皆様こんばんは。
今回は、1月10日にアップした「メ号作戦は何故行われたのか」のコメント欄に面白い疑問が寄せられていましたので、それについて検証してみたいと思います。
その疑問とは以下のようなものです(以下抜粋)
「2202において金剛改型の戦艦が生産され続けていることも理解しにくいところです。D級をヤマトの量産型としてコストを下げて生産を始めた段階で切り替えるのが合理的であるはずです。製造済み艦が登場していただけなら分からなくもないですが、もしかしたら、下階級士官に乗船させるための位置付けだったのかもと思わなくもないですが。」
まず結論から言ってしまえば、波動砲搭載型のコンゴウ級やムラサメ級は「波動砲艦隊計画」が実現するまでのつなぎとして生産されており、エンケラドゥス防衛艦隊に配備されたのは恐らく波動砲艦隊計画が始まる前の2200~2201年の間に生産された艦艇であると思われます。
ガミラス戦役後の地球軍再建計画について
ガミラス戦役後、国連宇宙軍を再編した地球連合艦隊の再建が地球において大きな課題であったことは間違いありません。
そして再建計画はヤマトから帰還した2200年から時間断層の全貌が判明した2201年前半のものと、時間断層内の大工場の運用が始まった2201年後半から2202年にかけてのものとで大きく目的と内容が変貌したものと思われます。
【再建計画第1期(2200~2201年)】
まず第1期の計画ではとにかく失われた戦力の回復を目的としており、時間のかかる新設計の新造艦よりも、量産性の優れた「改コンゴウ」「改ムラサメ」の量産が優先されたと思われます。
もちろん、「波動エンジン」の搭載という暫定的な改造は行われることになりましたが、これは日露戦争から第一次前までの軍艦で行われた「石炭エンジン」から「石油エンジン」に変更するレベルの簡単な改造であり、機関さえ入れ替えてしまえば済むので大幅な設計の変更は不要であったと思われます(もともとコンゴウ型やムラサメ型は機関部に余裕があり、エンジンの入れ替えも簡単だったという事情があったのかもしれません)。
また両艦とも波動エンジンによって攻撃力や防御力を上げれば十分ガミラス艦に匹敵する艦であっため(改造前でも戦術によってはそれなりに戦えたので、この判断は間違ってはいないと思われます)、当面の戦力としては十分と判断されても不思議はありません。
そして何よりも、この時点での新造艦開発・建造は問題が多すぎました。
まず第1に、2202第一話に登場した改コンゴウ型や改ムラサメ型は外国の艦名もあったことからこれらの建造は世界中のドックで行われていたことがわかります(恐らく各地下都市内にあったものと思われます)。
しかしこれらのドックは当然ながらガミラス戦役前に用意されていたもので、最大の艦としてはコンゴウ型を想定していたものであったはずです。
その為コンゴウ型以上の艦を作るためには明らかにドックの規模が不足しており、ヤマトクラスの艦を作るならばまずはドックから作らなければならなかったと思われます。
そして第2に、新造艦開発・建造の難しさです。
例えば戦艦大和の開発は昭和12年から始まりましたが設計図が完成するまで約1年、そこから建造が始まり完成までさらに4年かかりました。
未来の話であるので多少は時間短縮もあるでしょうが、少なくとも1番艦の完成は少なくとも数年単位の時間が必要であることは間違いありません。
以上のように新造艦の完成にはドックの建造+新造艦にかかる時間を考慮しなければならなかったため、とにかく短期間で戦力を回復したかった当時の地球にとっては選べない選択肢であったと思われます。
その為、2200年からの1年半はひたすら「改コンゴウ型」と「改ムラサメ型」の建造が行われ、2202年時点では相当な数の艦が就役していたのだと思われます。

【再建計画第2期(2201~2202年)】
ところがこの建造計画に待ったをかける要因が生じました。
それが時間断層の全貌判明だと思われます。
この時間断層自体は地球再生が終わった直後に確認されていたようですが、キーマンの弁によれば全貌判明に10年かかったとのことですので、地球がその全容を把握したのは2201年であることは間違いないでしょう。
