雪がテレサに呼ばれなかった理由

皆様今晩は。
いよいよ本日をもって2202の航海は幕を閉じます。
しかし昨日も書きましたがこれがシリーズの終わりではなく、新たなる航海の序章であることを心より期待します。

さて本日、コメント欄で「雪がテレサに呼ばれた理由」についての考察を頂きました。
誠にありがとうございます。

正直なところ、古代と雪の関係を拗らせた根本の問題だったにもかかわらず、本編内で一切説明が無かったことについては不満に思っております。
そこで今回は、頂いた考察を踏まえつつこの問題について私なりに検証してみたいと思います。

仮説1：テレサの故意犯説

頂いた考察を簡単にまとめるならば、2202で描かれた未来を掴むためのテレサの仕込みのひとつだったということですね。
本編内のテレサの描かれ方を考えるならば、これは十分ありえる話です。
しかし個人的にはあまり採用したくない説ではあります。
何故なら、この説を採用すると古代くんも雪も徹頭徹尾テレサに利用されていた（デスラー総統の弁を借りれば、運命という糸に操られた操り人形に過ぎない）ということになります。
勿論、テレサはきっかけを作っただけで、あとは古代君と雪の意思と行動によるものということなのかもしれませんが、テレサの仕込によって一つの未来（正しい未来）に誘導されていたと考えるとあまり気持ちの良い話ではありません。
私としては雪がメッセージを受けとれなかったのは、テレサの仕込ではなく、雪の事情によるものだったという見解を取りたいと思います。

仮説2：記憶喪失が原因？

それではテレサのメッセージを受け取れなかった雪の事情とは一体なんでしょうか？
この点について本編内で雪は「自分には記憶がないから」とその理由を推測しています。
しかし私はこの雪の推測は間違っていると思われます。
テレサのメッセンジャーになる条件は「故人である親しい人物」とのことですが、その条件ならばノランやセレステラあたりがメッセンジャーの役割を担えるのではないかと思われます。
二人とも短期間とはいえ、それなりに心を通い合わせた仲（ノランに対しては友人として、セレステラは共感相手という感じでしょうが）なのですからその資格は十分あります。
以上のことから、雪の前にメッセンジャーそのものが現れなかったのは、記憶喪失ではなくほかのことが原因であると思われます。

仮説3：無意識下の雪の意思が原因？

実を言うと、ヤマトクルーでテレサのメッセージを受け取っていない人物はもう1人います。
それは加藤の妻である加藤（旧姓：原田）真琴です。
このことは彼女はテレサのメッセージをあくまで加藤から聞いた話としてか知らなかったことから判明しています。
では、真琴と雪の共通点とはなんでしょうか？
私はこの二人は他のヤマトクルーと比べて「愛する人との生活を守りたい」という想いが特に強かったのではないかと思われます。
真琴は加藤と結婚し、子供まで生まれているわけですから、当然彼女が一番守りたいのは自分の家庭です。
一方、雪もまた古代との結婚を控えて、彼との静かで幸せな生活を心から願っていたと思われます。
そんな彼女たちにとっては、テレサのメッセージは自分たちの願いをぶち壊す邪魔な存在にしか過ぎないので、無意識のうちに拒絶してしまったのではないでしょうか？

2202のテーマのは「愛」であり、その「愛」は時には酷く残酷で身勝手なものであるということは劇中で何度も描かれています。
雪も真琴も本当に愛する人がいたからこそ、テレサのメッセージを受け取ることが出来なかった。
このように考えることも可能でないでしょうか。

ちなみに雪はテレザート星でテレサのメッセージを受け取ることが出来ましたが、これは雪の願いが第3章での再会を経て「どんな状況でも古代と一緒にいることが出来ればよい」というものに変わっていたため、テレサのメッセージを拒絶する必要がもはやなくなったからではないかと考えられます。