考察・尾崎徹太郎

皆様、こんばんは!。
今回は「宇宙戦艦ヤマト2202‐愛の戦士たち‐」に登場したエンケラドゥス守備隊司令である尾崎徹太郎に焦点を当てて語ってみたいと思います。

この人物は、2202のキャラクター設定において「山南や安田とは宇宙防衛大学の同期生であり、腹蔵なく語り合える戦友」とされており、劇中では2回‐1回目は第17話でエンケラドゥス守備隊の司令官としてドレットノート級の旗艦で艦隊を指揮を執っており、2回目は第25話で金剛改型宇宙戦艦「わだつみ」に座乗し、ヤマトのクルーの救助活動に従事している‐登場しています。
しかし、これらのシーンには、キャラ設定や物語の展開を踏まえて考えると、3つの疑問が生じます。

まず第1に、何故、尾崎はアンドロメダ級戦艦に座乗していないのかという点です。
同期の山南や安田はアンドロメダ級戦艦の艦長に就任しているのに対し、尾崎の座乗艦はアンドロメダ級戦艦より性能のおちるドレッドノート級戦艦です。
この理由としては山南や安田と比べるとアンドロメダ級戦艦の艦長に就任するには能力不足であったという可能性もありますが、対ガトランティスの最前線であるエンケラドゥス守備隊司令を任され、山南率いる本隊到着まで戦線を維持していた尾崎が山南や安田と比べて能力不足であるという可能性は低いです。
本来ならば、同じアンドロメダ級であるアキレスやアンタレスの艦長に選ばれてもおかしくないはずなのですが、なぜそうならなかったのか。

第2の疑問は、エンケラドゥス戦後、乗艦をドレットノート級戦艦から金剛改型宇宙戦艦に変更している点です。
まあ乗艦であったドレットノート級戦艦はエンケラドゥス戦で大破していたので、残存艦隊の中から無事だった金剛改型宇宙戦艦の「わだつみ」に乗り換えたというだけかもしれませんが、考えてみるとこれおかしいです。
というのも、同様に乗艦であるアンドロメダが大破して撤退した山南は、時間断層で大破したアンドロメダを修復・強化改造し、「アンドロメダ改」で再び前線に戻っています。
山南より先に撤退した尾崎には山南よりも時間的余裕は当然あるわけですから、座乗艦であるドレッドノートを修復するなり、また量産化されたアンドロメダ級に乗り換えるなりしていてもおかしくありません。
なぜわざわざ、それらの選択肢ではなく、戦力的に落ちる金剛型宇宙戦艦に乗り換えたのか。
付け加えるならば、2202は艦隊司令と艦長職は兼任しているので、旗艦であったドレッドノートから無事だった「わだつみ」に乗り換えたとすると、本来の「わだつみ」はどこに消えたのか?ということも疑問になってきます。

そして最後に第3の疑問は、第25話で救助活動をしている点です。
ヤマトの総員退艦に応じて、救命艦仕様の村雨改型数隻を伴ってすぐに合流できたということは、最初から地球周辺でその手の活動に従事していた可能性が高いです。
ということは、彼はエンケラドゥス戦後は、火星防衛戦にも、地球圏での最終防衛戦にも実戦部隊の指揮官としては参加していないということになります。
勿論、救命艦隊自体は重要な存在であり、そのような部隊が編成されること自体はおかしなことではありませんが、エンケラドゥス守備隊の司令官に任命されるような一線級の指揮官が従事する任務ではありません。
にもかかわらず、なぜ尾崎は救命艦隊を率いていたのか。

これはあくまで私の勝手な想像になりますが、これらの理由として、尾崎は本来、極東管区艦隊の人間であり、統括司令部直属の「地球防衛艦隊」においては外様だったからではないでしょうか。

尾崎は極東管区艦隊所属?