そしてこの時間断層を使用すれば巨大なドックや新型大型戦艦の開発・建造も短期間でできると判断しされ、「波動砲艦隊計画」が立案されることになったのではいでしょうか。
土方の反対と更迭、大型工場の建造、新造艦の設計などで多少の時間はかかったものの、2201年後半には「波動砲艦隊計画」が実際に始動し、A型およびD型の建造が始まったのは間違いないと思われます。
またこの時点において改コンゴウ型および改ムラサメ型の建造は打ち切られれ、時間断層の存在を隠す意味で、名目上は軍備再建ではなく民間再建が優先されることになったものと思われます(2202年においてようやく都市の復興が進んでいる描写があること、電力制限解除などが行われたのもこれが理由ではないでしょうか)。

ところで1話でアンドロメダを見たとき古代は「アンドロメダ、もう完成していたのか」と言っていたことから、アンドロメダの建造が行われていたこと自体は知っていたようです。
ただ通常の建造のように数年かかるものと判断していたものと思われます。
改コンゴウ型と改ムラサメ型の新たな任務
恐らく上で書いたように改コンゴウ型や改ムラサメ型の新造自体は波動砲艦隊計画が始まった時点で打ち切られていたと思われますが、それでも波動砲感が一定数揃う見通しが立つまでは一線級戦力として扱われたと思われます。
しかし2202年に起きた「浮遊大陸奪還作戦」の時点では、その見通しも立ったため、もう不要な使い潰してもよい戦力として全戦力が投入されたものと思われます。
しかしガミラス艦隊の後方に配置していたことが幸いし、かなりの数が生き残ったため、これらの艦は数合わせの戦力として2級戦部隊に配備され、本隊の山南艦隊が到着するまでの時間稼ぎに使われたのではないかと思われます。
事実、これらの改コンゴウ型や改ムラサメ型が配備されていたのは、エンケラドゥス防衛艦隊などの警戒艦隊のみであり、後方の本隊には一隻も配備されていませんでした。
後継艦が十分な数あるのだから警戒艦隊に旧式艦を配備する必要はないとの考えもあるかもしれませんが、ガトランティスの戦力を考えた場合、1隻でも多くの戦力が欲しかったこと、新鋭艦は極力本体に集中配備したいとの意思があったためと思われます。
もし外伝が作られるならばこれらの捨て石にされた旧式艦の奮戦ぶりを見てみたいものですね。


コメント
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山城2199様にはここまでまとめていただき、ありがとうございました。
やはり、ガミラス戦の反省に立ち、地球は少なくとも波動エンジンによる航行能力+攻撃力を備えた軍拡の道を選択せざるを得ず、しかも時間断層がない中での早急な再整備には既存のスペックを使うのが早道と考えるのが妥当ですよね。
本当にありがとうございました。
あえて私の中で巡らせていることを申し上げると、さすがに地球も、白色彗星の侵攻に出くわさなければあそこまで時間断層をフル稼働させてA級D級を建造しなかったかもしれない。
人口減少の憂き目にあった中では、まず最小限の人的投入下で最大の効果を得ようとする発想も不可欠で、その手段として、波動砲に拡散させる方式を採用することで目的は達成可能だとするのも自然な流れで、また不可欠だったと考えられるためです。
しかしながら白色彗星帝国の侵攻で急遽大増産に舵を切ったというところではないかと。
ここで時間軸的に、戦闘力のUPや人口減少下での再軍備において、ヤマトや金剛型改に波動砲を搭載したのなら、なぜ拡散方式兼用としなかったのか、ということもあるんですが、これは、おそらく発想としてはあったが導入には間に合わず、A級D級の設計・製造と同時期になってしまったのではと考えています。一方で、拡散させても一条あたりのエネルギーは細く小さくなるわけではないようですので、これなら収束型は淘汰されても良さそうですが、せっかくなので残した。・・・これはご愛嬌ですが。こんな風に考えています。拙文付け加えて失礼しました。
