ドレッドノートの名が冠された意味

皆様今晩は。
今回は2202で登場した主力戦艦に「ドレットノート」の名が冠された理由を考察してみたいと思います。

ドレットノート(Dreadnought)は「恐怖」や「不安」を意味する「Dread」と「ゼロ」を意味する「Nought」を組み合わせた合成語であり、「勇敢な」や「恐れを知らない」、あるいは「恐怖心が無い」を意味する言葉です。
ガミラス戦争後に推し進められていた「波動砲艦隊計画」の1番艦にあえてこの名前を与えたのは非常に意味深です。
1つには「ドレットノート」の言葉が意味する通り、拡散波動砲を搭載したこの艦によって、ガミラス戦争によって植え付けられた恐怖を払拭したいという当時の地球防衛軍の強い意志が込められていたものと推測できます。
実際、2199年当時の国連宇宙軍が総力をあげてもガミラスの2線級部隊にすら勝てず、地球が滅亡寸前まで追い込まれたという事実は戦後の地球軍にとって相当なトラウマを植え付けたのではないかと思われます。
そのような中で、波動砲艦の建造はそのトラウマを消し去る絶好のチャンスであり、この波動砲艦があれば地球は2度と先の大戦のような惨めな思いはする事は無くなるという強い期待の表れとして「ドレットノート」の名前が与えられたのではないでしょうか。

またもう一つの理由として、この波動砲艦の完成は地球にとって第2のドレットノートの誕生そのものだったのではないでしょうか?
軍艦史を少しでもかじった事があるならば、「ドレットノート」という艦名は特別な存在である事はもはや常識です。
というのも、日露戦争終結後の僅か1年後にイギリスが完成させた新造戦艦「ドレットノート」はあらゆる点で画期的であり、ドレットノート登場以前の戦艦をすべて旧式戦艦にしてしまうほどの衝撃を世界に与えました(その衝撃の大きさは現在でも使われている「弩級」や「超弩級」の語源になったというだけでも分かるというものでしょう)

ガミラス戦争後に完成した波動砲艦も従来の地球艦を全て旧式にしてしまう存在であったことから、最もふさわしい名前として「ドレットノート」の名前を与えたのではないでしょうか?
恐らく地球連邦軍としては艦隊の再編にあたって、ドレットノート級戦艦以前の宇宙戦艦は「前ド級」とし、登場以降の艦は「弩級戦艦」と区分する事で効率的な再編を図っていたのではないかと思われます。

ちなみに「ドレットノート」誕生前に完成したヤマトは純粋な地球製ではない事(イスカンダルの技術提供があった)、また実験艦的な要素も多々あったことから例外扱いであり、地球にとっての正式な波動砲搭載型宇宙戦艦第一号は「ヤマト」ではなく「ドレットノート」という認識なのではないかと思われます。
もしかしたら地球にとっては「ヤマト」ですら、ガミラス戦争におけるトラウマを思い出させるものとして、「ドレットノート」という新世代の戦艦を登場させることでヤマトを過去の遺物として葬り去るつもりだったのかもしれません。
実際、小説版2202では沖田艦長が座乗していたキリシマですら、ガミラス戦争を思い出させるとしてスクラップにされかけていました。
2202でヤマトも改装・再就役したものの、その扱いがやたら軽かったのは、波動砲艦隊完成の目途がたった地球軍にとってはもはやヤマトは無用な艦であり、機会があればその存在を消し去りたかったのかもしれませんね。

なお、史実において「ドレットノート」の完成は世界に新たな建艦競争を呼び、第一次世界大戦の遠因ともなりました。
ヤマト世界における波動砲搭載戦艦「ドレットノート」の完成が地球防衛軍にすさまじい軍拡を促し、「ガトランティス戦役」という新しい戦乱の幕開けとなったのはある意味歴史の皮肉です。
あまり詳しく語られることのない波動砲艦隊計画ですが、このような裏設定を考えるといろいろ面白い設定が飛び出してきそうですね。

【追記】
本日(正確には昨日ですが)7月19日は、当「ヤマトの日々」の管理人が非常にお世話になった「しんまちTV」管理人、土居艦長の2年目の命日です。
改めて艦長のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

コメント

  1. 航宙特務隊 より:

    こんにちは。航宙特務隊です。
    地球政府(特に軍部)はヤマトの僚艦の完成を待っていただけではないでしょうか?
    一応ですが、旗艦としての能力を持っているわけですし(事実、2205で証明されています。)、後は僚艦を完成させて、いっぱい飛ばしてガミラスなどほかの星間国家への威嚇として使う予定ではなかったのかと。
    あと、ドレッドノートは最初は「スモールアンドロメダ」として最終兵器として使われる予定ではなかったのでしょうか?演習の際に14隻しか登場しなかったのは時間断層の生産力としておかしいですし、ドレッドノートの大きさならがんばったら時間断層以外でもできそうなので、もう少しいてもいいと思います。なので「スモールアンドロメダ」としてもしもの時の最終制圧兵器として用意されて、意外と作りやすかったので量産が決定したとか。
    長文のつたないコメント失礼いたしました。

    • yamasiro2202 より:

      航宙特務隊様、コメントをありがとうございます。
      恐らくですが2202時点と2205時点ではヤマトの評価はかなり変わったのだと思います
      あくまで勝手な予想ですが2202時点では、ヤマトに対する期待は相当低く(実際、あまり改修工事自体は優先されていなかったことが伺えます。)、どこまで戦力としてみていたかは疑問です。一方、2205においては2202の戦いで地球の象徴的な艦になったため、宣伝艦隊の旗艦として抜擢されたのではないかと思います。
      またドレットノートについては、ドレットノート→アンドロメダという順番で完成したということが裏設定でありますので、むしろアンドロメダ級の完成により、アンドロメダ級の量産や改造にシフトしていったのかもしれません。
      たた白色彗星帝国の戦力が判明したことにより、急遽数を揃える必要になっため、量産に向いているドレットノートの大量生産に切り替えたのではないかと思われます。

  2. クマさん より:

    身も蓋もない言い方をすれば小林誠副監督の意向でしょう。
    ヤマト世界にドレッドノート級が登場したのが2520が最初で次が復活編です。
    ちらも小林誠氏が深く(なのかはわかりませんが)関わった作品です。
    彼にとって主力戦艦はドレッドノート級であるべきみたいな拘りがあるのかもしれません。
    勿論、現実世界の元祖ド級戦艦の名を冠する事に何の異論もありませんが、ヤマトやアンドロメダに及ばない簡易量産艦にドレッドノートは名前負けしている気もします。

    • yamasiro2202 より:

      クマさん、コメントをありがとうございます!
      また返信が遅れてしまい大変失礼いたしました(汗)
      多少言い訳をさせてもらえれば、7月は本当に忙しかったので記事を更新させるのがやっとでした。
      今月は少し余裕が出ると思いますので、返信も早めにできると思います。
      今後ともよろしくお願いいたします。

      確かに副監督であった小林誠氏の影響は考えられますね。
      ただ現実の「ドレットノート」のその名前の有名さに反して実戦では全く言っていいほど戦果がありません。
      これは一つには「ドレットノート」は実験艦的な要素が多数あり、実戦で使うには少々問題があったという指摘もあります(実際、ドレットノートは1番艦の建造のみで終わったところを見るとこの指摘は正しいのではないでしょうか?)
      この意味では地球防衛艦隊再建のスタートとなった艦に「ドレットノート」の名前を与えたのは歴史的にも正しい気がします。
      まあこのあたりは好みの問題ですね(笑)