皆様こんばんは。
だらだらと続けてしまっていた宇宙戦艦ヤマト2202第7章「新星篇」感想もいよいよ今回が最後。
26話後半パート、いってみたいと思います。
第26話「地球よ、ヤマトは…」感想:高次元パート
古代たちの救出をめぐり、地球で真田さんたちが奔走している頃、当の古代は未来と過去のすべてを見通せるという高次元(以後、便宜上「テレサ空間」と命名します)を特性を利用して、「引き金を引かなくてすむ」未来を探しており、雪はそんな古代を探しているうちに、記憶喪失前と後の記憶が統合され、すべての記憶を取り戻しました。
この雪のシーンで少し面白いのは、記憶の回復が記憶喪失後の雪が記憶喪失前の雪を吸収するという形に描写されたことと、記憶の統合後は記憶喪失後の雪の性格がメインとなったことです。
これはなんでもないように思えるかもしれませんが、意外に重要です。
なぜなら、本当の森雪とは「記憶喪失前の雪」であり、「記憶喪失後の雪」はいってしまえば本来の人格が消えたことにより誕生した仮初の人格です。
この場合の力関係は「記憶喪失前の人格>記憶喪失後の人格」であり、だからこそ記憶の回復(=本来の人格の回復)してしまえば、仮初でしかない「記憶喪失の人格」は消滅してしまうわけです。
しかし雪の場合は完全に「記憶喪失前の人格<記憶喪失後の人格」となっており、しかも「記憶喪失前の記憶」が記憶喪失後の人格になんら影響を与えていません。
これは一体どういうことか?
考えられることは、雪にとって記憶喪失後の4年間のほうがそれ以前の18年間(普通の人間であるということを前提にした場合)よりもはるかに大きなものであり、失われた18年間の記憶が回復したところで人格に影響を与えるほどの重みはなかったという可能性です。
振り返ってみれば、第6章で描かれた本来の雪はどこか希薄なところがありました。
lこれはあくまで想像ですが、本来の雪は親がひいたレールに従って生きていたお嬢様で、主体や我というものがあまりなかったのではないでしょうか?
それゆえに薄い18年間で形成された雪より、濃密な4年間でしっかりと我を確立していた「記憶喪失後」の雪のほうが二つの人格が統合した後も主導権を握れたのではないかと思われます。
一方、古代は「撃たなくてすむ未来は存在しない」というつらい現実を知り、絶望にとらわれ、再会した雪すら拒絶するようになっていました。
この辺は古代君の立場に立てば分からないわけではありませんが、正直、「厳しい現実に悩む主人公」という流れは見ている側からすればいい加減に食傷気味です。
このあたりはもう少し何とかならなかったかなとは思ってしまいました(苦笑)
とはいえ、そんな古代君に雪が「古代進は地球を救ったぞ~」と呼びかけるシーンからの流れは気に入っています。
まさか第2話の車での会話が伏線になっていたとは予想外でした。
そんな雪に応えようとする古代君でしたが、なおも彼女の手をとることは躊躇してしまいます。
たぶんこの辺は賛否が分かれるところだと思います。
私も最愛の雪にここまでいわれてなおも躊躇してしまう古代君に見ているときは少しイラッとしてしまいましたが、後で冷静になってみればなるほど躊躇するわな~と思い直しました。
なぜなら、さまざまな未来を見た結果、古代君は今後も戦火の中に身を置くことが確定しています。
ここで雪の手をとることは、雪もまた巻き込むことになり、彼女を失う恐れをまた抱かねばならないわけです。
2199と2202で3度も彼女を失いかけた古代君ならばそりゃあ躊躇してしまうのも当然ですね。
結局のところ、最後の最後に古代君と雪の間に生まれるだろう新しい命(深雪?)が介入してきたことで古代君は再び雪とともに厳しい世界を生きることを決意するわけですが、ここで思ったことは復活篇の未来はなかったのかな~ということ。
家庭崩壊をしてしまっている復活篇の未来を知っていた場合は止めとなったのではないかと思うのですが、考えてみれば2199シリーズの古代君はそれほどヤマトに取り付かれていません。
結婚した場合は雪のほうが主導権を握りそうですし、復活篇ような家庭崩壊の未来は起こらないのかもしれませんね(苦笑)
ちなみに古代君が過去と未来を俯瞰しているシーンで初代ヤマトから2520までの過去シリーズのシーンが流れますが、それらがすべて新規書き下ろしということを知ったときは少し驚きました。
このようなものを見せられると、このスタンスで再度のリメイクはできないかと思いましたが、無理ですかね?
