地球連邦についての考察②

皆様今晩は。
今回の更新では昨日に引き続き、地球連邦について考察の続きを書きたいと思います。

最終話において真田さんと藤堂艦長の艦長の会話の中で、「戦役後、政界の勢力図が変わった」との趣旨の発言がありました。
しかし、大統領は特に交代しておらず、また藤堂や芹沢が連邦政府内で相変わらず強い発言力を持つなど表面的には特に戦役前の連邦政府と特に変わることはありません。
また仮に連邦議会というものが存在していたとしてもあのような大戦争が終結した半年後に選挙が行われるとも思われません(またその余裕も無い)ので、選挙によって議員が入れ替わり、勢力図が変わったということもないと思われます。
それでは、真田さんが言っていた「政界の勢力図の変化」とは一体なんなのか。

結論から言ってしまえば、対ガトランティスという目的で挙国一致だった体制が戦役の終結とともに崩れ、派閥間抗争が始まったものと思われます。
そしてその原因は主に二つの点に集約されたものと考えられます。

軍縮派の台頭

一つは軍縮派の台頭であると思われます。
はっきり言えば、ガミラス戦役終結後からガトランティス戦役における地球は民間よりも軍事を優先した軍事拡張路線をとっており、戦役の後半ではすべてのリソースを波動砲艦隊につぎ込む相当無茶なことをしていました。
ガトランティスとの戦いの経緯を考えればこれは仕方が無いことでしたが、しかし結果として、軍部の発言力の増大と地球の国力を遥かに超える大艦隊が残ってしまった(戦役終結後もかなりの数の波動砲艦が建造されていました)事実は否定できません。
政治家たちにとってみれば、これは財政の破綻と軍事政権の誕生と言う二重の危険性をはらむ事態です。
戦役が終了し、ガトランティスという当面の敵が完全に消滅した以上、財政の健在化と軍事政権の芽を摘む意味で早急に軍縮を行うべきと言う主張が政界の主流になっても少しも不思議はありません。

最終話において芹沢さんが首都の夜景を例にあげて時間断層の継続を訴えていましたが、実はこれは驚くべき変化です。
2202において彼が最も重視していたのは軍事力の増強であり、時間断層の大工場はそれを第一として利用されていました。
本来であるならばガトランティス戦役における波動砲艦隊の功績をあげ、引き続き軍事力の強化を訴えるのが筋と言うものです。
しかし最終話で彼が最初に取り上げたのは時間断層が生み出す豊かさです。
これは軍拡路線はもはや支持を得られない状況になっていると言うことであり、軍事重視から民間重視という潮流の変化を感じさせます。

反極東管区閥勢力の結成

そしてもう一つは旧極東管区閥とそれ以外の管区閥の対立が起きているのではないかと思われます。
これについては想像の域を出ませんが、むしろ起きないのが不思議と言ってもよいです。
というのも、ガミラス戦役終結後からガトランティス戦役が始まるまでの3年間は、旧極東管区閥が一人勝ちの状況が続いています。
まず、地球連邦の首都は日本に置かれ、さらに地球防衛艦隊の2トップも極東管区閥の高官(藤堂と芹沢)が就任しています。
これは先のガミラス戦役において極東管区が果たした役割が絶大だったことと、戦後、時間断層が発見されたことにより政府機能及び軍備の再建には最も適した場所であったという事情が大きいと思われます。
しかしアメリカやロシア、EUなどかつて国連の常任理事国として世界を主導していた他の管区閥からすればこれは明らかに面白くない状況です。
ガトランティスという強大な敵を前にしている間はそのような不満も鳴りを潜めていたと思われますが、戦役が終結した以上、連邦政府における主導権を取り合う管区閥間の政争が起きている可能性は十分に高いです。

軍縮派の台頭はともかく、管区閥間の政争は人間のおろかさを象徴しています。
しかしこれらのことは最終回における古代と雪の救出にはプラスに働いたと考えられます。
何故なら、軍縮派の台頭によって従来の軍拡路線に待ったをかけ、その象徴ともいえる時間断層に対して世論は初から厳しい目を持つことになったと思われます(ゆえに芹沢さんもソフト路線に移行しなければならなかったと思われます)。
また、極東管区閥のこれ以上の台頭を許さないであろう他の管区閥は極東管区閥の力の源泉であった(と思われていた)時間断層潰しに全力を挙げたと思われます。