以前、私は「なぜ山南は昇進しなかったのか?」という記事の中で、2202の地球防衛軍には

①「統合司令部」直属の常備軍として波動砲艦で編成された「地球防衛艦隊」
②各管区が有していた艦隊戦力を基幹戦力にした「管区艦隊」(仮称)

という2種類の実働部隊が存在しているのではないか、という仮説をたてました。

2202において地球防衛軍は「旧極東管区閥」の人材がポストをほぼ独占していたため分かりづらくなっていますが、例えるならば、日本人が最高司令官になった国連軍に日本の自衛隊が参加しているような状況であり、日本人が指揮官であるからと言って、自衛隊が国連軍と同一組織であるかと言われれば違うという答えになるでしょう。
実際、上記のケースにおいて自衛隊はあくまで国連軍に参加している部隊の1つに過ぎず、組織的には完全に別物です。

これと同様に、山南や安田といったアンドロメダ級戦艦の艦長達は①の「統合司令部」直属の「地球防衛艦隊」所属であったのに対し、尾崎は②の管区艦隊の1つである「極東管区艦隊」の所属の軍人であったことが、座乗艦や待遇の違いとして現れたのではないでしょうか?

このように考えると、上で挙げた3つの疑問も全て説明がつきます。

おそらく、エンケラドゥス守備隊をはじめとする前衛艦隊はすべて各「管区艦隊」基幹戦力とした艦隊であり、敵陽動部隊の迎撃と敵主力艦隊の索敵が彼らの任務だったのでしょう。
そして、敵主力艦隊が発見された時点で、後方で待機させていた主力艦隊というべき「地球防衛艦隊」を派遣して一気に敵主力を撃滅するというのが、この時点の地球防衛司令部の基本戦略だったのではないでしょうか。
前衛艦隊にパトロール艦が多数配備されていたのも、ガトランティスの主力艦隊を探していたとするならば納得できます。

ちなみにエンケラドゥス守備隊が新旧艦の混成部隊であったのは、ドレッドノート級やパトロール艦で編成した艦隊に旧式艦隊を配備したのではなく、旧式艦で編成されていた艦隊に、戦力の強化として波動砲艦が緊急配備されたのが理由と考えるのが自然です。
実際、第1話で登場した北米管区艦隊と極東管区艦隊の混成部隊と思われる特別混成艦隊は改金剛型宇宙戦艦や改ムラサメ型巡洋艦といった旧式艦艇を主力にしていました。
恐らく2202時点での管区艦隊の戦力はこのような編成がデフォルトだったのでしょう。

ただ、いくら波動エンジンを搭載して能力の底上げをしているからといって、これらの戦力だけではガトランティスの大艦隊を迎撃するのは流石に難しいと判断され、「地球防衛艦隊」が保有する艦艇のうち、ドレッドノート級戦艦やパトロール艦をこれらの前衛艦隊に急遽配備したのではないでしょうか?

この仮説が正しいとするならば、尾崎の元々の乗艦は金剛改型宇宙戦艦の「わだつみ」であった可能性が高いです。
つまり、当初、尾崎は「わだつみ」を旗艦としていたものの、そこに最新鋭のドレッドノート級戦艦が2隻配備されたことで、そのうちの1隻を自身の乗艦として、エンケラドゥス戦に臨んだのだと思われます

ちなみに尾崎がアンドロメダ級の艦長に選ばれなかったのは、彼が2202時点での極東艦艦隊の司令官的なポジションについており、アンドロメダ級戦艦の艦長職は降格人事になってしまうため(※管区艦隊司令官のポジションは、地球防衛艦隊司令官と同格であると考えられるため)、同期の中では唯一アンドロメダ級戦艦の艦長に就任させることが難しかったという事情が考えられます。
尾崎の軍服が山南や安田と違うのは、もしかしたら極東艦艦隊の司令官だからこそかもしれませんね。

