皆様こんにちは!
先週8日より公開が始まった「宇宙戦艦ヤマト2205‐新たなる旅立ち‐」前章はとても評判が良いみたいですね。
1週目にしてBDやパンフレットが売り切れる劇場が相次ぎ、更に1スクリーンあたりの興行収入を示す「スクリーンアベレージ」の週末興行ランキングで見事1位を獲得したそうです。
2202公開時にはほぼ批判的なコメントしかなかった「5ch」のヤマトスレにおいても好意的なコメントが増えており、完全に流れが変わったという感じがします。
私も9日・10日と2回連続乗船しましたが、本当に素晴らしい作品でした。
正直、2202の第3章~第5章あたりはリピート乗船がかなりつらかったのですが、この2205に関しては4週全部リピートできる自信があります!
まだ2205を見ていない人は騙されたと思って是非一度見て欲しいですね。
閑話休題
さて、今回は視聴中にふと気がついた、デザリアムがヤマトを恐れる理由についてまとめてみたいと思います。
既に2205を視聴されている方はご存知の通り、2205本編においては別にデザリアムがヤマトを恐れる描写は存在しません(そもそも前章ではまだ交戦もしていませんし)。
ただ、旧シリーズの「新たなる旅立ち」の続編にあたる「ヤマトよ永遠に」において、デザリアムのリメイク元である「暗黒星団帝国」が異様なほどヤマトを恐れ、警戒する描写が存在します。
旧作の設定ではで暗黒星団帝国の本拠地であるデザリアムは波動エネルギーに弱いという設定が存在する為、波動砲を搭載し、さらにメルダ―ス率いる大マゼラン銀河方面軍を全滅に追い込んだヤマトを特に警戒する理由は分からない訳でもありません。
ただそのような理由を差し引いても、暗黒星団のヤマトに対する怯えは異常なものに見えました。
結局、この理由については「ヤマトよ永遠に」内では最後まで納得できませんでしたが、今回、2205を見ている時に気がついたとある理由により、2205のデザリアムならば「確かにヤマトを異様に警戒するかもしれないな」と思えてきました。
その理由とは、古代進と森雪という二人の人物の存在です。
デザリアムの正体は未来の地球?
既に多くの方の考察で指摘されていますが、2205のデザリアムの正体は「時間断層を残すことを選択した時間軸の地球」という事でほぼ間違いないと思います。
事実、古い地球のレコードをデ―ダ―が聞いていたり、ガミラスを「歴史に残らぬ弱者どもよ」と呼ぶなど、未来の地球を思わせる描写は複数存在します。
勿論、壮大なひっかけである可能性はありますが、そもそも2205は複雑な設定が絡み合った物語ですので、あまりひどいどんでん返しはむしろ行われないのではないかと思っています。
また、少なくとも小林誠副監督が制作に参加していた時点での2205構想では「デザリアムの正体は時間断層を残すことを決断した地球の未来の姿」とされ、2202ではそのための伏線が用意されていた(例:ブラックアンドロメダの登場など)とされています。
2205はわりと丁寧に2199や2202の設定や描写を拾い、上手くストーリーに組み込んでいますので、2202でわざわざ用意した「デザリアムの正体」に関する伏線を無駄にするとは思えません。
2205の設定やストーリーは小林副監督が参加していた時点から随分変わっているとは思いますが、これらの理由から「デザリアムが時間断層を残すことを決断した地球の未来の姿」という基本路線は変更されていないと思われます。
本編内で何度も「時間断層をなくしたのか本当に正しかったのか」という事が問われていたり、また芹沢と古代の会話の中で「未来を知っていれば正しい選択ができる」という話が出てきたのもすべてデザリアムの正体に繋がる伏線ではないかと思っています。
そしてもしデザリアムの正体が「時間断層を残すことを決断した地球の未来の姿」であるならば、ヤマト、より正確に言えばヤマトの艦長である古代進と元ヤマト船務長である森雪の二人を警戒します。
何故なら、この二人は彼らの知る歴史には登場しない完全なノイズだからです。
デザリアムが二人を恐れる理由
地球がデザリアムへの道に進むか否かの分岐点は間違いなく2202最終話で描かれた国民投票の結果です。