真田さんは国民投票の結果についてはかなり悲観的な見解を持っていたようですが、客観的には、世論としても政治力学から見ても、実は時間断層存続派の方が厳しい立場に追い込まれており、国民投票というものに持ち込まれた時点で、ほぼ存続派の負けは確定してしまったと思われます。

古代君はテレサ空間で理想が決して現実しないという厳しい現実に絶望を感じていましたが、そんな古代君と恋人の雪をテレサ空間から連れ戻すことになったのも、理想だけではなくシビアな現実的選択だったというのはある意味皮肉ではないでしょうか。

コメント

  1. ぺんぺん草 より:

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    反極東管区閥の横暴や保身の為に命を棄て地球を守った人々を貶める政治家に怒りを覚えた古代進は、地球軍の最高指令長官に就任(50歳)、二度目の国民投票の後、地球連邦大統領に就任(60歳)して、軍と政治の頂点に立ちます(過去、地球人の大多数が時間断層より彼を選びました)

    その後、デスラー先生の教えと支援を受けて、軍事政権から地球帝国を興します
    更に、ブローネ様の様に遺伝子操作で長生きします

    24世紀の未来、銀河帝国のコダイ大帝は、過去からタイムワープアウトして時を遡ってきたヤマトの彼自身に撃ち倒されます

    ぺんぺん草の妄想する、ガトランティス戦役の戦後処理の不手際から始まる、未来と平行世界をも巻き込むヤマトの永遠なお話です

  2. 山城2199 より:

    SECRET: 0
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    ぺんぺん草様、コメントありがとうございます!

    地球のために雪を失ったと言う前提ならありそうな展開です。
    以前から結構思っているのですが、古代と大帝って結構似たもの同士なんですよね。
    歯止めのサーベラーを失って大帝がああなったように、雪を失った古代ならこんな感じで独裁者になるかもしれません。

  3. 行き過ぎる風 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    例えばこんな空想妄想は・・・?

    ヤマト帰還後の地球市民は滅亡一歩手前だった恐怖から
    まず地球の安全保障強化をともかく強く求めていた。
    その結果が外交面でのガミラスとの同盟であり、
    時間断層の発見も相俟っての波動砲艦隊構想だった。

    その一方で恒星間航行が可能になった事を
    活かした外宇宙進出により、地球人類の文明圏を
    拡大することで人類滅亡のリスクを減らそうと
    主張する人たちも居たのだが広い支持を得られなかった。
    (某マ■ロスみたいだけど(笑)、真田さんも実は
    進出推進派で、波動実験艦の設計もその目的で
    関与していたとか・・・?)

    ガトランティスとの戦役で再度滅亡の恐怖を
    味わった地球市民はさすがに防衛力にのみ頼る
    限界を認め、宇宙進出推進に世論が一挙に傾き、
    政府の方針が変わったのではないでしょうか。

    ガミラスの移住先探査に全面的に協力する建て前に、
    時間断層で作り過ぎた艦船の有用な使い道にもなる
    という一挙両得な政策変更にもなるのでしょう。

  4. 山城2199 より:

    SECRET: 0
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    行き過ぎる風様、面白い考察ありがとうございます!
    真田さんは拡大派ではないが、科学者としてもっと宇宙を深く知りたいとは思っていたと思います。
    元々銀河も宇宙探査用の舟だったらしいですし(だからこそ研究施設の塊になっていたのだと思われます)

    > ガミラスの移住先探査に全面的に協力する建て前に、
    > 時間断層で作り過ぎた艦船の有用な使い道にもなる
    > という一挙両得な政策変更にもなるのでしょう。

    このあたりは実際に続編(があるとしたら)の展開に使われそうでうですよね。
    やはりガトランティス戦役で地球はガミラスに大いに助けてもらいましたから、移住先の探索に協力することになりそうですし。