皆様今晩は。
今回から2回にわたって地球連邦について考察してみたいと思います。
当初は最終回で描かれた国民選挙の影であったであろう権力闘争について書こうと思っていたのですが、その前提として地球連邦について考えてみた時にこの組織の全容がほとんど判明していないということに気がつきました。
そこで、2202で描かれた数少ない描写から地球統一政府が一体どのような組織なのか考察してみたいと思います。
地球統一政府の政治形態について
地球連邦はガミラス戦役後、事実上壊滅状態であった国連を解体し、統一政府として再編されました。
首都は旧極東管区であった日本に置かれ、大統領が元首として定められています。
以上の事実は設定として判明していることです。
国連を再編するのではなく、新たに統一政府が成立した理由としては、やはりガミラス戦役の経験から、従来の主権国家を維持していては国家間の利害などで挙国一致で宇宙の問題に対応できないという切迫した事情があったと思われます。
また、2199の時点ですでに管区制度が敷かれ緩やかな統合が行われていたこと、さらにガミラス戦役でアメリカや中国、ロシアといったいわゆる常任理事国の国力と権威が完全に消失したこと(=国家間の力関係が消えた)ことも統一政府の誕生を促したのではないかと思われます。
ただし、3年間で完全な新秩序を作ることなど不可能ですので、地球連邦の実態はアメリカ合衆国のような連邦政府と州政府の2重構造になっていると考えられます。
つまり、2199で登場した旧管区の政府機能はそのまま維持され、各州政府(例えばアメリカ州政府やロシア州政府と言う呼び方になったのではいか)として担当区域の行政及び治安維持を担当し、各州政府間の調整や宇宙問題(ガミラスとの外交など)といった限られた分野においてのみ、各州政府の上位組織として設置された連邦政府に全権が委ねられていたのではないでしょうか。
こう考えると2202において連邦政府の高官として登場したのは大統領と地球防衛司令部のと2トップである藤堂・芹沢の3人しかおらず、各種大臣といった高官の姿が確認できなかったのも納得できます。
恐らく連邦政府には外交と軍事以外の部門は存在していないのでしょう。
そしてそれらの部門を一手に担当しているのが、地球防衛軍であり(外交部門が別個に設置されなかったのは、外交の相手が軍事政権色が強いガミラスであることが原因であると思われます)、外交部門の責任者が藤堂、軍事部門の責任者が芹沢であったのではいかと思われます。
ちなみに藤堂は統括司令長官として防衛軍の軍政全般を担当しており、ガミラスの外交はその業務の一つに過ぎなかったと思われます。また、本来ならば文官の藤堂は防衛大臣のような肩書きになり、軍令全般を担当している芹沢が統括司令長官の肩書きを持つべきだと思われますが、こうしてしまうと制度としてあまりに防衛軍の独立性が強くなりすぎてしまうので(芹沢に問題があるのではなく、制度として実権を持つ軍人が組織のトップになってしまう)、統括司令長官職を事実上の国防大臣職とし、文民統制を図ったものと思われます。
連邦大統領の職務とは
こうしてみると、各種の行政は各州政府、地球の国防及び外交は防衛軍が担当していることになり、連邦大統領の仕事はあまりないように思われます。
実際にあまり無いのでしょう。
彼の主な仕事は地球の代表として地球の方針を決定することと、各州政府との調整や交渉だと思われます。
言ってしまえば国連事務総長に国連安保理事会の権限が一任されてもの程度(これはこれですごい権力ですが)なのでしょう。
劇中内で大統領は電話一本でヤマトの反乱を合法化してしまいかなりの権力を持っているように思われましたが、こうして考えると、彼の権力はごく限られた分野でしか存在せず、ヤマトの反乱の合法化は、言ってしまえば「政治家の圧力で不祥事をもみ消した」程度のものだったのではないでしょうか。
以上のことをまとめると
地球連邦政府の実態は
①連邦政府と州政府の二重構造
②連邦政府の権限は外交と国防のみ
③大統領の権力は限定的
というものであると思われます。
こうして見ると、この地球連邦は大統領の権限以外はアメリカ合衆国の制度をかなり参考にしたのではないかと思われます。
続きます。
コメント
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大きな戦いが、尊い犠牲により終わった後、平和な世界を遣り繰りしていくのは、生き残った"二流"だからです
そして、彼らの戦後処理の不手際が、平和な世界に新たな混乱をもたらします、Gの世界の様に
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ゆる~~~い国家の連邦というならEUのほうが近いかもしれませんね。一応EUにも大統領もいますし(どんな権限、というよりそもそも権限があるのかも知りませんが)
あの大統領は、ガミラスにも毅然とした態度を示していましたから、OUTにも載っていたとおり決してお飾りではないですが。
これは私の完全な妄想ですが、地球連邦は地球防衛軍より後にできたのではないでしょうか?