さて、生きることを決意した二人の前に現れたのは最終決戦仕様から元の姿に戻ったヤマト。
「ヤマトより愛をこめて」が流れる中で、笑顔のクルーたちに迎えられ、地球へ帰還する流れは文句なしです。
この新星篇にはいろいろ不満もありましたがは、このエンディングだけですべて許せる気になりました(苦笑).
正直に言えば、この2202は1つの作品としてはかなり厳しい内容であったと評価せざるを得ません。
しかしこの新星篇において選べる選択肢の中で最も良い結末に着地させることには成功したと思います。
製作方針の軌道修正は必要であると思いますが、もし続編が予定されているとしたら素直に応援したいと思います。
最後に一言。
この新星篇で芹沢さんは本当に良いキャラになりました。
間違いなくサブキャラMVP筆頭です!(笑)
コメント
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古代進の人差し指を掴んで進むべき未来を澪つくして導いたちいさな手
古代進は、このちいさな手を守り育てる為に、引き金を引き続きけます
彼の男は、このちいさな手を守り切れなくて、引き金を引き続けました
古代進とヤマトのお話の続編があるのなら新たなる旅立ちを応援します
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感じかたは人それぞれですね。
山城2199さんの記事を読んで、そう思いました。
私の感想
古代がねぇ、2202の古代らしいと言えばそうなんでしょうが・・・
「もう誰も失いたくない」って、キーマンの変わりに自分が突っ込もうとしたかと思えば、
退艦しなかった雪への「なんで?」に
「一人じゃ無理」って言われただけで、あっさり一緒に特攻するし、
うじうじと「未来が見えない」って、 目の前の雪すら見えてないし、
古代にとっての雪って何?キーマン以下なの?
21話で土方艦長にあの台詞を言わせた製作陣が、こんな風に古代を描くことで伝えたいメッセージって何?
新星篇=NOVA chapter=雪の章 だから
製作陣が描きたかったのは「雪の愛」で、
そのために、古代を犠牲にしてるって解釈でOK?
ラストで泣いて株を上げた芹沢に対して、ニコニコ笑ってる古代への違和感は全開でした(;^_^A
きっと、
我々(観客)は(製作陣に理解力とヤマト愛を)試されている
のかも知れないですね。私はまだまだのようなので、頑張って復習します(笑)
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2202の中で一番キャラが立っていたのは芹沢さんかもしれませんね。2199で最初は嫌われキャラだったゲールが第18話で愛されキャラに変貌したように、ここは芹沢さんの面目躍如といったところでしょうか。前に「2199ではクズだった」と書いたことがありましたが、その後、小説版を読み直してみたらかなり印象が変わりました。ヤマト計画事態相当無謀な計画で、亜空間ゲートが無かったら失敗していたわけですから、彼の行動にも一理あります。
一応シリーズの総括めいたことを書くと、私はアニメに限らず映画というものは商品だと思っています。商品である以上は顧客のニーズに応えなきゃいけない訳ですが、果たして2202がそうしたニーズに応える商品だったか?といえば、それは厳しいといわざるを得ないと思います。それどころかせっかく一定数いたファンという顧客に分断を招いてしまいました。
最近はやや落ち着いてきましたが、一時ヤフーの映画欄の点数は1か5という状態でした。続編が作られた場合2202のスタッフ(特に副監督)が残れば1をつけた人は見に行かないだろうし、出渕監督が復帰すれば5をつけた人は来ないであろうと、かなり厄介な後遺症を残してしまいました。
2202には言いたいことは他にも山ほどありますが、なんだかんだ言ってもこの2年間、ヤマトで楽しませてくれたのは羽原監督をはじめとするスタッフの皆さんのおかげです。その点では本当に感謝しています。GWにファミリー劇場で2202の一挙放送があるようです。おそらくテレビ放送版と思われますので、復習を兼ねて楽しみたいと思います。
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この回のエンディングに近づくにつれての古代君と雪の性格を見て取ると、ん〜、復活編の冒頭の古代家のイメージに結びつきにくいな、と。古代君は、あの境地に至ればメンタル的にはよほどの出来事でも降りかからなければグズグズのままでいきそうな気がしますね。
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ぺんぺん草様、コメントをありがとうございます。
> 古代進の人差し指を掴んで進むべき未来を澪つくして導いたちいさな手
> 古代進は、このちいさな手を守り育てる為に、引き金を引き続きけます
> 彼の男は、このちいさな手を守り切れなくて、引き金を引き続けました
> 古代進とヤマトのお話の続編があるのなら新たなる旅立ちを応援します
個人的な見解ですが、本来の大帝と古代君は似た者だったのではないでしょうか。