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改コンゴウ型は巡洋艦、改ムラサメ型は駆逐艦代わりに建造されているのではないでしょうか?今のところパトロール艦は登場していますが、巡洋艦と駆逐艦は登場していないわけですし、すでに量産態勢を整えている旧式艦が代用できるだけの性能を持っているのなら、引き続き建造を続けることが合理的です。
また、地球防衛軍首脳は波動砲決戦思想に固執しているので、補助艦艇の新型を新規に建造することを放棄したのかも知れません(なぜパトロール艦は建造したのかは謎ですが)。
2202の土星沖会戦は単調で特に見せ場も無かったので、個人的には多数の新型駆逐艦がガトランティス艦隊に一斉に魚雷を発射しヒットアンドウェイ戦法を仕掛ける様なシーンを見たかったですが。
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戦後すぐで丸裸の地球がとにかく物になる戦闘艦が欲しい、となるのは自然ですね。
改造に改造を重ね、ガトランティス残党相手に奮闘する姿は確かに見てみたいです。
後、村雨型や磯風型は対ガミラス戦役中に、第一艦隊に資材を回す為に建造途中で放棄されたり、修理されずに放置されていた艦が戦後再就役した…なんて艦もあるのでは?と考えております。
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kazu様、コメントありがとうございます。
いえいえこちらも楽しく考察させていただきました♪
>
> あえて私の中で巡らせていることを申し上げると、さすがに地球も、白色彗星の侵攻に出くわさなければあそこまで時間断層をフル稼働させてA級D級を建造しなかったかもしれない。
> 人口減少の憂き目にあった中では、まず最小限の人的投入下で最大の効果を得ようとする発想も不可欠で、その手段として、波動砲に拡散させる方式を採用することで目的は達成可能だとするのも自然な流れで、また不可欠だったと考えられるためです。
> しかしながら白色彗星帝国の侵攻で急遽大増産に舵を切ったというところではないかと。
そうなんですよね
実際、拡散波動砲は少数の艦で大軍と戦う兵器ですから、あれほど波動砲搭載艦を増産するのは兵器の運用構想上明らかに間違っています。
恐らくは11番惑星での大戦艦の数を見て半ばパニック状態で民間復興に必要な物資を全部艦隊増産に回したのではないかと思っています。
・・・うん、これは仮に勝ったとしても地球は経済的に詰んでいますね(苦笑)
> ここで時間軸的に、戦闘力のUPや人口減少下での再軍備において、ヤマトや金剛型改に波動砲を搭載したのなら、なぜ拡散方式兼用としなかったのか、ということもあるんですが、これは、おそらく発想としてはあったが導入には間に合わず、A級D級の設計・製造と同時期になってしまったのではと考えています。一方で、拡散させても一条あたりのエネルギーは細く小さくなるわけではないようですので、これなら収束型は淘汰されても良さそうですが、せっかくなので残した。・・・これはご愛嬌ですが。こんな風に考えています。拙文付け加えて失礼しました。
改コンゴウ型および改ムラサメ型には波動砲が搭載されていないそうです(艦首砲は波動コアで威力が増大しているだけで従来の収束砲らしいです)
実際、アンドロメダが浮遊大陸で拡散波動砲を使ったのが初の実戦投入だったらしいので、恐らく拡散波動砲は波動砲艦隊構想の一環で開発された新兵器だったのではないかと思います。
あとヤマトに拡散波動砲を搭載するには艦首部分の作り替えが必要であり、現役復帰に時間がかかりそうなので取りやめになったのではないかと個人的には思ってます。
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yoshirinn様、コメントをありがとうございます。