ヤマト乗組員に文民統制を軽視するような言動が見られたのはそのせいじゃないかと妄想しています。(まあ、これは福井さんの思想なのかもしれませんが)
2202では地球、ガミラスそしてガトランティス(政治という概念があるならですが)もどのような政治体制なのか全くといっていいほど言及が無いので我等としては、妄想するしかないわけです。
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個人的に地球連邦軍の英語表記がUNCFそのままなのが気になるところ。(EFSFだと某宇宙世紀と丸被り、という理由でしょうけど…。)
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ぺんぺん草様、コメントをありがとうございます。
> 大きな戦いが、尊い犠牲により終わった後、平和な世界を遣り繰りしていくのは、生き残った"二流"だからです
> そして、彼らの戦後処理の不手際が、平和な世界に新たな混乱をもたらします、Gの世界の様に
こうして考えると未来を垣間見てしまった古代君が絶望してしまうのも分からないわけではありませんね(苦笑)
きっと彼は「本当に何も変わらない」未来しか見ることが出来なかったのでしょう。
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yoshirinn様、コメントをありがとうございます
> ゆる~~~い国家の連邦というならEUのほうが近いかもしれませんね。一応EUにも大統領もいますし(どんな権限、というよりそもそも権限があるのかも知りませんが)
> あの大統領は、ガミラスにも毅然とした態度を示していましたから、OUTにも載っていたとおり決してお飾りではないですが。
なるほど言われてみればアメリカよりもEUに近いですね。
ご指摘ありがとうございます。
ただEU大統領・・・いましたね、そんな人(苦笑)
はっきりいって影が薄すぎて、今のEU大統領は誰?と聞かれても困るレベルです。
流石に地球連邦の大統領はガミラスと外交をしないといけないのでもう少し権威と権力があるのだと思っています
> これは私の完全な妄想ですが、地球連邦は地球防衛軍より後にできたのではないでしょうか?
> ヤマト乗組員に文民統制を軽視するような言動が見られたのはそのせいじゃないかと妄想しています。
軽視と言うよりも2199の世界では文民統制という認識そのものが希薄なのだと思います。
なにしろあの世界では内惑星戦争、ガミラス戦役、ガトランティス戦戦役とかなりの大きな戦争が立て続けに起こっており、古代たちの世代はほぼ戦時統制下で軍人の発言力が大きい社会しか知らないはずです。
そのような世代の者たちが「文民統制」の外見が希薄なのはある意味で仕方が無いことかもしれません。
>
> 2202では地球、ガミラスそしてガトランティス(政治という概念があるならですが)もどのような政治体制なのか全くといっていいほど言及が無いので我等としては、妄想するしかないわけです。
2199ではガミラス政権の組織図はしっかりと設定されていたのですがね。
本編内で使う使わないは別にしても設定としてはきちんと用意してほしかった気がします。
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コメントをありがとうございます!
> 個人的に地球連邦軍の英語表記がUNCFそのままなのが気になるところ。(EFSFだと某宇宙世紀と丸被り、という理由でしょうけど…。)
やはりご指摘の通りそれは某宇宙世紀対策でしょうね。
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現時点でヤマト世界の地球連邦と一番近い体制を取ってる実在の国家は、ロシアだと思います。
ロシアはフランスを基にした半大統領制を布きで大統領と首相がいます。
首相は内政にのみ責任を負い、軍事と外交並びに関係する諜報などの部署は大統領が従えます。
かなり地球連邦と似てると思います。
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ヴェネター級ヒューベリオン様、コメントをありがとうございます。
これは改めて記事にしようと思っているのですが、実は地球連邦政府自体は対外政策での窓という程度で、内においてはあまり権限を持っていないのではないかとにらんでいます。
そのことがアリゾナやビスマルクといった艦が誕生する遠因になるのではないでしょうか?