。
2202での航海において、古代は波動砲を巡る問題で大きく悩むことになります。
ところが雪は恋人という立場でありながら、その悩みの解消に何ら貢献することができませんでした。
むしろ、苦難の連続で追い詰められた古代を見かね、密航していた雪が古代の前に姿を見せましたが、その結果は古代の悩みを大きくしただけでした。
そんな古代を見て雪は軍人としてではなく、恋人としても古代の役に立てることは何もないという事を悟ってしまったのでしょう。
惑星シュトラバーゼで雪が古代から避難民を連れての離脱を命じられた時、雪があっさり受託したのは、ヤマトにいても自分ができることは何もないという事を理解しており、それならばせめて古代の要請に応じることで、少しでも彼の役に立ちたいと考えたからでしょう。
2202では古代の悩みが大きくクローズアップされていましたが、その陰では雪もまた自分の存在する意味を見失い、大いに悩んでいたのではないかと思われます。
雪と悪魔の選択
そして、雪が力を求めるようになった最大の理由は惑星シュトラバーゼにおける大帝ズォ―ダが古代に行った「悪魔の選択」にあると思われます。
この「悪魔の選択」を知った時、雪は自分の存在が古代にとって足枷になっていることを嫌でも理解したのでしょう。
そしてそのようになってしまった理由として、いつの間にか自分が古代にとって「守るべき存在」となっていたことであると雪自身は考えたのではないでしょうか。
「恋人」や「部下」として古代の身近にいる限り、自分は古代にとって「守られるべき存在」でしかなく、彼の足枷になり続ける。
足枷にならず、彼と同じ道を歩むためには、自分自身も力を持ち、「守られる存在」から「対等の関係」になるしかない。
一連の経験から雪はそのように結論付けたのだと思われます。
実際、例えば「波動砲問題」などでいくら「皆で背負う」と言われても、その最終的な責任は艦長である古代一人が背負う事になり、雪は「部下」である限り、その責任を分かち合う事はできません。
しかし、古代と対等の「艦長」であるならば、その責任を一緒に背負う事ができます。
雪の「アスカ」艦長就任は藤堂長官の推薦であるとされていますが、恐らく雪自身も強くその人事を希望していたのではないかと思います。
「時間断層消滅の責任を背負い込む古代を案じていた矢先、軍からアスカ艦長就任の打診を受ける。推挙した藤堂自身が「三段跳び」と語るほど常識外れの人事だったが、雪は要請を受諾。」この部分は、2202において波動砲問題で苦しみ、悩む恋人をただ見ているしかできなかった雪が、同じ過ちを繰り返さないという強い決意が示されていると思われます。
「時間断層消滅の責任は私も背負う」
雪のアスカ艦長就任は古代に対する雪のこのようなメッセージだったと思われます。
このように考えると、2205の雪が「男らしい」と表現されるのも納得ですね。
個人的に2202第3章「純愛篇」はストーリーとしてはあまり面白くないため、検証目的以外ではあまり通して見返すことはありません。しかし2205を見た上で「純愛篇」を見返すと、2205での雪の変化は「純愛篇」が伏線になっているという事に気づき、結構面白く感じました。
2205を見てから2202に戻ってみると、他にもこれまで気がつかなかった新しい発見があるかもしれませんね。
コメント
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旧作さらばの雪は守られる存在だから側にいて古代を守りたい。そんな思いの行動でミルの凶弾に倒れる結果になりました。2202では、山城様の考察が実に的を得てるので自分も同感です。古代と対等な立場になれば、同じ目線で互いの責任を負うわけですからね。何れにしろ、復活編でスーパーアンドロメダ級の艦長を務める訳で、見経験者を抜擢するのは無理があり、ここで艦長としての経験をさせれば矛盾の解決にもなりますね。
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ABARTH様、コメントをありがとうございます。
復活篇における雪の艦長就任の経緯はアクエリアス・アルゴニズムに描かれていましたが、こちらは（予備役にさせられた）夫の代わりを務めたいという感じでしたね。
これはこれで興味深いので、古代の予備役入りの経緯や艦長職に就いた雪のその後も何らかの形で深堀して欲しいと思っています。
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こんばんは
高次元空間で雪の叫びに対し、古代が一度は手を出そうとするも思い直して手を引っ込めてしまいました。その行為によって、雪の心には決して消えることない傷が生まれてもおかしくはないでしょう。
しかも結果として未来の娘？の力を借りて古代はやっと自分の手をとってくれた。
これは二人の将来が必ずしも明るいわけではない暗示のような気がします。(別の世界の二人のことを抜きにしても)
二人が結婚して同じ艦に乗り続けることは現実には不可能。
ならば自分はヒュウガへ…と考えても不思議ではないように思います。
しかし今回の航海ではともかく、この次の航海は？目的は？艦隊編成は？
なんだか現状ギリギリ保たれてるだけの危うい関係に見えてしまいました。
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GEN-6様、コメントをありがとうございます。
>高次元空間で雪の叫びに対し、古代が一度は手を出そうとするも思い直して手を引っ込めてしまいました。その行為によって、雪の心には決して消えることない傷が生まれてもおかしくはないでしょう。
これについては私も同感です。
この時の古代の心情については以前、当ブログで考察したことがありますが、雪にとってみても今の自分では恋人を支えるだけの力は無いということを実感した出来事だったのではないかと思います。
だからこそ高次元世界から帰還後にすぐに結婚せず、あえて古代と並ぶことができるまではという覚悟で距離をとることにしたのではいかと思われます。
思うに今の古代と雪に足りないのは、共に同じ道を歩くパートナー（同志と言っても良い）としての信頼関係ではないかと考えています。
これがしっかり確立できればたとえ距離的な別れがあったとしても問題はないのではないでしょうか。
あるいは、次に「永遠に篇」が作られるとしたら、それが問われる内容になるのかもしれませんね。
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山城2199様こんにちは
一度は取り合おうとした手を直前で自ら引く…コレは眼前で恋人が身投げしたも同然のショッキングな行為ですよね。
まぁ立場が逆で同様な行為を雪が溶岩惑星でヤラカシてるわけでもありますし。
この二人の将来、たとえ子供ができたとしても円満な家庭にはならなそうな感じがします。(旧作を抜きに考ても)
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GEN-6g様、コメントをありがとうございます。
>この二人の将来、たとえ子供ができたとしても円満な家庭にはならなそうな感じがします。
どうでしょうかね？
基本待ちポジションであったオリジナル版の雪と比べて、リメイクシリーズの雪はちゃんと古代君を捕まえているタイプですから絆が壊れる可能性は低いと思います。
問題があるとすれば外部的な要因により静かな婚姻生活は期待できないという事ではないかと思ってしまいます。