> 改コンゴウ型は巡洋艦、改ムラサメ型は駆逐艦代わりに建造されているのではないでしょうか?今のところパトロール艦は登場していますが、巡洋艦と駆逐艦は登場していないわけですし、すでに量産態勢を整えている旧式艦が代用できるだけの性能を持っているのなら、引き続き建造を続けることが合理的です。
波動砲搭載艦登場以後の両艦の扱いはそんな感じであったと思います。
> また、地球防衛軍首脳は波動砲決戦思想に固執しているので、補助艦艇の新型を新規に建造することを放棄したのかも知れません(なぜパトロール艦は建造したのかは謎ですが)。
> 2202の土星沖会戦は単調で特に見せ場も無かったので、個人的には多数の新型駆逐艦がガトランティス艦隊に一斉に魚雷を発射しヒットアンドウェイ戦法を仕掛ける様なシーンを見たかったですが。
パトロール艦や護衛艦は11番惑星など辺境に駐留させる警備艦隊目的で建造されたものではないかと思います。
これらの艦隊は機動力と航続力重視で火力はそれなりにあればよいという目的で編成されていたのではないか。
小説版によれば警備艦隊はすでにいくつか編成されていて各基地に配備されていたらしいので(11番惑星の艦隊は丁度偵察任務で出撃中だったらしいです)、ガトランティスの侵攻にあたってこれらの警備艦隊も再編成されて各前線の艦隊に再配備されていたのではないかと思います。
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コメントありがとうございます。
> 戦後すぐで丸裸の地球がとにかく物になる戦闘艦が欲しい、となるのは自然ですね。
> 改造に改造を重ね、ガトランティス残党相手に奮闘する姿は確かに見てみたいです。
残党ではなく、地球侵攻の前段階に行われた威力偵察戦でもいいと思います。
個人的には古代の乗艦だった「ゆうなぎ」を主役にした作品とかいいと思います(笑)
反乱に参加できなかったヤマトクルーが乗り込んでおり、「ヤマトが帰るまで」と必死で奮戦し、最後はヤマトの地球圏帰還の報告を受けた直後に安心したように爆沈した感じで・・・
>
> 後、村雨型や磯風型は対ガミラス戦役中に、第一艦隊に資材を回す為に建造途中で放棄されたり、修理されずに放置されていた艦が戦後再就役した…なんて艦もあるのでは?と考えております。
当然それはあったと思います。
アメリカ管区とかEU管区の地下ドックにはそんな感じの艦が大量にあったかもしれませんね
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山城2199様
またもや土星沖会戦を引っ張り出してしまいますが、護衛艦と並んで金剛改型がぶっ放しているのはどう見ても収束波動砲ではないでしょうか?ネットを見てると、魔改造された金剛改二型というフレーズも見られます。第1話の古代が乗艦していたのは、スタンダードな陽電子衝撃砲タイプだったかもしれないんですが。
土星沖会戦のシーンは、発射寸前の砲口の描写、あれは波動砲のものとしか思えません。
作り手に委ねるしかないんでしょうか。笑
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kazu様
> 山城2199様
> またもや土星沖会戦を引っ張り出してしまいますが、護衛艦と並んで金剛改型がぶっ放しているのはどう見ても収束波動砲ではないでしょうか?ネットを見てると、魔改造された金剛改二型というフレーズも見られます。第1話の古代が乗艦していたのは、スタンダードな陽電子衝撃砲タイプだったかもしれないんですが。
> 土星沖会戦のシーンは、発射寸前の砲口の描写、あれは波動砲のものとしか思えません。
実際確認してみました。
はい、確かにあれは色から言っても波動砲ですね(笑)
まあ波動エンジンは搭載済みなわけですから、ネットで指摘されているように撃てるように改造したのかもしれません。
浮遊大陸攻略戦までは改コンゴウ型や改ムラサメ型はイスカンダルとの条約順守型タイプとして波動砲未搭載だったものの(この辺は土方さんが頑張った成果?かもしれません)、その後波動砲艦隊計画の登場で遠慮する必要がなくなり、搭載タイプに改造したのかもしれませんね
