第二次火星沖海戦の真実

皆様今晩は。
2月発売予定の「ヤマトOUT」の投稿締め切りは明日7日23時59分です。
皆様もう投稿をおすみになりましたでしょうか?

さて今回はここ数日、コメント欄に寄せられたコメントを読んで思いついたことをまとめてみたいと思います。
取り上げたいテーマは2199において「国連宇宙軍が勝利した唯一の戦い」として度々語られている「第二次火星沖海戦」についてです。
作中で判明している事まとめると、この戦いで国連宇宙軍は壊滅的打撃を受けたものの、ガミラス艦隊もまた地球侵攻を断念せざるを得ず、以後ガミラスは遊星爆弾による戦略変更を余儀なくされたとされています。
確かにこの結果を見れば戦術的には辛勝、戦略的も「地球侵攻を防いだ」という点で国連宇宙軍の勝利といえるかもしれません。
しかしこれはあくまで地球の見方であり、実はガミラスにとってはこの戦いは特に敗北ではなかった疑いがあります。
というのも、ガミラスにとっては最初から艦隊による地球侵攻は考えておらず、遊星爆弾の使用は規定路線だった可能性が高いかです。
そもそも遊星爆弾は、地球をガミラスと同じ環境にするための惑星改造の道具であった事が2202で判明しました。
ということは、地球に対して遊星爆弾を使用する事は最初から確定していた事であり、第二次火星沖海戦で敗北したため戦略を遊星爆弾による長距離爆撃に切り替えた訳ではないことは明らかです。
むしろ、第二次火星沖海戦で国連宇宙軍の主力が壊滅した結果、遊星爆弾を阻止できる戦力が地球に残されないと判断され、遊星爆弾攻撃が始まったと考える方が妥当です。

実は地球の反抗作戦だった第二次火星沖海戦

実は第二次火星沖海戦は地球サイドにとって当初は防衛ではなく攻勢であったことは本編の中で密かに語られています。
2199第17話における回想の中で、古代守が真田と新見に「火星を絶対防衛線とした反抗作戦がおこわなれる」と話をしています。
この反抗作戦が第二次火星沖海戦であるとは明言されてはいませんが、古代守が作戦を知っていた事(当時士官学校の学生だった古代守が第二次火星沖海戦に参加していたことが沖田の口より語られており、真田たちが知らなかった反抗作戦を知っていたのは自分も参加する事になったからだと思われます)、またそのあとの回想で遊星爆弾の攻撃が始まっていた事からほぼ間違いなくこの反抗作戦が後に「第二次火星沖海戦」と呼ばれる戦いである事は明らかです。
そして言うまでもなく「反抗作戦」とされている以上、それは地球サイドが企図した戦いということになります。
これはあくまで推測ですが、この反抗作戦は次のような内容だったのではないでしょうか?
第一段階:先遣艦隊がガミラス艦隊を火星防衛線まで誘導
際二段階:火星防衛線に集結していた国連宇宙艦隊が地の利を生かしてガミラス艦隊を殲滅する
際三段階:機動艦隊を失った冥王星基地に逆侵攻をかけ、これを占領あるいは破壊する

これならば第二次火星沖海戦が防衛戦でありながら反抗作戦であったとの説明がつきます。

ガミラスサイドにおける第二次火星沖海戦

恐らくガミラス冥王星基地司令であるシュルツは火星宙域に地球艦隊の主力が集結していることは情報収集でつかんでおり、早い段階で地球の意図は見抜いていたと思われます。
しかし、彼は罠である事を見抜いた上であえて地球サイドの誘導に乗ったのではないでしょうか?
その理由としては
第一に早期に遊星爆弾攻撃に切り替えたかったため、この状況を利用して逆に地球の主力艦隊の壊滅を意図した。
第二にガミラスと地球の戦力差を考えれば罠にかかったとしても十分に食い破れると判断した。
ということだと思います。
いわば第二次火星沖海戦は互いに主力艦隊をつぶす事を目的にしており、地球サイドが仕掛けた誘導作戦にシュルツがあえて乗った事によって勃発したものだと思われます。
なお余談ながら、むらかわ先生の漫画版2199においてもこの第二次火星沖艦隊におけるガミラス艦隊の目的が地球侵攻ではなく、主力艦隊の殲滅にあったという路線で描かれていました。
やはり圧倒的戦力さにもかかわらずガミラス艦隊が敗北したというのはどう考えてもおかしいですからね・・・(苦笑)