メタ的な言い方をすれば古代と雪の二人はその結果が「時間断層の閉鎖」であった「2205ルート」に進んだ場合にのみ登場する人間であり、「時間断層存続」が選ばれた「デザリアムルート」では高次元世界から帰還せず完全に歴史からロストしています。
実はこれが「2205ルート」と「デザリアムルート」の唯一にして最大の違いであり、そしてデザリアムに勝利できる唯一の要素ではないかと考えています。
本来、未来から来たデザリアムは、情報戦や技術面で圧倒的優位に立っています。
まず情報面ですが、彼らにとっては「2205世界」は過去の出来事であり、当時の地球やガミラスの動向や戦力、各種兵器の性能は十分なデータとして保有しているはずです。
デザリアムがガミラスがガルマン星の移住計画の最中に奇襲を成功させることができたのも、決して偶然ではなく、その当時のガミラスが大規模な移住計画の実行中であり、さらにガルマン星の防衛で手薄になっていると知っていたからでしょう。
勿論、過去に介入することによって多少の変化は生じます。
今回の場合だと、ガミラス星の襲撃を聞いたデスラー艦隊が本来の予定よりも早く戻ってきたことなどがそれに該当しますが、そのあたりはデザリアムにとって十分予想できる許容範囲の変化に過ぎなかったのでしょう。
また技術面ですが、当然ながら未来から来たデザリアムの技術レベルは2205時代よりも数世代先のものになります。
これは例えば、第二次世界大戦時の軍艦や航空機が現代の軍艦や航空機と戦った場合、どうなるかという話に近いです。
戦いようによっては第二次世界大戦時の軍艦や航空機でも現代兵器を撃破する事は可能でしょう。
しかし技術レベルの差はやはり圧倒的であり、普通にぶつかればまず現代兵器が圧勝するはずです。
特に地球にとってはデザリアムは最悪の敵であり、同世代ではほぼ無敵の波動砲艦隊もデザリアムから見れば時代遅れの骨董品でしかありません。
オリジナル版の「ヤマトよ永遠に」で地球艦隊は暗黒星団にほぼ一方的に敗北しますが、これは2205の設定で考えるならば当然の帰結であると言えます。
そんな圧倒的なデザリアムが過去での世界で恐れるとしたら、それはデータにない存在です。
データにあるものならば、それがどのような変化をもたらすかある程度予想し、修正することができますが、データにない存在となるとその行動や影響の範囲は予想する事すらできません。
恐らくデザリアムにとってみれば、デスラー艦隊の帰還は許容範囲内の変化ですが、ヤマトを旗艦とした第65護衛隊の参戦は完全に許容範囲を超えた変化ではないかと思われます(そもそもデザリアムルートでは第65護衛隊の結成自体存在しないはず)。
この意味で、デザリアムとって古代と雪の存在は、自分たちの所有する優位性を全てひっくり返ししかねない最悪のノイズという事になります。
そしてこのノイズによって、本来負ける要素のないメルダ―ス軍団の敗北という結果がもたらされたとデザリアム首脳陣が知れば、古代や雪、そしてヤマトを旗艦とする第65護衛隊を最要注意対象として警戒するようになるのは当然です。
もし2205の続編として「永遠に」に相当する作品が作られ、そこで旧作通りデザリアムの地球侵攻が描かれるとしたら、それは古代や雪といった自分たちに悪影響を与えるノイズを消すためという理由によるものになるかもしれませんね。
古代と雪が全宇宙の命運を背負う?
逆に言えば、2205世界がデザリアムに勝利する為には、古代と雪の動きが最も重要なキーとなります。
2205において、古代は時間断層と引き換えにした価値が自分にあるのかと悩んでいましたが、図らずも彼らの存在がデザリアムの侵攻から「2205世界」を守る唯一の存在になっているとしたら非常に熱いです。
2205では完結編のネタもぶち込んでいることから、少なくとも古代と雪とメインとしたヤマトの物語はこのデザリアム篇で終わると思います。
個人的には、2202から問われ続けてきた問題の全ての答えとして、そして古代と雪の二人を中心としたヤマトの物語としてこのような展開が最もふさわしい物語ではないかと思います。