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エンケラドゥス沖会戦?で、なんで地球艦隊は密集隊形で戦っているんだ?拡散波動砲艦を前面に押し出して、ガトランティスを分断・混乱に陥れるべきではと思ったのですが、想像以上に拡散波動砲搭載艦がなかったんですね・・・
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あ様、コメントをありがとうございます。
> エンケラドゥス沖会戦?で、なんで地球艦隊は密集隊形で戦っているんだ?拡散波動砲艦を前面に押し出して、ガトランティスを分断・混乱に陥れるべきではと思ったのですが、想像以上に拡散波動砲搭載艦がなかったんですね・・・
正直なところ、エンケラドゥスでの前哨戦から土星沖海戦は戦略・戦術の観点で見たらあまりにも「バカすぎる」戦いなんですよね・・(汗)
あ様のご指摘もさることながら、十字砲火に晒されているにもかかわらず前進を続けるエンケラドゥス守備艦隊は「バカじゃないの?」の一言でした・・・
そもそもあの艦隊の目的は本隊が来るまでの時間稼ぎなのですから守備を固めて被害を最小限度に抑えておく戦いをしなければならない状況だと思うのですがね。
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こんばんは
土星沖でのエンケラドゥス守備隊の戦いぶりについては、私も、あれ??と思ったことが。
旗艦であろうD級がいます。多分、唯一の拡散波動砲搭載艦なのに何もしない。相手は物量を過信した正面突破で攻めて来てるので、効率的に粉砕できるのに。
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kazu様、今晩は。
コメントありがとうございます。
> こんばんは
> 土星沖でのエンケラドゥス守備隊の戦いぶりについては、私も、あれ??と思ったことが。
> 旗艦であろうD級がいます。多分、唯一の拡散波動砲搭載艦なのに何もしない。相手は物量を過信した正面突破で攻めて来てるので、効率的に粉砕できるのに。
あるいは指揮官である尾崎艦長が敵を見れば突撃を敢行する良く言えば「猛将」、悪く言えば「脳筋」タイプだったのかもしれません(汗)
考えてみれば同期はアンドロメダ級の艦長をやっているのに、彼だけD級戦艦で辺境の守備艦隊勤務・・・指揮官としては優秀とはいいがたいと中央から評価されていたのかもしれませんね。
こんばんは、紫龍です。
私としても地球連邦軍の軍備計画には多々おかしい所を感じました。
1. 旧世代艦の維持
波動エンジン搭載型の第1世代艦は「波動砲艦隊計画」が実現するまでのつなぎとして生産されていたのは間違いないでしょう。
当時の地球連邦はヤマトが帰路で遭遇したガトランティスや、講和なったとはいえ関係不安定なガミラスを仮想敵としており、彼らに対抗できる戦力を短期間で揃える必要に迫られていましたので、整備する必要性がありました。
問題はドレッドノート級やアンドロメダ級などの強力な艦が登場した後もつなぎであるはずの第1世代艦を運用していたことです。
これらの艦は基礎設計が古く、ガトランティスに対抗できないのは明らかです。これは地球連邦防衛省(国防省?)が士官たちという利権団体のポスト獲得を優先しているだけであることを如実に示しております。
正直ドレッドノート級が就役した時点で、これらの艦は練習艦や試験艦などの二線級任務の他、無人化改修の後哨戒艦艇・最悪大量の波動コアないし波動弾頭を搭載した自爆攻撃艦などとして運用すべきだったと思います。勿体ないという日本人の国民精神が働いたであろうことは否定できませんが。
2. パトロール艦の存在
パトロール艦は哨戒能力で言えば間違いなく強力ですが、同時に乗組員を55人も消費します。
しかもパトロール艦は任務内容からして長期航海が予想されるので、それに耐えられる将兵を集めねばなりません。
ガミラス戦役でほとんどの将兵と全人口の7割を失った地球連邦にとってはかなりの負担でしょう。