戦術的・戦略的に地球の敗北だった第二次火星沖海戦

結論から言ってしまえば、この第二次火星沖海戦は戦術的にも戦略的にも地球艦隊の敗北です。
まず確かに伏兵によってそれなりの数のガミラス艦を沈めたのかもしれませんが、恐らくガミラス艦隊にとっては十分予想範囲内に納まるレベルの損害だったのではいでしょうか。
何故なら、劣等民族と認定されている地球艦隊を相手に大損害を受けたのならば上官であるゲールが黙ってはいないでしょう。
シュルツは指揮能力を疑われて更迭されるはずです。
ヤマト出現まではゲールはシュルツの事を見下してはいましたが能力そのものは疑ってはいなかったようなので、恐らくゲールの目から見ても第二次火星沖海戦の損害は許容範囲だったのでしょう。
一方、地球サイドは集結していた国連宇宙軍は壊滅的被害を受け、その損害を回復する事は最後まで出来ませんでした。
しかもこの主力艦隊壊滅の結果、冥王星基地の攻略どころか、遊星爆弾を止める術(正確には軌道を変えるということでしょう)すら失ったのですから完全に地球サイドの敗北です。

何故、第二次火星沖海戦は勝利と認定されているのか

このように現実的には地球サイドの完全敗北だった第二次火星沖海戦ですが、何故この戦いが地球からは「ガミラスに勝った唯一の戦い」と認定されているのでしょうか?
その理由は恐らく、「ガミラスに対して最大の戦果を挙げた」ことと「ガミラスが地球に侵攻しなかったから」だと思われます。
まず、確かにこの戦いで国連宇宙艦隊は壊滅しましたが、それでもそれまでの戦いと比べて最も多くガミラス艦を沈めることに成功したのでしょう(恐らくそれまでの戦いではほとんどワンサイドゲームだったと思われます)
そのため被害は地球の方が遥かに大きかったものの、大戦果を上げたと強弁することが可能だったと思われます。
また、その後ガミラス艦隊は地球に侵攻する様子も見られなかったため、第二次火星沖海戦で地球が勝利した事でガミラスの地球侵攻を頓挫させたと誤認させてしまったのだと思われます。
結果的に実際は大敗北でありながら、地球サイドではこの戦いは「唯一の勝利」と認定されてしまったのでしょう。
なおこの戦いで英雄となった沖田艦長はこの戦いについて一度も勝った戦いとはいっていません。
恐らく彼自身は誰よりも結果を正しく把握していたと思われます。
しかし、ガミラスの戦いにおいて唯一の勝利と思い込んでいるこの戦いまで否定してしまうと、地球人が希望を失ってしまうのであえて否定せず、自分が道化と知りつつ英雄になる事も受け入れたのではないかと思います。
それに彼にとっても一人息子を失った戦いですので、無意味なものとしては思いたくなったのかもしれませんね。
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コメント

  1. ぺんぺん草 より:

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    二年前の天王星沖でのムラサメの先制攻撃と同様に、第二次火星沖会戦の戦術的・戦略的敗北は地球防衛軍上層部により隠蔽改竄されたと考えられます
    昔々の太平洋戦争の時の様に
    しかしながら、ガミラス戦役・ガトランティス戦役と続く、戦争の時代においては、軍部の情報統制により、この事実は一般市民には知らされる事は無く、後々の平和な時代になり初めて自然に必然に偶然に公開されるとおもいます
    (私個人的解釈です)