尾崎が救命艦隊を率いていた理由

また、尾崎が極東艦艦隊の司令官であるとするならば、エンケラドゥス戦後、彼が救命艦隊を率いていた事にも理由がつきます。
これも恐らくになりますが、白色彗星帝国主力艦隊の接触後、敵主力艦隊及び白色彗星本体の撃滅は、統合司令部」直属の「地球防衛艦隊」の管轄になり、管区艦隊は「索敵」や「救命」といった支援任務に回されたのではないでしょうか?
これは理由が2つあり、1つは波動砲艦はなるべく司令部直属の「地球防衛艦隊」のみで運用したかったこと、そしてもう一つは、対白色彗星戦で管区艦隊が活躍してしまうことで、他管区の発言力が増すことを嫌がったからではないかと思われます。
特に後者は、統一政府である「地球連邦」はまだ出来たばかりある事を考えると、発言力の増加で内部分裂を招きかねない管区艦隊の活躍は【戦後】を見据えるならば、一番避けたい事態です。
そのため、対白色彗星戦は地球連邦直属の「地球防衛艦隊」のみで片付けることにし、管区艦隊は活躍できない裏方任務に回されたとしても不思議ではありません。
そのため、尾崎の極東艦艦隊もエンケラドゥス戦後は、火星防衛戦や最終防衛戦に参加することなく、支援部隊として救命任務に当たっていたのではないでしょうか?(ちなみにこの際、尾崎は旗艦を乗艦を元々の乗艦である「わだつみ」に戻したと思われます)

以上、尾崎徹太郎についてまとめるならば、

2202時点、極東管区艦隊の司令官であり、金剛型宇宙戦艦「わだつみ」に乗艦していた。
ガトランティス戦役では、極東管区艦隊を率いて戦役に参加、戦力の増強を受けたうえで、前衛としてエンケラドゥス守備の任務に就く。
またその際、旗艦を「わだつみ」から配備されたドレッドノート級戦艦に移す。
エンケラドゥス戦後は旗艦を大破したドレッドノート級戦艦から再び「わだつみ」に移し、救命艦隊として支援任務に就く。

ということになると思われます。

まあ、あくまでも劇中描写から私が勝手に妄想した設定になりますが、次回作3199では派閥間の対立が深くストーリーに関わってくるみたいなので、2202でこのような裏設定があっても良いのではないかと思います。

コメント

  1. 航宙特務隊 より:

    こんにちは! 航宙特務隊です!
    記事読ませていただきました! まったくと言っていいほど同感です!
    もし今回の記事の通りなら3199でも尾崎さんは極東管区艦隊の司令官ですが、あそこにはよく反乱起こす厄介な船がありますからね… 頭痛そう… なんとなくですが3199でのヤマト艦長尾崎さんのような気がしてきました。風貌はオリジナル山南さんに似てますし、ヤマトクルーとの絡みを何とかすればできそうな…
    ところでこのコメントを書いている途中で気になったのですが2202以降のヤマトって「地球防衛艦隊」と「極東管区艦隊」どちらに所属してるんでしょうか? 2199では極東管区艦として登場してましたが2202以降は明確な言及がないので気になります。 

    • yamasiro2202 より:

      航宙特務隊様、コメントをありがとうございます。
      2202時点でのヤマトの扱いについては個人的な仮説がありますので、いずれ記事にしたいと思っております。
      2202は説明不足というのは否定できませんが、その分、ファンがあれこれ考察する余地が多いので、その意味では非常に楽しめる作品ですね。

  2. ヴェネター級ヒューベリオン より:

    成程、地球の軍制は言うなればアメリカの連邦軍と州兵、或いはドイツ帝国の帝国軍と領邦軍に似たシステムな訳ですね。

    となると3199で起こるとされる極東管区主導の地球に対する反乱は、極東管区閥に敵対的な管区が保有する管区軍が主体となって行われるでしょうね。

    • yamasiro2202 より:

      ヴェネター級ヒューベリオン様、地球連邦(おぼび地球防衛艦隊)自体ガミラス戦争後、2年程度の短期間で成立していますので、ある程度は既存の制度は残さざるをなかったと思います。
      もちろんいずれは完全な統一政体を目指していいたかもしれませんが、やはり主権国家や宗教、民族といった感覚はなかなかな消えないでしょうし、少なくとも100年単位の時間はかかりそうですね。