庵野版ヤマトと夕日に眠るヤマト

皆さま今晩は。
最近、転職した関係で私生活の方が忙しくなり、なかなかブログの方が更新できなくなっておりました。
更新を楽しみにして頂いている皆様、本当に申し訳ございません。
今後も不定期更新になるとは思いますが、気長にお待ちいただければ幸いです。

さて、前回の記事でも書きましたが、10月6日に開催された「宇宙戦艦ヤマト」放送50周年記念上映会において庵野秀明監督が「宇宙戦艦ヤマト」の新作企画を勧めていることを発表しました。
これまでの庵野監督の言動から、この新作が1974年版の忠実なリメイクになるのではないかという事は私も含めた多くのファンが予想するところであります。
この場合、庵野版ヤマトは「1945年に沈んだ戦艦大和を改造した宇宙戦艦」という1974年版の設定も踏襲することになると思われますが、ただこの時、最大の問題となるのは、現実の大和の沈没の仕方です。

1974年にヤマトが作られた時はまだ「戦艦大和」がどのように沈んでいるかは判明していなかったこともあって、原形をとどめたまま大和が海底に眠っているという予想の下、夕日に眠る大和という名シーンを生み出すことが出来ました。
しかし、1985年から3度にわたって行われている海底調査において、実際の大和はほぼばらばらの状態で海底に沈んでいるということが判明してしまいました。

当然ながら、このような状態では、沈んだ大和の残骸を宇宙戦艦に改造したという設定や、夕日に眠る大和の描写を描くことは非常に難しいです。
実際、2013年に制作された「宇宙戦艦ヤマト2199」ではこのこともあって、劇中に登場したヤマトは完全な新造艦で、完成までガミラスの目をごまかすために沈没艦(大和)に偽装していたという設定に変更されました。
もし庵野監督が新作で「戦艦大和の改造」をそのまま使うとしたら果たしてこの問題をどのように解決するのでしょうか?

考えられる方法は2つです。

一つは何も説明せずそのまま「夕日に眠る大和」を登場させる方法です。
これは2010年に公開された実写版ヤマトこと「Space BattleShip ヤマト」で採用された方法で、この作品では「現実?なにそれおいしいの?」と言わんばかりに、原形をとどめた大和の残骸を劇中に登場させ、そのことについては一切フォローしていません。

また、この作品では、ヤマトが「戦艦大和の残骸」を改造した艦なのか、あるいは、2199の様な新造艦で大和に偽装させていたといった説明もないため、完全に見る人の解釈に委ねていますで。
このように「現実」との差異については一切触れないというのはなかなかうまい方法だと思います。

もう一つは、1974年版のように戦艦大和の沈没のエピソードを作中で描き、「少なくともこの世界では大和は原形をとどめたまま沈んだ」ということを前提条件にしてしまう事です。

実際、歴史を取り扱った大河ドラマにおいてですら史実とは異なる脚色はつきものです。
ましてや「宇宙戦艦ヤマト」は娯楽作品なのですから、1945年4月の坊ノ岬沖海戦で戦艦大和が米艦載機の攻撃で沈んだという事実さえ変えなければ、その程度の脚色は許されるのではないか。

庵野監督はこのどちらかの方法をとるのか、あるいは予想もつかない別の方法をとるのか。
これについては現時点では分かりませんが、個人的にはリメイク版で戦艦大和沈没のエピソードがバッサリカットされたのは残念だったので(リメイク版の流れを考えればカットされても仕方がなかったとは思いますが)、できれば後者であってほしいですね。
いずれにしても今後の続報に期待です。