    お正月に、とあるお話で、心が滅入ったので、追憶の航海を観賞して復活しました
    2199は心のCRSかも知れません(ヤマト的に)

  2. 山城2199 より:

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    ぺんぺん草様、コメントをありがとうございます。

    > 二年前の天王星沖でのムラサメの先制攻撃と同様に、第二次火星沖会戦の戦術的・戦略的敗北は地球防衛軍上層部により隠蔽改竄されたと考えられます
    > 昔々の太平洋戦争の時の様に
    > しかしながら、ガミラス戦役・ガトランティス戦役と続く、戦争の時代においては、軍部の情報統制により、この事実は一般市民には知らされる事は無く、後々の平和な時代になり初めて自然に必然に偶然に公開されるとおもいます
    > (私個人的解釈です)

    ほぼ間違いなく大本営発表の要素はあったと思います。
    特に芹沢辺りが中心で(笑)
    ただ第二次火星沖海戦は広報にいた政治家や軍官僚たちは本気で勝利したと信じ込んでいた可能性もあります。
    なにしろ火星防衛線は犠牲を払いつつも突破されなかったわけですから。
    ガミラスからすれば突破する必要すらなかっただけですが、当時の地球人はそれを知る術はありませんしね。

    > お正月に、とあるお話で、心が滅入ったので、追憶の航海を観賞して復活しました
    > 2199は心のCRSかも知れません(ヤマト的に)

    私も定期的に「追憶の航海」は視聴しています。
    公開時は評判が悪かった作品ですが、2199の復習をするには丁度よい作品なんですよね。
    個人的にはもっと新規映像が多ければまた違った評価になったのではないかと思っています。

  3. 勘助 より:

    SECRET: 1
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    山城2199様
    こんばんは。
    先日来、お邪魔しております。
    火星沖会戦研究、素晴らしい解釈だと感銘を受けました。

    もし差支えなければ拙ブログ記事内
    でこちら様をご紹介させていただいてもよろしいでしょうか!?
    (無論、公明正大に)

    いえ、ご無理なさらずご判断ください。
    ではでは、、、

  4. 山城2199 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    勘助様、コメントありがとうございます。

    > 火星沖会戦研究、素晴らしい解釈だと感銘を受けました。

    いえいえ、好き勝手に考えているだけでけですのでそういっていただけると光栄です
    >
    > もし差支えなければ拙ブログ記事内でこちら様をご紹介させていただいてもよろしいでしょうか!?
    > (無論、公明正大に)

    あっ、別に問題ないですよ。
    仮に批判や反論であっても、それで議論が活発になるならば大歓迎です。
    私も好き勝手にやっていますので、荒らし行為でなければ何でもウエルカムです(笑)

  5. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    そもそも、海戦での損失を補充して艦隊をもう一度投入するより、急きょ遊星爆弾投射設備を用意するほうがどう考えたって高くつきますからね…
    まして6年間うだうだやる理由もないし
    惑星間弾道弾の存在を地球側も知っていたようなので、本来のロングレンジ攻撃と違って「環境改変目的」であることは認識していたはずですから、地球艦隊壊滅でガミラス側の活動が戦争からほとんど開拓事業にシフトしつつある、もう負けた、と感づいて余計にプロパガンダ打つしかなくなったんでしょうね
    まあ、「乾坤一擲の作戦で首を絞めてしまいました」なんて言えるはずもありませんけど

  6. 山城2199 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コメントをありがとうございます!

    > 惑星間弾道弾の存在を地球側も知っていたようなので、本来のロングレンジ攻撃と違って「環境改変目的」であることは認識していたはずですから、地球艦隊壊滅でガミラス側の活動が戦争からほとんど開拓事業にシフトしつつある、もう負けた、と感づいて余計にプロパガンダ打つしかなくなったんでしょうね
    > まあ、「乾坤一擲の作戦で首を絞めてしまいました」なんて言えるはずもありませんけど

    まさに大本営発表ですね。
    どれだけ時代が変わろうとも人がすることは変わらないということでしょうか?