聖版「宇宙戦艦ヤマト」第5話

初出:「テレビランド」(1975年3月号)
引用:COSMO DNA(現在該当ページは閲覧不可)

聖版「宇宙戦艦ヤマト」
聖版「宇宙戦艦ヤマト」
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聖版「宇宙戦艦ヤマト」
聖版「宇宙戦艦ヤマト」

感想

聖版第5回は色々な意味で衝撃の最終回です。

前回の回では密かに生きていた古代守の助けにより最大の危機を乗り切ったヤマト。
しかし、戦闘中に沖田艦長が倒れ危篤状態に。

一方、ご自慢の生物兵器作戦も失敗に終わり(正直なところ、前回の作戦は戦力の出し惜しみさえしなければ成功していたと思いますが)、デスラー総統は名将ドメル将軍を呼び出し、ガミラス帝国の総力を挙げてヤマトを撃滅することを命じます。
正直に言ってこの聖版のキャラはアニメ版デザインとあまり似ていないのですが、このドメル将軍はアニメ版とそこまで違いはありません。
ドメル将軍は描き易かったのかもしれません。

相変わらず沖田艦長の危篤状態が続くヤマトの前にドメル将軍率いるガミラスの大艦隊が出現します。
ドメル将軍自身はあまりに一方的過ぎるこの作戦はあまり乗り気ではないようです。
この辺の気質はオリジナル版よりもむしろ2199のドメル将軍に近いですね。
また、ヤマトを包囲し、波状攻撃を仕掛ける作戦は2199第15話の作戦に通ずるものがあります。
2199を製作された出渕総監督は2199の製作時に聖版も参考にしていると言っておりましたので、本当に2199の第15話はこの聖版の最終回がモチーフなのかもしれません。

メル将軍の的確な指揮により、全兵装を破壊されたヤマトは撃沈寸前まで追い込まれてしまいます。
まさにその時、沖田艦長復活!
2199の「死中に活」を髣髴させる敵艦隊中央部への強行突入を命じます。

強行ワープでヤマトはついにイスカンダルに到着。

そしてこの作品最大の衝撃シーン。
沖田艦長死す・・・
白目の沖田艦長に「死んでいる」の古代の言葉が妙にシュールです。

そして沖田艦長をイスカンダルに葬るシーンでこの聖版は物語を終えます。

ちなみにヤマトが当初の予定通り1年放送だった場合は沖田艦長はイスカンダル到着直前で死亡する予定だったそうです。
実際、初期案に近いとされる「ひおあきら」版のコミカライズでも沖田艦長はイスカンダル到着直前に死亡しており、聖版でのこの結末もどうやら初期案を反映したものと思われます。

もっとも「ひお版」ではガミラスは崩壊しており、帰路に関してはそれほど不安要素は残っていませんが、こちらのほうはガミラスが思いっきり健在・・・
恐らくドメル将軍も生きていると思われますので、帰路の航海は思いっきり詰んでいる様な気がしますが・・・(汗)

とりあえず全5回にわたる聖版宇宙戦艦ヤマトはこれにて完結。
第1話から最終回まで本当に驚愕の内容でしたね~
しかし短いながらも2199や実写版を連想させる描写や設定があり侮れません。
オリジナルの原稿が喪失しているそうで単行本化などは不可能になっているのがつくづく残念です。
この聖版は何らかの形でいつの日か日の目を見て欲しいですね。