哨戒任務などは前述の旧時代艦を改装した無人艦に肩代わりさせるべきでした。
また無人艦の操縦は艦艇や航空機に乗り組み可能な、身体が頑健な兵士でなくても可能です。傷病で飛行や激務ができなくなった将兵や、艦艇乗り組みに向かない将兵、退役軍人を再雇用してこれに充てれば人員の有効活用ができます。また通常の地球連邦軍の基準では採用されなかった障碍者などの活用も可能です。これは公官庁の障害者雇用の面でも大きな意義があります。これらは人員不足に対しても有効な手段となるはずです。
3. クルー制※1
我々の世界では米海軍や英海軍などで導入されているクルー制ですが、これを地球連邦軍でも導入すべきでした。
海軍や沿岸警備隊などの海上実力組織では長期航海が敬遠される傾向にあり、このために艦艇乗組員の確保が難しくなっていますが、宇宙軍では艦艇乗組員の確保はそれ以上に困難なものと思われます。恐らく旧時代の海軍の潜水艦をも凌駕するでしょう。
艦艇の乗組員を確保するためには待遇改善のためにクルー制は必要不可欠です。最低でも1隻に対し3組、理想的には4組のクルーを用意する必要があります。
このクルー制の導入によって、例えば恒星間派遣任務では交代要員を現地の港に送り込んで後退させることもできます。例えば地球と某恒星系の間の移動が片道2週間とすれば1ヶ月が必要です。クルー制ならば艦を往復させる必要がなくなり、クルーの負担が減ります。
※1:同型艦に隻数以上の乗組員のチームを用意して、担当クルーの任務が終り、休息に入ったら引き続き次のクルーが乗り組むことによって艦の稼働率を上げるシステム。
4. 船体規模
リメイク版地球連邦軍艦艇の全長は以下の通りです。
アンドロメダ級:444m
ドレッドノート級:250m
パトロール艦・巡洋艦:188m
護衛艦・駆逐艦:113.3m
これらの艦艇の船体規模では、ヤマトのような恒星間派遣任務には到底人員が不足していると言わざるを得ません。
というのもガミラス艦の全長を纏めると、
ゼルグート級:730m
ガイデロール級:350m
ハイゼラード級:392m
メルトリア級:283m
デストリア級:270m
ケルカピア級:240m
クリピテラ級:160m
で、地球連邦軍艦艇はガミラスの同種艦艇と比較しても明らかに小型だからです。ドレッドノート級はガミラス軽巡程度の大きさしかないのです。
最低でも
アンドロメダ級:500m
ドレッドノート級:350m
パトロール艦・巡洋艦:250m
駆逐艦:180m
護衛艦:150m
、理想的にはリメイク版の倍の全長が必要でしょう。国力で劣る地球が星間軍事大国に対抗するには、量よりも質を優先するしかありませんから。
5. 後方軽視
戦争の素人は戦略を語り、玄人は兵站を語るという諺があるように、兵站は非常に重要であり、これが無ければ戦闘能力の発揮・維持は不可能です。
しかし3199時点でも地球連邦軍の支援艦艇は補給母艦アスカのみで、情報収集艦や病院船、工作艦、純粋な補給艦は影も形もありません。
これは戦闘艦に予算が集中され、支援艦艇の予算が冷遇されるという、旧日本軍や現在の自衛隊と同様の兵站軽視体質を如実に示しております。
波動砲至上主義のような偏った思想が蔓延っている組織においては、支援艦は戦闘艦に比べて一段低く見る時代錯誤の風潮があるのかもしれません。
またドレッドノート級やアンドロメダ級は設定上ミサイル兵装があるのにも拘らず、ガトランティス戦役でミサイルを発射することは殆どありませんでしたが、これは地球連邦軍の弾薬不足が原因ではないでしょうか。
ドレッドノート級には速射魚雷発射管、四連装対艦グレネード投射機、亜空間魚雷発射機、短魚雷発射管、多連装ミサイル発射機、ミサイル発射管と、規格の違うミサイル兵装が複数種類搭載されていて、それぞれで弾薬の規格も違います。生産効率がかなり悪いことは想像に難くありません。この非効率な兵器体系に加え、波動砲至上主義に基づいた艦隊整備計画により弾薬備蓄に割く予算が割を食ってしまったことで、実弾兵装を満足に運用できなかったのではないでしょうか?