しかしそんな彼らを分けてしまったのは、大帝は絶望しか知ることができず、古代君は絶望とともに希望も知ることができたことだと思われます。
次回作があるとしたら世代交代が囁かれていますが、私としては古代君の物語の完結篇としてもう一本彼を主役に下物語が見たいと思っています。
2199は絶望の世界で希望を見つけ出す話でした
2202はその希望を守ることの難しさを知る物語だったと思います。
ならば当然、次にくるのは希望を守る話がふさわしいと思います。
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鮫乗り様、コメントをありがとうございます。
思うのですが、鮫乗り様の感想のほうが自然であると思います。
私の解釈も2202のストーリーの範囲内で考えるならば納得できるというだけで、客観的に言えば彼らの行動や主張に一貫性がなく、支離滅裂なことは確かですから(汗)
> 「もう誰も失いたくない」って、キーマンの変わりに自分が突っ込もうとしたかと思えば、
> 退艦しなかった雪への「なんで?」に
> 「一人じゃ無理」って言われただけで、あっさり一緒に特攻するし、
ここは雪の記憶が戻っているほうがやはり説得力があったと思います。
第3章を踏まえると、古代が何を言っても絶対に雪は残るであろうことは流石の古代君も理解しているでしょうから。
むしろ2のように雪が退艦したことを確認した上で艦橋に戻ったら、雪が待っており、「言ったでしょ?もう手を離さないで、と」と笑顔で言われてしまう流れのほうが良かったのではないかと思っています。
まあこうなると26話のテレサ空間の展開がおかしなことになってしまうわけですけど(苦笑)
> きっと、
> 我々(観客)は(製作陣に理解力とヤマト愛を)試されている
> のかも知れないですね。私はまだまだのようなので、頑張って復習します(笑)
いやいや、一番愛が必要だったのは私たちではなく、製作サイドだったと思います。
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yoshirinn様、コメントをありがとうございます。
「ヤマト計画」に対して芹沢が疑念を持つのはもっともですが、しかし彼が推進していた「イズモ計画」も成功の見込みも同じくらい低いんですよね(苦笑)
まあこれは何を重視するかの違いであり、どちらが正しいというわけではなかったと思います(劇中でし今も新見に同じようなことを言っています)
ちなみにむらかわ先生の漫画では、イズモ計画が発動し脱出船が地球を離れた後は芹沢が本土決戦の指揮を取り徹底交戦をして地球人の意地をガミラスに見せ付けた後、地下に埋めていた爆弾で敵もろとも自爆するつもりだったそうです(漢だぜ、芹沢さん)。
もしかしてG計画発動で銀河が地球を脱出した後も同じことを考えていたのでしょうかね?
> 最近はやや落ち着いてきましたが、一時ヤフーの映画欄の点数は1か5という状態でした。続編が作られた場合2202のスタッフ(特に副監督)が残れば1をつけた人は見に行かないだろうし、出渕監督が復帰すれば5をつけた人は来ないであろうと、かなり厄介な後遺症を残してしまいました。
実は私はこの分断をそれほど心配はしていません。
なぜなら2202を全面的に肯定している方は恐らくごく少数であり、ほとんどの方は大なり不満がを抱いている事は間違いありません。
レビューで5をつけている方も(不満はあるけど)楽しませてもらったという方が多いようですので、次回作はヤマトファンが抱いた不満を潰していく方向で製作してゆけばおのずとちょうど良い感じで落ち着くと思っています。
ただ現在の製作陣が続投で方向性が変わらないなら厳しいかもしれませんね・・・(汗)
> 2202には言いたいことは他にも山ほどありますが、なんだかんだ言ってもこの2年間、ヤマトで楽しませてくれたのは羽原監督をはじめとするスタッフの皆さんのおかげです。その点では本当に感謝しています。GWにファミリー劇場で2202の一挙放送があるようです。おそらくテレビ放送版と思われますので、復習を兼ねて楽しみたいと思います。
私も良い夢を見せてもらったことについては心から感謝しています。
1月にケーブルTV契約は解約してしまったので(ほとんど見なくなっていたので)、GWの一挙公開は見ることができませんが、DVDで一気見しようかと思っています(笑)
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kazu様、コメントをありがとうございます!
> この回のエンディングに近づくにつれての古代君と雪の性格を見て取ると、ん〜、復活編の冒頭の古代家のイメージに結びつきにくいな、と。古代君は、あの境地に至ればメンタル的にはよほどの出来事でも降りかからなければグズグズのままでいきそうな気がしますね。
私も同感です
復活篇の古代家は、
古代君がヤマトにとりつかれている+雪が受動的である
という条件が重なったケースでしょうし。
2202の流れだと古代君のメンタルは確かに問題ですが、雪のほうが能動的で、古代君の手綱をしっかり操作していくでしょうから意外に仕事も家庭も上手くいきそうです。