ここが良かった!むらかわ版2199 BEST3

皆様こんにちは!
むらかわみちお先生がComic Walkerが連載されていた「ガールズ&パンツァー 樅の木と鉄の羽の魔女」が今月20日の更新をもって最終回を迎えました。
ガルパン作品としては賛否分かれる作品でしたが、私は結構好きでした。
2018年から4年に及ぶ連載お疲れ様でした!

さて「樅の木と鉄の羽の魔女」が無事最終回を迎えたことでやはり期待してしまうのが2017年の第9部の完結によって休載状態になっているコミカライズ版2199の再開。
高い人気があったにもかかわらず突然救済になってしまった理由としては様々な説がささやかれていますが、いよいよマゼラン銀河に到着し地球帰還も視野に入っている状況なので、この機会にぜひ再開し、地球帰還まで完走して欲しいですね。

そこで今回は連載再開祈願として、1巻から8巻までの中で個人的に気に入っているポイントのBEST3をご紹介したいと思います。
ちなみに、あくまで個人の感想です。
また他にも良いポイントはたくさんあるのですが、今回はその中でも特に「むらかわ版2199」の良い所ついて語る時に、私が必ず言及しているものを選びました。
「なんでそこを選ぶの?」というご意見は多々あると思いますが、どうぞご了承ください。

第3位:デスラー総統暗殺事件が自然な流れに

まず、むらかわ版はアニメ版とは出来事の時系列がちょくちょく変更されており、それにより、アニメ版ではやや唐突な展開だった出来事も一つの繋がった流れとしてうまく落とし込んでいます。
その最も成功した例が「デスラー総統暗殺」を巡る流れです。
アニメ版では、デスラー総統の暗殺事件は唐突に発生しており、ヤマトを撃沈まで追いつめていたドメルを本国に召還するのもややご都合主義のようになっていた感は否めません。
ハッキリ言えば、アニメ版ではドメルが撤退する理由づくりとして、総統が必要もなかった前線視察に唐突に出て暗殺事件に遭遇させたとしか思えない構成になっています。
しかしむらかわ版では、単行本6巻でのミレーネルの潜入を踏まえて、デスラー総統が「(ユリ―シャが乗っているから)現時点でヤマトを沈めることが出来ない」と判断してドメルに攻撃中止させ、さらにその理由を説明する為にバラン星に向かう途中だったという流れに変更しています。
これは非常にうまい改変であると思います。

まず、イスカンダルの王族が乗っている限りはヤマトを沈めることが出来ないというのはのちの七色星団にも絡んでくる重要な伏線であり、デスラー総統としては言動が一貫しています。
さらにそのような機密事項は通信で説明する事ができない為、総統が直々にバラン基地に説明に来るということについても自然な流れになっています。
また、そのバラン星行きはその通信でドメルのみに告げていた事項であるため、総統暗殺犯の有力候補がドメルとなり、タランなどの穏健派も庇うことが出来なかったという説明にもなっています。

ほんの少しアニメ本編と入れ替えるだけで、アニメではちょっと「うんっ?」と思ったシーンがこれほど自然なものになるとは正直、私は思っていませんでした。
むらかわ版2199の評価の1つとして、「完全版2199」と言われていますがこの評価は決して過大ではないと思います。

第2位:ゼーリックが大物に変更

アニメ本編では単に野心だけが溢れた小物として描かれていたゼーリックでは、むらかわ版ではそれなりの見識と覚悟を持った大物として描かれたのは個人的に良かったと思います。
ゼーリックの設定として、大公死後の後継戦争においてアベルト・デスラーに協力して国家元帥の地位を手に入れたとされていますが、あまりに無能だとデスラー総統も独裁制を確立した時点で用済みとして処分されていてしかるべきです。
むしろNo2として生き残っているということは、やはりそれなりの能力はあったのではないでしょうか。
あくまで個人的な考えですが、ゼーリックの本質は軍人ではなく軍政家であり、巨大化したガミラス軍を組織としてまとめ、政治的は発言力をキープ出来ていたのは彼の手腕が大きかったのでないか。
第6章以降、軍部の発言力が著しく低下し、ギムレー率いる親衛隊の増長を招いたのも、ゼーリックを失い軍部の政治的な地盤を失ったからではないかと考えると納得できます。