現在の米軍や自衛隊にもMk.41やMLRS・HIMARSといった複数種類のミサイルを発射可能なミサイル発射機はあるのに、ミサイルごとに違う発射機を用いるのは退行です。
また地球連邦軍の艦艇には定員の中に軍医が含まれているのに軍医が乗っていないのではないでしょうか。
これで事故や戦闘による負傷者が出れば治療が受けられず助かる将兵も死亡したり、重篤な後遺症を残すことになります。それは人災に他なりません。
ヤマトは外科手術室・トリアージ待ち負傷者安置区画・病院の一般外来診療室に近い診察室、更にはマイクロドローンを用いる水槽式特殊手術室と、充実した医療区画を有していて、このお蔭で沖田艦長は地球帰還直前まで存命できました。それなのに医療衛生を軽視するのは馬鹿げています。
6. 過剰戦力
恐らくこれが最大の問題点です。
以前コメント欄に投降した通り、単一星系国家である地球連邦が恒星間軍事大国のガミラスと同等の艦隊を保有した所で訓練費や人件費・維持費が捻出できるものではありません。その結果、整備不良や人員不足によって自滅するでしょう。
ガミラスが波動砲艦隊を前にしていながら特に慌てなかったのは、波動砲艦隊の弱点を認識していて地球連邦は波動砲艦隊によって自滅すると考えていたからかもしれません。
尤も肥大化した軍事国債の償却のために各地への侵略を重ねる可能性もあります。ナチスドイツのように。
7. 防御能力の欠缺
地球連邦軍艦艇はドレッドノート級やアンドロメダ級を筆頭に火力の高い艦が多く、波動砲により防御力に優れていると言います。しかし本当にそうなのでしょうか?
確かに波動砲や陽電子衝撃砲は非常に強力であり、波動防壁により全長113.3mの護衛艦でも全長520mのカラクルム級の砲撃に耐える、船体規模に似合わない防御を実現していますが、その一方で波動防壁以外の防御システムはどうでしたか?
防御システムというのは波動防壁のみならず船体防御、ダメージコントロール、電子戦、対空戦などで縦深的に構成する必要があります。
船体防御はイーターⅠに貫通されて撃沈される艦が多発していますし、雷撃旋回砲ではない通常兵装ですら波動防壁が無ければ数発で轟沈していますので低いでしょう。
ダメージコントロールについては極端な人員不足故非常に低いでしょう。
平時の火災などの事故は勿論、有事に攻撃された場合のダメージコントロール、火災の消火活動や浸水防止、負傷者の搬送や手当などにも人手が必要です。
人手が無ければダメージを極小化することができずに被害は拡大します。例えばガミラスの軍艦なら小破で済む所、大破や沈没に繫がるでしょう。沈没ともなれば巻き込まれて、本来助かる乗員も艦と運命を共にすることになりかねません。
アンドロメダ級の乗組員数である「約200名」は、実は定員ではなく実際に乗艦している将兵の数で、実際の定員は2000人ないしそれ以上ではないでしょうか?
基礎乾燥重量にしてアンドロメダ級の3分の1強(私の中ではアンドロメダ級の基礎乾燥重量は22万トンとなっている)と見られる米空母『ジェラルド・R・フォード』級の乗組員ですら2180人です。省人化の度合い――ここでは基礎乾燥重量÷操艦要員の逆数が、同規模艦としては乗員が非常に少ない『クイーン・エリザベス』級と同じと仮定しても2716人にも達します。ヤマトと同じ割合でも1998人です(ヤマトの基礎乾燥重量は11万トン)。幾ら省人化を進めているとはいえこれ程の巨艦の乗員が200人では、ダメージコントロール用にガミロイドでも用いないと、とてもじゃないけどまともに運用できないでしょう。
対空兵装によるハードキルについては対艦グレネード投射機や拡散型対空パルスレーザー砲などによって一見すると高いように見えるけど、それは近接戦闘のみでの話であり、洋上か宇宙かを問わず防空戦では必須と言える縦深防御能力が欠如しているなど、総合的には余り高くありません。電子戦によるソフトキルについても、電子戦については抑もジャミングの使用やデコイの発射の描写が一切ないなど、かなり低いです。これは現代のイージス艦にも劣ると言わざるを得ません。
紫龍様、コメントをありがとうございます。
今回も濃密な考察ですね!
