雪に関するちょっとした疑問

皆様こんばんは
今回は短いですが雪に関して少し気になったことを検証してみたいと思います。

2202において、雪は事故に遭う以前の記憶がないことを気にしています。
しかし、改めて第1章を見直したときにふと気が付いたのですが、何故雪は土方さんに自分の過去を聞いていなかったのでしょうか?
第4章において土方さんは雪に彼女の両親の話をしていましたし、少なくとも質問すれば土方さんはちゃんと教えてくれたのではないかと思います。
しかし、2202における雪の言動を見る限り、土方さんに自分の過去を教えてもらった様子はありません。
事実、両親の話にしても土方さんが自発的に話したときにはじめて聞いたような様子であったことを考えると、土方さんから自分の過去についてはまったく聞いていなかった考えるほうが妥当です。
何故雪は土方さんに聞かなかったのでしょうか?

あくまで推測ですが、これは古代君が雪の過去について気にしていなかったことが大きいのではないでしょうか?
2202第2話において雪と古代は次のような会話をしています。

【雪】
「この4年間の記憶しかない奥さんなんて、不安にならない?」
【古代】
「必要なのは、この4年の想い出だろ?」

古代君にとって愛した女性とは出会ってから共に過ごしたこの4年間の雪であり、それ以前の雪はある意味別人であるとしてそこまで興味を持っていなかったと思われます。
もし何らかの拍子で古代君が雪の過去を知ったとしても「ふ~ん」程度のレベルで済んでしまった気がします(実際、古代君は雪以外の女性に対しては割と淡白です)
恋人である古代君がそのような態度である以上、雪もことさら自分の過去を知ろうとは思わなかったのではないでしょうか。

また、雪自身も記憶がないことは気にはしていても、過去の自分を知ることを恐れていたのかもしれません。
言ってしまえば、現在の自分は本当の「森雪」ではなく、記憶喪失によって誕生した仮の人格です。
賢明な彼女のことですから、記憶喪失中の人格や記憶は、本来の記憶の回復と共に失われる、つまり「古代君を愛し愛されているいまの自分」が消滅してしまうということに気が付いていたのではないでしょうか?
その為、極力昔の自分が蘇るような行為を無意識的に避けていたのかもしれません。

このように考えると上で紹介した雪の発言は結構意味深です。
古代君は「過去がなことが気にならないか」という意味でとらえていましたが、もしかしたら雪は「今の自分はいつ消えるかわからない存在である」ということを暗に警告していたのかもしれません(雪自身にも自覚はないかもしれませんが)。

雪の質問に対する古代君の返答はある意味で的外れだったかもしれません。
しかし同時に、かりそめの人格である自分を全面的に愛してくれているという雪にとって一番望んでいる答えであったのでしょう。
だからこそ彼女は「私、とっくに幸せだよ」と古代君に伝えたのかもしれませんね。
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