ちなみにむらかわ版オリジナルである、ゼーリックとディッツがガミラスの未来について語り合っているシーンはお気に入りの1つです。
互いに政敵として嫌い合ってはいるものの、共に帝国の草創期を支えてきた同志として実は互いに認め合ってはいたんだなということがよく分かります。
ディッツを拘束した後の「さらば友よ」の一言は、恐らく嘘偽りのないゼーリックの本心なのでしょう。
こういう複雑な人間描写はアニメ版にはなかったむらかわ版2199の最も大きな魅力です。

第1位:森雪vs山本玲

そして「むらかわ版2199」で今後間違いなく見どころとなってくるのは、古代進を巡る森雪と山本玲の女のバトルだと思います。
アニメ本編では第3章以降、なし崩し的に決着がついてしまった二人の恋の鞘当ですが、むらかわ版2199ではマゼラン銀河到着時点でもまだ決着はつかず、むしろドロドロとしたものになりつあります。

記憶が無いゆえに古代との絆を大切に思っており、その一方で嫉妬という初めての感情に困惑する雪
兄の死を契機にやや狂気の域に入ってしまい、古代にひたすら兄の面影を求める玲

愛というかの常が決して奇麗なものばかりではく、相手を心から手に入れたいが故に出てくる汚い部分もしっかり描かれているのが深いです。
特に印象深いのは単行本5巻でメルダの診察を古代が見に来たシーン。
その場に雪と玲が居合わせていたのですが、古代と話をするときには普通に話をしている二人が、古代と雪が会話をしている時は玲が、古代と玲が話をしている時は雪が、それぞれ無表情になっているコマ。
合わせ鏡のような駒割で描かれていたので、恐らくこの無表情は意図的なものでしょう。
無表情になっている時の2人は一言も言葉を発していませんが、それだけに内心の感情を色々考えてしまいます。

この二人の関係をここまで引っ張る以上、むらかわ版では今後、何らかのオリジナル展開で雪と玲は互いの気持ちに折り合いをつけるために直接決着をつける事になるのではないかと予想。
スポコン系では納得がいくまで殴り合うとかが定番なのですが流石にそれは・・・(汗)
果たして二人はどのように決着をつける事になるのかかなり楽しみです。

以上が私が考える「むらかわ版2199」の推しポイントです。
この機会に1巻から既存8冊を読み返してみてもいいかもしれませんね。

ハッキリ言えば、第9章をもってむらかわ版はアニメシリーズとは全く繋がらない別の作品となった感がありますが、それはそれでよいと私は思っています。
「むらかわ版」がアニメ版の忠実なコミカライズである必要はありません。
事実、旧ヤマトにおいても、「ひおあきら版」「聖版」「石津嵐版」と全く異なる展開が描かれたヤマトが存在します。
「むらかわ版」がオリジナル設定を盛り込んだ本編とは異なる物語になって悪いという事は無いはずです。
まずは9章をまとめた9巻の発売、そして七色星団篇になる「第10章」の再開を心から期待します
むらかわ先生のお気持ち次第ではありますが、ヤマト製作委員会並びに角川さんも是非前向きに再開を検討していただきたいですね。
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コメント

  1. ルミ より:

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    またお邪魔します🙇‍♀️⤵️
    私も、雪VS玲のラブバトル、楽しみにしてるんですが…。先生はどうされるご予定なんでしょうかね。
     私は、むらかわ版では、ボルゾン女王がイスカンダルを完全に信頼するな、と言ったような、2205の古代イスカンダルエピソードに通じるものがあるお話が好きです。
    むらかわ先生が、森雪クローンのエピソードを考えてらしたのも興味深かったです。
     早く連載再開して欲しいですね!また、むらかわ先生がコミカライズした、2205も読みたいなぁ…。

  2. 山城2199 より:

    SECRET: 0
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    ルミ様、コメントをありがとうございます。
    また毎度のことながら返信が遅くなってしまい大変失礼いたしました。

    ボルゾンネタは思わず私もニヤリとさせられました。
    ただ2205の設定がむらかわ版でも踏襲されるのならば、ボルゾン女王の忠言はまだ控えめなんですよね
    イスカンダルは信用できないが、スターシャ(+ユリ―シャ)は信用できるというところでしょうか?
    雪のクローン設定は、2199の原案の1つを採用したのだと思いますが、その設定が今後どのようにストーリーに関わってくるかが気になるところ。
    私も本当に連載再開を心から期待したいです。