すごく参考になりました。
やはり再編において最大のネックとなったのはガミラス戦争における人的資源の枯渇だと思われます。
そのためにある程度の自動化によるクルー削減は仕方が無いのかもしれませんが、そのためにご指摘にダメコン能力の低下などのマイナス面がったのは間違いないと思います。
ただ当時の地球防衛艦隊首脳としては、波動防壁による防御力への過信と波動砲で攻撃を受ける前に敵をせん滅すればよい、という感覚だったんのかもしれませんが・・・
なお、 波動砲艦隊が実戦化されたとも旧世代艦が前線に出されたのは、恐らく戦力不足を少しでも補うためではないかと思います
第4章でヤマトはガトランティス本隊に接触しており、そこで確認されたガトランティスの戦力から波動砲艦隊の最新鋭艦だけでは戦力不足と判断し、その数的不利を少しだけでも補うために旧世代にも動員をかけられたのでしょう。
実際、時間断層をフル回転し十分な数の波動砲艦が確保でき他時点でそれらの旧世代艦は後方支援任務に回されたようですし。
山城様、返信ありがとうございます。
8. 船体塗装
2202の地球艦には様々なカラーリングが登場していますが、これらは全てロービジ塗装にすべきでした。
具体的には、船体は現在のF-35のようなダークグレーで塗り分けはレドーム以外無し、マーキングは2205のアルフェラッツに近く、塗装色は艦体色と同化するようなグレーです。
このカラーリングは宇宙空間や曇り空に溶け込み上空での見分けがつきにくくなる効果がある他、低コストながらどのような環境でも一定の効果が得られます。また視認可能な情報を減らすことでセキュリティ対策にもなるでしょう。
尤もメタ的には型を流用し色だけ変えて売ればいいという悪徳商法ですが。
9. 通商護衛
2202地球の軍備計画である波動砲艦隊計画ですが、同計画は通商護衛を考慮していなかったのではないでしょうか?
というのも波動砲艦隊は波動砲によって敵艦隊を撃滅するというバリバリの艦隊決戦思想に基づいており、それ故に波動砲搭載戦艦という正面戦力偏重の軍備を整備しました。
しかしこれらの実現には膨大な資源が必要であり、国民が生きていくための食糧も含めてそれらを輸送できなければ国家滅亡に直結します。
ガトランティス戦役では相手が『戦術? 戦略? ナニソレオイシイノ?』で通商破壊戦という概念そのものが無かったので、艦隊決戦思想の弊害が表面化することはあひませんでしたが、ガミラスやボラーが相手の場合、艦隊決戦を作戦の中心とし通商護衛に目を向けていない地球連邦は通商破壊によってスペースレーンを破壊され、軍事力を造成する資源は勿論のこと国民が生存していくための食糧にも事欠く状態に陥るでしょう。
特にガミラスは通商破壊戦に最適な兵器である次元潜航艦を保有していますから、同国の国力を以てこれを量産すれば地球連邦軍の補給路をズタズタにして波動砲艦隊存立の基盤を破壊することも可能なはずです。
紫龍様、コメントをありがとうございます。
船体色はリアルで軍編成を考えるならばご指摘はごもっともですが、個人的にはアンドロメダ級やドレッドノート級のカラーヴァ―ジュンは嫌いではないのでその辺は好みの問題になると思います。
通商護衛は面白そうですね。
確かにあれほど膨大な波動砲艦隊を維持するには、資源惑星からの資源輸送が重要になるはずですが、そのあたりの話は全然出てきませんね。
サイドストーリーとしてそのあたりの話を主題にしたエピソードがあっても良いかもしれません。
ちなみに、仮にガルマン・ガミラスと地球が再び戦争状態になったらガルマン・ガミラスは確実に通商破壊を仕掛けてきて、対次元潜航艦戦略が確立していない地球は相当頭を悩ませることになりそうです。