加藤の選択について

第5章公開から3日経過しました。
私は一昨日と昨日と二日続けて乗船してきましたが、全体的な感想としては「そこそこ面白かったけどヤマトの影が薄いな・・・」でした。
実際、前半2話の主役はデスラー総統とキーマン、後半2話の主役は山南さん率いる地球艦隊でしたので、ヤマトの影が薄くなってしまうのはやむを得なかったのかもしれません。
ヤマトと古代君たちの活躍は次章以降に期待したいです。

さてここから完全ネタバレです。
第5章のキャッチフレーズは「ラスト5分、涙とともにあなたは衝撃の結末を目撃する」でしたが、確かにすごい衝撃的な結末でした(涙はなかったですが)。
まさか加藤が子供の命を救うために人類とヤマトを裏切るとは・・・
この加藤の選択についてはやはりネット上において賛否両論(ちなみに否の方が多い)を呼んでいるようです。
脚本を担当した福井氏はパンフレットの解説において、この加藤の選択について「親は子供を救うためなら、全力で自分自身を騙して何でもしてしまうだろう」といった趣旨で説明しておりました。
私自身には子供はいませんが、「親は子供を救うためならなんでもする」といった話は昔から聞いておりますので、今回の加藤の選択も愚かであると思う一方で、決して分からないわけではありません。
ただし、今回大帝が加藤に示したゲームは考えれば考えるほど、「よくまあここまでひどいゲームを考えたものだ」と心底嫌悪感を感じます。

すでにネット上でも多くの方が指摘なされていますが、実はこのゲームはどちらを選んでも翼を助ける事はできません。
もし加藤が否定した場合、遊星爆弾症候群の特効薬のレシピは手に入らず、翼は病死することになります。
逆に受け入れた場合、確かに遊星爆弾症候群は完治するかもしれませんが、その後、11番惑星の入植民のようにガトランティスによって母親である真琴もろともなぶり殺しにされる運命が待っています。
つまりはこのゲームで変えることができるのは出来るのは子供の死因だけなのです。

それでも透子(=大帝)は今回の選択肢を「ゲーム」と言い切りました。
何故か。
それは今回のゲームの真の選択肢は「ヤマト(&人類)」と「子供(翼)」のどちらをとるか、ではなく、「愛する子供を見殺しにする」or「愛する妻と子供を殺す」だったからです。

もともと、翼が病死した、あるいはガトランティスに殺されたとしても、それは加藤が悪いわけではありません。
しかし今回のゲームを加藤が受け入れてしまったことにより、翼の死はすべて加藤自身が原因となってしまったのです。
なぜならもし拒絶して翼が病死した場合は、助けられたのにその選択肢を選ばなかった加藤の責任です。
一方、本編のようにガトランティスの要求を呑んだ場合、翼と真琴、2人の死刑執行書に加藤自身がサインをしたことになります。

「愛する者」を救おうとする行為が「愛する者を殺す」

これがズォーダーの仕掛けた今回のゲームの正体です。
このゲームの唯一の正解は最初のメッセージの段階でガトランティスの罠だと考え、無視する、これだけでした。
監禁室にやってきた加藤に対して透子は「ようこそ地獄へ」と嘲笑しましたが、これは破滅が決まった人間に対する嘲笑だったと思われます。

「父ちゃん地獄に落ちるわ」と涙ながらに言った加藤ですが、彼の本当の幸運は今回のゲームの本当の意味にまだ気がついていない点にあります。
残念ながら加藤は次回の第6章おいて戦死すると思います。
しかし彼にとっては自身の選択の本当の意味を知る前に戦死したほうがむしろ救いではないでしょうか。
せめて彼の死が安らかなものになることを今は心から願いたいと思います。

img_chara_12.png

 

コメント

  1. 第六十六機動艦隊 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    こんにちは~
    自分は初日見ました。個人的には、全体的におもしろかったのですが、土星沖海戦、かっこいいけど、もうちょっと尺を…と思いました。
    加藤の話は、まさに2202キャッチコピーの「愛は宇宙を壊す」を体現した回だったかと…
    加藤はやはり亡くなってしまうのでしょうが、せめて翼君や真琴さんには幸せになってほしいです…
    追伸
    そういえば、円盤特典によると、最初デスラー派の黒幕はヒスがなる予定で、それでは悪役にしすぎるということでギムレーに白羽の矢がたったとか

  2. 山城2199 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    第六十六機動艦隊様、コメントをありがとうございます。
    公開から一週間たち、そろそろ冷静に語れるようになったので、第5章の私の感想は近いうちに書こうと思っていますが、確かに土星沖海戦は・・・(汗)

    > そういえば、円盤特典によると、最初デスラー派の黒幕はヒスがなる予定で、それでは悪役にしすぎるということでギムレーに白羽の矢がたったとか

    えっ!?、2199の流れからいけばヒス黒幕は絶対無理でしょう。
    個人的にはゲール君が黒幕に納まっていると面白かったのですが、人望が全く無いですからデスラー派を組織化できるかが最大の課題ですね(苦笑)

    > 加藤はやはり亡くなってしまうのでしょうが、せめて翼君や真琴さんには幸せになってほしいです…
    原作である「ヤマト2」では月はひどいことになっているんですよね・・・
    加藤がオリジナルとおりの展開になるのなら月にいる真琴と翼も・・・(汗)
    さてさて本当にどうなんでしょうかね?

    > こんにちは~
    > 自分は初日見ました。個人的には、全体的におもしろかったのですが、土星沖海戦、かっこいいけど、もうちょっと尺を…と思いました。
    > 加藤の話は、まさに2202キャッチコピーの「愛は宇宙を壊す」を体現した回だったかと…
    > 加藤はやはり亡くなってしまうのでしょうが、せめて翼君や真琴さんには幸せになってほしいです…
    > 追伸